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■皇系の証 ◎ティユイ、レイア

 軍用車両内。ティユイとレイアは対面で座っている。

 レイアは現在、軍用通信で会話をしている最中だ。

「――というわけで、王女をしっかりエスコートすること」

『了解』

「よろしく」

 どうやら通信が切れたらしい。相手はキリのようだった。


「質問を一つ、いいですか?」とはティユイからの問いかけ。

「ええ、どうぞ」とレイアは促す。

「キリ君とは姉弟とかなんですか?」

「姉弟ではないわね」

 レイアは謎かけをするように挑戦的に瞳が爛々(らんらん)と輝いていて、その口元だけがにやけている。


「どうして、そう思うの?」

「何となくですけど、二人が似てるような気がしまして」

 それに敢えて理由をもう一つ加えるとしたら、レイアのキリに対しての接し方だった。レイアはキリに対して妙に遠慮がないとティユイは感じていた。


「キリと私が会話したのは二年前がはじめてよ」

「そうなんですか」とティユイはどう感じとったのだろうか。ただ首を傾げるだけであった。

「じゃあ、次は私からになるけどいい?」

「はい」


 レイアから言われたのは人機に搭乗するにあたっての注意点であった。複雑ではあったが、要点はこうだ。

 人機戦において殺傷の一切が禁じられている。コックピットを狙うなど行った時点で国家、個人に対して厳罰が待っているということだ。


 人機戦では腕が切られるなどの損傷を受けると戦闘不能と見なされる。

 コックピットが前腰部分にあるのは格闘戦に持ちこまれる際に、この位置だとコックピットが狙いにくいということらしい。


「ただし、相手が自分の命を狙ってくる場合は遠慮しないこと。いいわね?」

「はい」

 ルールをはき違えないようにというレイアからの念押しだった。


「人神機には意志がある。だから、人神機は搭乗する人間を選ぶの」

 ラゲンシアに選ばれるということは皇系を継ぐ者の証しということなのだという。

「着いたわよ」

 車両が停車するとティユイはレイアに連れられて降りる。

 そこは建屋の中だった。


「操縦の説明はスタッフに聞くといいわ」

 黒い影が玉座に座ってそびえ立つ。

 どうすればいいだろうかとティユイは思っているとレイアが優しく背中を押す。行ってこいということだろう。


 ティユイは黒い影に向かって歩みはじめる。

 そんなティユイをレイアは後ろ髪を引かれるような視線を送っている。


「行きなさい、ティユイ。自分はここにいるってラゲンシアから精一杯叫んでやるのよ」

 己の生きる証しを賭けることが存在証明になる。

 レイアは知っていた。ティユイにとって長く厳しい戦いがはじまるのを。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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