■しばし休息 ◎ティユイ、キリ、ユミリ
ファランドールがアースカを出港してから一時間ほど経過した。
現在ティユイはラゲンシアを降りて休憩室へ来ていた。しばし休息の時間である。
「潜水艦って外見と違って中は案外狭いですよね」
「大半を格納庫が占めているのに加えて男女で区画をわけないといけないでしょ」
だから余計に狭く感じるのだとユミリは説明してくれた。
「格納庫が広いのは人機のせいですか?」
「それはそうやけど、仮に人機を収納しなくてよくなったら艦が小さくなるだけやよ」
生活空間が広くなるなど思ってはいけないという。それなら片方の性別しか乗れなくするほうがよほど現実的だという。
いまの艦は人機を五機搭載できるような仕様を求めるために構造がそうなっているということだった。
それと生活空間の快適さというのはまったくの別問題ということである。
「ところでティユイはそのセーラー服が気に入ってるの?」
「別にそういうわけじゃないですけど」
「当時の価値基準だと一三~一八歳くらいまでの女の子が就学時に着ていた服みたいなんだけど」
「まあ、そうですよね」
ユミリは少し言いにくそうにもごもごした物言いだった。
「ティユイって今年で一九歳だよね。大丈夫なの?」
一九という単語にティユイは首を傾げる。その「大丈夫?」という意味もよくわからない。
「私、まだ高校一年生ですよ?」
「それは設定の話でしょ。実年齢は私と同じ今年で一八になる一九の代だったはずだけど」
「……私って、そんな長生きしているんでしたっけ?」
ティユイは首を傾げている。
「知ってた? 自分のプロフィールって閲覧できるんだよ」
そうなのかとティユイは自分の出生を装飾端末からアクセスして閲覧をしてみる。
してみてティユイの顔は羞恥で真っ赤に染まっていく。
「私って一八歳だったんですね……」
「ちなみにキリは一六歳だから」
どうしてそこはプロフィール通りなのか。厳しい現実を突きつけられる。
「これだと私って年齢詐称して女学生のコスプレしてる人みたいなじゃいですか?」
「みたいも何もそのままだと思うけど……」
ユミリは正直に返した。ティユイはそれなりにショックを受けているようで、身体がワナワナと震えている。
「キリ君は私が年上だと知っているんですか?」
「接触前にティユイのプロファイルに目を通しているから知ってるはずやけど」
「……彼って年上が好きなんですか?」
「別にそうじゃないと思うよ」
何でも軍へ入る前に幼なじみにフラれたと言っていたそうだ。それを少し同情してしまったユミリはちょっと慰めたらしいのだが、それからすぐにケイトでティユイに告白した。その時、ユミリはもやっとしたということらしい。
だからユミリは三発殴るという発言をしたそうだ。
ティユイはユミリのもやっとする感情に心当たりがある。
それは――。
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