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此方より幻想へ。彼方より現実へ。~皇系戦記~  作者: あかつきp dash
第十二話 紅、燃ゆる国より
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■浜辺にて ◎キリ、ニィナ、アスア、マシロ、カリン

 キリたちが山から降りてきたのはマシロがやってきた次の日である。二人が早々に掴んだと主張したからであった。


 いまは浜辺の邸宅でのんびり休暇を楽しんでいた。

「御前試合、あなたも出席するんだからね」


 水着姿のニィナが隣にいる。下をパレオで覆ってはいるもののビキニなので肌の露出は多い。キリはついついチラチラと見てしまう。


「ちょっと……」

 ニィナに睨まれる。

「すみません」


 キリは両膝を抱えて顔を伏せる

「御前試合は半月後だろう?」


「そうよ。まあ、あなたは立会人だけどね」

「これでアークリフとナーツァリの団結と武勇を示すんだよな」


「そこにあなたが立ち会いをすることに意味があるのよ」

「よくわからん話だなぁ」


「あら、アークリフとナーツァリが味方になってくれるのよ。十分でしょ」

 それはそうだが、キリとしては慣れないことをさせられるのが歯がゆいのだ。


「まったく。君たちは難しい話をしていていけないね。というわけで正妻くんにキリとどう過ごすべきか教授してあげるとしよう」

 マシロとカリンがキリの手をそれぞれ取る。


「キリさん、行きましょう!」

 そのままキリを連れて二人は海の方へ走っていく。


「そこから一緒に追いかけていかないからでしょ」

 アスアがニィナに話しかけてくる。


「私、あそこまで無邪気にやれないわ」

「マシロって考えているようで考えてないものね」


「……そうなのよね」

 思いつきのまま行動に移せるのは少し羨ましくもある。


「あなたの場合はもう少しだけ素直になればいいだけだと思う」

 ニィナはため息をつく。


「それが難しいんじゃない。未だにどう接したらいいのかわからないんだから」

「彼のこと難しく考えすぎてると思うな」


 キリが波打ち際からニィナたちに手を振ってくる。自分たちも来るよう誘っているのだ。

「私たちも行かないとね」


 アスアは返答も聞かずキリたちのいるほうへ走っていく。

「あ……」


 ニィナは一瞬だけ考えるのを一瞬だけやめたら走りだせた。それは不思議と嫌な気分もない。


 この時間がもうしばらく続くのだとニィナはようやく理解するのだった。


お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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