■五人 ◎キハラ、アズミ、ルディ、ホノエ、キリ、ニィナ
「ベルティワイザーいけそうか?」
キハラがアズミに声をかける。
ターベの港にて各艦に資材が運ばれているところだ。つまり出立は間もなくということだ。
「心配してくれるのか?」
アズミは口の端を吊りあげる。
「……あんた、嫌な奴だな」
テントの中でパイロットは待機することになっている。だが、いまはキハラとアズミだけだ。
「もし、我々のリーダーを任せるとしたらキハラくんだろうな。それに反対する者はおそらくいないはずだ」
「もちあげるじゃねぇか」
「そんなことはない。至って正常な意見のはずだ」
「どうだか」とキハラはため息をつく。
「あんたといい他の連中もよく戦えるよな」
「それは君もだと思うがな。それに敵が迫ってきているのだ。そうも言っていられん。まずはこの場を切り抜けねばな」
キハラが頷く。
「降りかかる火の粉は振り払わないといけないのはわかるぜ」
「二人とも早いな」
ホノエであった。他にルディとキリもやってくる。
「お前のほうこそ大丈夫かよ?」
「貴様の声を聞けばいても立ってもいられん」
ホノエは薄い笑みを浮かべる。傷は深いなとキハラは察する。
「ラゲンシアはキリが乗るでいいのか?」
「俺は自分の出自を信じたわけじゃないけど」
「あんたがそれを言うと俺たちは戦えんぜ」
もはや大義名分はキリにかかっていると言ってよかった。
「そうなんだよな……」
キリもまたため息をつく。まあ、それくらいで気が紛れているのなら問題ないかと思ってしまう。
「ラゲンシアは使えんのかよ?」
「難しいだろう。あれは中破といっていいレベルだ。少なくともこの戦いでは使えん」
ルディが話す。
「ってことは、俺らの四機とあのナワールって機体の五機か」
「どのみち俺は役に立てそうにないな」
キリの乗機であるマグも大破していて戦闘には出られない。
「ま、こういう展開が嫌ってわけじゃねえ。任せろや」
キハラはニヤリと笑う。
「積み込み終わったわよ」
ニィナが呼びかけにテントへ入ってくる。
一同は顔を見合わせる。
次にこうして出会うのはいつだろうかと。
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