表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
此方より幻想へ。彼方より現実へ。~皇系戦記~  作者: あかつきp dash
第五話 アークリフのレギルヨルド隊
62/205

■セイカの憂鬱 ◎セイカ、ニィナ、リルハ

 キーロ港の一角にフグのような飛行船のような形をした戦艦が寄港していた。

 そのまわりを黒い軍服を着た人々が忙しそうに駆けまわっている中で一台の軍事車両がやってくる。


 降りてきたのはハート型のサングラスに腰まで伸ばした長い髪の一五~一六歳くらいの少女だった。短めのタイトスカートにデニムのジャケットを羽織っている。


 少女は少し離れたところに直立姿勢でいる黒い軍服姿のセイカのところへ歩いて向かう。

「急な呼び出しに応じてくれてありがとう」

 セイカがにこやかに少女を歓待する。


 少女はセイカの前に立ち止まるとサングラスを外して敬礼をする。

「クラバナ・ニィナ、招集に応じ馳せ参じました」

「頼りにさせてもらうよ」

 セイカはニィナを軽く抱擁する。


 すると軍用車両からもう一人の少女が出てくることにセイカは気づく。

「リルハもいたか……」

 セイカは抱擁を解くとやれやれと頭を抱えるような仕草をする。


「ひさしぶり、お姉ちゃん」

 ショートカットの髪。服装はマウンテンパーカーにロングスカートの少女で年齢はニィナと同じくらいだろうか。

 清々しい雰囲気をまとった少女であった。


「どうしてリルハがここに入れたのかな?」

 どういうことかとセイカはニィナに説明を求める視線を向ける。

 ニィナは小さく頷くと話をはじめる。


「ハルキアで五カ国会議を開こうという動きがあるのはご存じですか?」

「いや、はじめて聞いたよ」


「レギルヨルド隊にはリルハ王女の護衛の依頼が本国からくるはずです」

 セイカは目を丸くしている。


「ニィナはその話をどこで?」

「リルハ……王女からです」


 リルハはセイカに手を振っている。何を考えているのかはいまいちわからない。

「お姉ちゃん、よろしく」


「リルハ、護衛がつくということは行動にも制限がつく。わかるね?」

「うん。私も立場は理解してるつもり」

「ならいい」


 そう言ってセイカはリルハの頭を優しくなでるとニィナに向き直る。

「ニィナは着替えたあと、リルハと一緒にミーティングルームで待機。リルハの今後は艦長と相談してくるよ」


 セイカはそれだけ言い残して去って行く。

 取り残されたニィナとリルハは互いに顔を見合わせる。

「キリはティユイ皇女に告白したんだよね」


「そうですね」

 ニィナは途端に不機嫌そうな表情に変わる。

「ニィナってわかりやすいよね」


「ファランドールに乗っているんでしょ、キリ」

「そうみたいですね」

 ニィナはぶっきらぼうに答える。キリのことを聞かれたら感情を殺しきれない様子だった。


「あれから一年くらいだっけ。キリが出て行ったの」

「私に何の相談もありませんでした」


「それってニィナにフラれたって思って話しづらかっただけじゃない?」

「あのとき私は軍への配属が決まっていて、その……答えは急がないほうがいいと思ったんです」


「で、結局のところはどうだったの? ニィナの思いは」

 その問いにニィナは空を仰ぎながら答える。


「どうすればよかったんでしょうね……」


お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

感想、評価、お気に入り登録も今後の励みになりますので、ぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ