■蒼天龍1 ◎ルディ、キリ、トウカ
水母内の傘内部には天候と昼夜の概念が存在する。双方とも生命が活動することにおいて重要であったからだ。
月明かりがぼんやりと平地を照らす。
そこにルディとキリはお互いの機体に乗って待機をしていた。
ラゲンシアに乗ったティユイを迎え入れるためである。もし彼女が戦闘に巻きこまれるようならば、護衛に向かう必要があった。
『ティユイが戦闘状態になった』
キリからルディに短い入電が入る。
ティユイと戦闘に入ったのはケイトで襲撃してきた連中だろうとのことだ。本人はわざわざ自身を新生四天王のベイトと名乗ったそうだ。
「援護へ向かうべきか……」
『それは難しいだろうな』
キリはこちらに別の熱源が迫っていることを告げる。それから熱源より通信が送られてくる。
『私は新生四天王が一人、コガイ・トウカ。各々方を黄泉路へご案内つかまりましょう、この私とグラバドス・ジュンナが直々にね』
夜空より片足の欠けた人型の機体が降りてくる。
奇妙なのは欠けていないほうの片足を軸にして浮遊しているため、体が斜めに傾いていることだ。
外見はどことなく遮光器土偶のそれを彷彿させるが、発達した両腕は接近すれば殴りかかってくるのだろう。その首の部分と左肩の間くらいにえらく薄着の女が立っている。この女がトウカという先ほどの声の主なのだろう。
『どうやって立っているんだ?』
二〇メートル以上の足場の不安定な高所に立っているだけでも異常だろう。
「おそらく違う理の中にいる連中なんだろう」
『異世界から来たってヤツか?』
そういう人間はこの世界であっても元の世界での理が適応されるという。諸々の可能性を考慮する必要があるだろう。
「かもしれん」
ルディは一言答える。
ジュンナの横に一体の板状土偶、さらに上空にはお面の土偶が宙に浮かんでいる。
おそらくジュンナが遠隔操作で操っているのだろう。
『女が乗っている機体が本体で、他は自立型の武装だな。どうする?』
板状が接近格闘型、お面は砲撃型という分析である。
「俺がジルフで本体を叩く。キリは板とお面の相手を頼む」
『了解』
ジルフとはジルファリアの略称である。
そのジルフには両手に二つの武器を装備している。旋風という名称で、銃砲に小盾、剣が取りつけられたものだ。前腕から握り拳より少し長い位の大きさである。
銃身の下に取りつけられた黒い刃が白銀へ染まっていく。
「ジルフはこれより格闘戦を仕掛ける」
おでこの部分にあったフェイスバイザーがジルフの目を覆う。人機は格闘戦を行う際はこのようにフェイスバイザーをかける。目を守るためだ。
これが開戦の幕開けであった。
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