■挑戦状 ◎エリオス、レイア、マコナ、クワト
『はじめまして、私は新生四天王の一人であるグラード・エリオス。クラシノ邸の襲撃を計画した主犯であると思っていただいて結構です』
もってまわった言いまわしである。計画はしたが、指示は自分でないとこちらに意図して情報を流しているようである。実際、指示を出したのはソウジ・ガレイなのは違いない。
「それで、そのエリオスがわざわざ通信をしてきたのには理由があるのでしょう?」
レイアが切り返す。
『もちろん。宣戦布告です。こちらはそちらで言う三艦隊から展開する三部大隊を展開します。お互い派手にやろうではありませんか』
「奇襲をした割には正面からの開戦なのね」
『何かを企んでいると思っているなら、それはそれで結構。こちらは明日の夜明けとともにターベに対して総攻撃を仕掛けます。逃げだすもよし。戦うもよし。お好きなほうをどうぞ』
誰も黙したまま答えない。
『それでは戦場でお目にかかりましょう』
エリオスからの通信が切れる。
「――というわけだけど」
レイアはマコナに視線を向けて意見を促す。
「戦いましょう。相手はテロリスト。逃げ出す理由がありません」
それにこちらの士気は十分に高いと付け足す。
「テロリストから宣戦布告か……」
クワトは苦笑する。
「ラゲンシアは出せるのか?」
クワトがレイアに訊ねる。
「現状で戦場に出すのは困難ね。……戦い方だけど、集結して戦うんじゃなくて三方にわけて各個撃破にしない?」
「組み分けはどうする気だ?」
「こっちでベルティワイザーは預かる。クワトにはキリを任せるわ」
「それでいいのか?」
「ここは親元から離すところでしょ。ラゲンシアとキリのことはクワトに託すわ」
レイアははにかんだような笑みを浮かべる。これでいいのかわからないという表情だ。
「親であることに答えが出たことはない。それこそ人類有史以来な。だからこそ子供を親の手だけに委ねないのが最善なのだ。だから気にすることはない。むしろ私たちに頼るところではないか?」
「そうね。お言葉に甘えさせてもらうわ」
話はまとまった。というところでマコナが発言する。
「それではせっかくですから各個撃破ののちの動きを考えませんか? それぞれ目指す港は別々でしょうから」
三人は頷きあう。
「案があるんでしょう?」
「ええ。せっかくです。存分にやりましょう」
マコナは不敵に微笑んだ。
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