■ティユイへの依頼 ◎ティユイ、シンク、レイア
「ティユイの出番はアースカに到着してからになる。そこはアークリフという国の管轄領になっている。通常であるならセイオーム軍所属の我々が入国するにはそれなりの手続きを要するのだが、今回は別ルートから許可を得ることに成功している」
補足として本来の手続きでは時間がかかりすぎるので裏技を使って時間を節約する。もちろん後々に面倒は起こるが、その辺は政治のほうにすべて押しつければいい。
「君にはアースカで管理してある人機の受領を直接してもらう」
ティユイは端と気がつく。この流れは間違いない。アレだ。
「そ、それはお約束の私専用機みたいなのが存在していて、それに私が乗りこんで大活躍するみたいな流れでしょうか?」
興奮を隠す気もないティユイは立ち上がりズイズイとシンクへ迫る。シンクは少し引き気味だ。
ところがティユイの首根っこはレイアが抑えて、それ以上進めない。
「落ち着きなさい」
「大活躍の確約はしかねるが、君専用というよりは皇族のために造られた人機がそこで管理されている。君が皇族の一員として人機が認めれば晴れてティユイはその人機のパイロットになれる」
ティユイはレイアの手を振り払うとシンクへ急接近して両手をチカラ強く握りしめながら鼻息を荒くする。
「すぐ行きましょう! 私、ロボットアニメの主人公みたいなシチュエーションにずっと憧れていたんです! 選ばれし者しか乗れないロボットとか、もう最高じゃないですか!」
その間をレイアが割って入る形で押し退ける。
「ティユイ皇女、シンクが困ってますから」
レイアは口元だけが笑っていた。怒っている。間違いなく。そんなことはティユイですらも理解できることだ。おそらく彼女の琴線に触れる何かをしてしまったのだろう。
「ご、ごめんなさい。ところで私ってロボットの操縦できるんでしょうか?」
もちろんゲームなんかではロボットの操縦は散々やった。ひょっとしたらゲームの操縦桿が実際のロボットの操縦桿と同じとかそういう展開だろうか。
「あなたの母親の記憶が同期されれば問題ないはずよ」
それはいつ行われるのだろうか。
「多分、一晩寝たらオーケーよ」
返ってきたのは思ったより安易なものであった。厳しい修行とかは必要ないらしい。しかし記憶の同期とか人格形成に問題が起こったりしないだろうか。
「重要なのは精神。精神と思考は切り離せるわ。思考を精神の影響下にコントロールするよう心がけるの」
――記憶はあくまで脳……身体に留まる内なるもの。対して精神とは世界との繋がりそのものである。その外なる声をホモ・サピエンスは神と呼んだ。神は内と外に実在した。ありとあらゆるトコロに。それが神の正体だった。
そうは言ったが、ティユイにとっての最大の関心事は『選ばれし者』『巨大ロボット』『初見で操縦』などというキーワードで頭をいっぱいにしていた。
わかりやすい表現で言うと見るからにウズウズしていた。
「早く寝たほうがいいでしょうか?」
「そうね。さっさと寝なさい」
「そういうワケにもいかないだろう」
レイアは完全に呆れていたが、シンクは冷静だった。
「まあ、確認の必要はもうなさそうだが。ティユイ、今回の作戦について協力をお願いできるだろうか?」
聞くまでもないことでも相手から了承の返答を得る必要があった。
「もちろんです! 私がロボットに乗って悪の帝国を完膚なきにまで打ちのめしてやりますよ」
ティユイは熱弁する横でシンクは頭を抱えている横でレイアがシンクに投げかける。
「この娘、状況がわかっているのかしら?」
「……わからん」
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