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此方より幻想へ。彼方より現実へ。~皇系戦記~  作者: あかつきp dash
第一四話 蒼、揺蕩う国より
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■蒼き国より反撃あり ◎レイア、シンク、ルディ

   序文


「レイア、背は私のほうが追い抜いたぞ」

 海皇に即位してコウカは宣告通りにレイアを妃にした。


「わかっています」

 レイアはあれからコウカの熱烈な求愛を受けた。結果的にそれをレイアは受けたのである。


 もちろんレイアのほうに打算はない。デメリットの方が多いとむしろ何度も諫めたのをコウカが押し通したのである。


 思えば皇位を継ぐ者としてこれが唯一通せる我が儘であろう。それについてはレイア以外は概ね寛容であった。


「シンクまで後押ししてくれるとは思えなかった。彼が私に言ったのだ。『レイアを頼む』とな」


 それがレイアにとっては少し驚きであった。それからシンクはレイアのことを説得するほうの立場になり、レイアも外堀を埋められてしまい現在に至る。


「どうやってあの男を丸めこんだんですか?」

 だから聞いてやりたくもなる。


「うむ。同じ女性を愛する男同士ゆえにすべてをレイアには語れん」

「……そうでございますか」


 その返答はレイアにとって納得できるものではなかった。そういえばシンクからもはぐらかされたことを思い出す。


「そうだな。シンクはこう言っていた――『自分とレイアのいる時間はほぼ無限だろう。だが、その時間の中で彼女に自分がしてやれないこともたくさんある』と」


 ――きっとあなたならそれを成してくれるだろう。だからコウカに任せたいと言ったそうだ。


「レイアの長い生にとって私とともに過ごした時間はきっとすぐに過去になるかもしれない。だが、私は思うのだ。それは一瞬であるかもしれないが、その記憶に閃光のような煌めきを遺せるのではないかと。それはきっと永遠に等しい瞬きではないだろうか――」


   ――◇◇◇――


『貴艦に告ぐ。ヴラシオの足パーツを我が軍に引き渡しに応じ、直ちに降伏せよ』

 男はレイアに投げかける。


「当艦より返答。我々は降伏しない。よって足パーツが欲しければ実力で奪ってみなさい。ただし! やれるものならね」

 レイアは不敵な笑みを浮かべて返答する。


『了解した』

 通信が切れるとセイオーム軍の三艦から人機がそれぞれ五機ずつ出撃する。


「大隊が三隊とはな。数で圧倒するつもりみたいだな」

 シンクが各軍の配置を見ながら言葉にする。

「だそうよ。ルディ、我慢くらべになるわ」


『覚悟のうえだ』

 ルディから静かな声で返信があった。


「いい返事よ。間もなく強力な援軍が間もなく来るからね」

「ま、連中も焦ってのことだろうしな。ルディ、接近戦は極力避けるんだ。守りを固めて敵機を引きつけるよう務めろと各機に伝達」


『了解』

「ダイト司令は出てこないみたいね」


「クーゼルエルガは何かと問題のある機体だからな、一度動かせば調整に長時間を要する。まあ、出てこなくて何よりだろ。これだけの部隊を展開させたんだ。セイオーム軍は相当無理をしているはずだ」


「どっちが袋の鼠か教えてやるわ」

 レイアは息を巻く。


「通信士、カラーコード:イエローからレッドへ移行。ついでに人機出撃シークエンスを開始!」

 レイアから指示が入ると出撃デッキが密閉されて加圧がはじまると同時にデッキ内がクエタの海に満たされていく。


「了解。艦内へ通告。これより我が艦はカラーコード:イエローからレッドへ移行する。各員は配置につけ」


「戦闘士官、砲撃は間隔を開けて行いなさい」

「了解」


「操舵手、ファランドールは敵機に悟られないよう微速後退」

「了解」

 

『こちらは出撃準備完了した』

「それではルディよろしくね」


『了解。これより人機隊は出撃する』

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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