表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いのちの詩(仮題)

不定・定型詩:静寂《しじま》の詩

作者: 浮き雲

一緒に投稿した「散文:静寂せいじゃくの歌」を七五調に直したものです。

通常、定型詩を書く場合は、初めから定型詩として書くのですが、たまに、散文で書いたものを、遊びのつもりで直してみることもあります。

もちろん、散文を直したものですので、行数までは合わせられません。そこで、「不定・定型詩」としてみました。

読み取れる内容は、ほぼ同じで、心象詩となっていますが、印象は少し違うかもしれません。



消えてしまった街の()に 輝きを増す空の星


午前三時のこの世界


飽くことのなき営みや いのちでさえも


無に近く なるひと時の訪れる




貨物(かもつ)電車や遮断機(しゃだんき)も 久しく鳴らず

 

パトカーの 追尾(ついび)を逃げる二輪車の 排気音さえ遠ざかり


停止を叫ぶ拡声器 誘われ犬の遠吠(とおぼ)えも


別の世界に流れ去り


すべてが夜の闇の中 消えて静かになりにける




このひと時は知らしめる


いのちの(わざ)喧噪(けんそう)は 永遠(とわ)にあらずと知らしめる


静寂(しじま)()べるこの時の 世界が、実は本質と


沈黙のうち物語る


暗闇に立ち、東天を


望めば、月は海を越え、いま、天空へ上りゆく




静寂(しじま)の中に生み落とす


瞬く星の瞬きの 静かに(とも)明滅(めいめつ)


いつか、あざなう縄のごと 力となりて流れだし


その気は(そら)(うず)を巻く


見えぬ力の上昇と 下降が生まれ、地に届く


その一瞬に、穏やかに 我を貫き


我が耳に 聴こえぬ歌の聴こえだす




ひとり、いのちの営みの あらぬ静寂(しじま)を我想う


ひとり、いのちの醜さと 美しさとを我想う


振り子のように揺れ動く こころを、風の吹き抜けて


その一瞬の静けさの 中に、音なき音を聴く


星の瞬く、(かす)かなる 光は音と聴こえくる




もはや、静寂(しじま)(あふ)れだし 星の間にまを流れれば


割れては出会い、また、別れ


あざなうままに、静けさは 星のいのちを紡ぎだし 


いつか、音なき韻律(いんりつ)を 刻んで、夜を満たしゆく




静寂(しじま)の刻む韻律に


捨てる数多の感情の 遠き調(しらべ)(まと)わせば


歌わぬ歌に乗せられて やがて、空へと舞い上がり


そのひと時を揺蕩(たゆた)える 我はひとつの星となる 




静寂(しじま)の星は、我となる




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ