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此方より幻想へ。彼方より現実へ。~皇系戦記~  作者: あかつきp dash
第五話 アークリフのレギルヨルド隊
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■龍の通り道 ◎キリ、アズミ、レイア、シンク、ルディ、セイカ

 ――この場合、誰を相手にしてもなんだけれど。


『キリくんだったな。妹から話は聞いている』

 アズミから通信の申請を受けてキリは会話に応じている。これでも自分の実力は自覚しているつもりであった。


「リルハ……さんとからどう聞いているかは知りませんが」

 名前のまま呼びそうになって“さん”をキリはつけ足す。

『リルハはレギルヨルドに乗艦している』


 キリはポカンとした表情になる。単純に驚いたのだ。

『君と会いたいと言っていたぞ』

「……俺も会いたいと言っていたと伝えてください」


『了解した。たしかに伝えよう。では、私からだが』

 黒いアズミの乗るマグが剣を抜き放つ。


『せっかくだ。君を鍛えることにしよう。それと……少し説教をさせてもらうぞ。私なりに妹に対して思うところがあるからな』

 キリは苦笑いを浮かべる。


「――ということだ。マグの相手はキリ機で行う」

 キリはファランドールとルディへ送信すると両頬を自らの手で叩く。

「やってやる」

 キリは真剣な眼差しで黒いマグを見据えるのであった。


 そのやりとりを受信したファランドールは別の事象を観測していた。

「龍の通り道が近づいてきているのね」


 レイアが航海手に確認をとった。

「はい。こちらに急速接近中です」

 

 渦の奔流が右舷側へ接近しつつあった。

「通信手は人機部隊へ注意喚起をしておいて。航海手は渦の流れを観測しつつリアルタイムで共有するように」

「了解」


「戦闘は膠着状態というところだな」

 シンクがディスプレイを見ながら発言する。

 

 ――全体的にはどちらかというと押され気味かもしれないなと評価を変えるべきか。特にティユイが苦戦を強いられていた。


「ナワールのパイロット凄いわね。世が世なら海皇の妃候補よ」


 レイアからの最高の褒め言葉だとシンクは認識している。つまりは決してティユイの腕が悪いというわけではないということだ。 


 キリは戦っているというよりは訓練であった。

「なっちゃいないわね。もっと鍛えてやらないと」

 レイアがぼそりとつぶやく。目が完全に据わっている。シンクはキリに同情した。


「ルディはどっちかという相性の問題だな」

 ジルファリアは鉄壁の防御を誇るベルティワイザーに対して苦戦を強いられている。

「対抗手段はないの?」

「武器については開発済みだが、実用試験が済んでいない」


「いやねぇ、技術屋って。実戦でいきなり使わせるつもり?」

「微調整レベルだから実戦投入は問題ないよ。だからってベルティワイザーと互角ってのはどのみち難しいかもだけどな」


「いまはこれで頑張ってもらうしかないわけね」

 レイアの眉間にしわが寄る。

「艦長、龍の通り道が――」


 龍の通り道が戦闘領域へと急接近をはじめた。

『ジルファリアとベルティワイザーは即刻戦闘を中止なさい。龍の通り道に巻きこまれるわよ!』


 レイアがオープンチャンネルで通信を呼びかける。敵機にまで呼びかけるのだからよほどなのだろう。

「ということだ。ベルティワイザーのパイロット聞こえるか?」

 ルディがベルティワイザーと肉薄しつつ呼びかける。


『聞こえている』と凜々しい女性の声が聞こえてくる。

 やはりかとルディは思った。乗者が以前と違うとは感じていた。以前と癖が違っていたためだ。


「戦闘を中断する。ベルティワイザーのパイロット……君は艦まで戻れ」

『私はサカトモ・セイカだ。覚えていてもらおうジルファリアのカナヒラ・ルディ』


 セイカはわざわざルディの名前を出してくる。気丈だなとルディは思ってしまった。

「覚えておこう、セイカ」


 両機が離れようとした瞬間、龍の通り道からいきなり支流ができたかと思うと渦が襲う。

 あまりに突然のことで呼びかけをする間もなかった。


 龍の通り道が通り過ぎたあと、ジルファリアとベルティワイザーの姿はロストしていた。

『両艦それまで。戦闘続行の無期限中止を要求します。繰り返します――』

 マコナからファランドールとレギルヨルドに呼びかけが入る。


 これにより戦闘は中断となり、三艦の艦長はスヴァンヒルトにて今後のことを話しあうために三者会談を行う運びとなるのである。

お読みいただきありがとうございます。

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