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幼馴染は生徒会長

 アメリアの部屋を出た俺は、叶恵との約束の場所である食堂へ移動する。


 これから叶恵と一緒にご飯を食べて、それから準決勝の作戦確認だ。


 一般客はアリーナや学園のすぐ外の飲食店を利用したり、用意したお弁当を食べる。


 でも学生は学園の食堂や売店が使えるので、人ごみから逃れて校内をいつも通り闊歩している。


 食堂へ向かう俺の周りはいつも通りの光景で、可愛らしい女の子達が優勝者の話題で盛り上がりながら歩いていた。


「おや?」


 食堂より手前の外、バルコニーのようになっているソコはパラソル付きのテーブルとイスが並べられている。


 食べ物を買って来た人はここで食べることができるというわけだ。


 でもそのテーブルの一卓に、叶恵と心美が座っていた。


「何を話しているんだろう?」


   ◆


「やぁ叶恵ちゃん。話ってなんだい?」

「あ、はい、その前に会長、その人達は?」


 心美の周りには数人の女子達が居て、心美の頭をなでたり手を握り『可愛い』と言って愛でていた。


 うん、あいつは昔っからハムスターポジションだな。


 あれで叶恵より、もといアメリアより二つも年上なのだから発育とはまぁ随分不公平なものである。


 神様、もっと融通してあげられなかったんですか?


「気にしなくてもいいよ、ボクの友達さ」

「友達?」


「うん、この学校の生徒はみんなボクの友達なのさ。だからもちろん叶恵ちゃんもボクの友達だよ。友達同士胸を割って話そうじゃないか、もっともボクは割るだけ胸が無いけれど、ボクが割れるのはお尻ぐらいさ」


 子供っぽい顔で笑ってから心美は『朝更君の事かい?』と尋ねた。


「う、うん。そういえばあたし、あいつの事、全然知らないから。会長ってあいつの幼馴染なんですよね?」


「そうだね、でも彼は卓越した戦闘能力以外は普通の少年さ。世間が期待するような悲劇性もヒーロー性も無い。普通の少年だった。幼い頃は漫画を読めばアニメも見る。ゲームをすればお菓子も食べる普通の子供だった。まぁ女の子の親戚が多すぎてみんなの可愛いおもちゃ状態だったのは普通じゃないかな。はは」


「そう、なんですか?」


「うん、でも中学時代の彼は本当にスーパーキッズだったよ。知っての通り、中学一年生で全国中学校MMB大会男子の部優勝。それも圧倒的な差でね。彼の家は軍事甲冑を発明した家で軍ではそれなりに名が通っていたし、軍部はすぐに朝更をスカウトした。そして戦場に行ったきりだ。ボクは戦場の彼は知らない。だから朝更がどんな人かって聞かれたら、性格は普通の少年、強さは異常な少年と答えるよ」


 叶恵はちょっと不思議そうに首を傾げた。


「そういえばあいつ、どうしてあんなに強いんですか? 期待のルーキーって言われる人はいるし、一年で全国大会はおかしくないけど、そんな大差で優勝なんて……」


 心美の人差し指が、ピッと青い空を指す。


「それはね、彼が向こう側の人間、生きる軍神だからさ」

「軍神? ってあいつのニックネームですよね? 他にもリヴァイアサンとか万軍殺しとか」


「そう、そして彼は本物の軍神なんだよ、オカルト的な意味ではなくてね」


 心美の目が細くなり、途端にシリアスな雰囲気をかもしだす。

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