■護衛の三人 ◎キハラ、ホノエ、マコナ
「俺は何を見せられてるんだ?」
キハラは顔を引きつらせている。
「カリン王女の護衛は我々の仕事だ」
冷めた口調でホノエは返す。
「そういえばマシロさんが正式に王女として認められたそうですね」
マコナである。
「しかも巫女枠だぜ。ま、皇族に近くとなるとそうなるよな」
それにしてもキハラは納得いかない様子だった。
「お前の姉上というには年齢がなぁ」
ホノエがクスリと笑う。マシロの外見は一四かそこらだ。それに比べてキハラはあきらかに二歳以上は上だろう。
「うっせうっせ」
キハラにも整理しきれない感情だった。マシロが自分の姉と瓜二つであり、家系も自身の所属するヤマシロである。
しかも自分の姉と思考同期しているところがあるという。キハラの心境はひどく複雑である。
まして、マシロはキリに対して熱い視線を送っており、それを否応なく自分に見せてくるのだ。
「これがしすこんというものなのすね」
痛く感動しましたとばかりマコナは両手を合わせる。
「ちげーよ。俺はシスコンなんかじゃねぇ」
キハラは全力で否定する。これがまあ可愛くもあるのだがとマコナは思う。
「では、私などと関係を深めてみるのはいかがです?」
「俺とかい?」
正気か、とばかりの表情をキハラは浮かべる。
「あなたが気になっている女性はそれなりにいるんですよ。どうして、その年で独身のままパイロットになったのだろうと。ミステリアスなところがある方ですから」
「で、話してみると口の悪さに幻滅すると」
ホノエはからかい口調である。
「その点、私は幻滅するどころかますますの好意を寄せているわけです。どう考えても良物件だと思いますが」
「告白だとしてももう少し言いようがあるだろ」
ロマンも何もないことにさすがのキハラも肩を落とす。
「あんたも大概だよ」
キハラはマコナに向かって言い放つ。不思議と悪い気はしないような表情だ。
「ん。これは……」
ホノエが自分たちのいる位置を見ながら気がつく。
彼は気がついたのだ。キリたちが知ってか知らずか、ティユイたちと合流しつつあることに。
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