表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/303

第96話 依頼変更

「久しぶりだな」


 私はリーツと共に城の外に出て、ファムに会いに行った。

 ファムのいた場所は城から少し離れた場所である。ファム一人で来たわけではなく、伝令用に置いておいた家臣と一緒に来ていた。彼がリーツにファムの来訪を伝えてくれたようだ。


「ベルツドに行くようお願いしたのだが、何か不都合でもあっただろうか?」


 早速、私は本題を切り出した。


「当然ある。依頼内容を大きく変更するのなら、人伝でなく直接聞いておきたい。伝達ミスが起きた時、非常に困るからな」


 なるほど。

 確かに人伝で情報収集する場所を変えるよう指示するのは、少しまずかったかもしれない。そこまでファムと私とでは付き合いが長いわけではなく、強い信頼関係を構築できてもいない。


 私はベルツドへの侵入を依頼しようと思ったが思いなおす。


 ベルツドが一番難関な城であることは確かであるが、それまでもいくつか城はある。今回みたいに全ての城が簡単に落とせるとは限らない。


 ほかの城を落とすのにも、シャドーの力は使えるかもしれない。


 例えば城の中の魔法罠を事前に解いてもらうとか。

 城の門を開けるとか。城の兵に毒を盛るとか。

 兵糧庫に火をつけて、籠城できなくするとか。


 シャドーの力ならもしかしたら、色々やれるかもしれない。


 私は自分の考えをリーツに話してみた。


「なるほど……いいと思いますよ。確かにシャドーの力を借りれば、城の攻略を早められそうですしね」


 リーツは賛成のようだ。


「まあ、でもシャドーが戦の城攻めに役に立つようなことがどれくらい出来るのか、それは分かりませんけど」

「そうだな。聞いてみよう」


 私はファムに城の攻略に役立つ仕事が出来るか、尋ねてみることにした。


「シャドーは城に潜入して魔法罠を解いたり、城の門を開けたり、戦をする際に、役に立つようなことは出来るか?」

「どっちかというと、それの方が得意分野だな」

「そうなのか」

「まあ、人によって何が得意かはあるんだが、オレの得意分野は潜入してからの破壊工作活動だ」


 それなら戦でかなり活躍してくれそうだな。


「ただ、情報収集より依頼料が高額にはなるがな。出せるのか?」

「いくらだ?」

「一回の侵入に付き、最低金貨二百枚は貰う。命懸けになるから当然だな」

「私が払うのは無理だな……クラン様なら払えるだろうが」

「お前の大将か? まあ、払うのは誰だっていいさ」


 クランにファムの話をする必要があるようだな。

 私の鑑定に信頼を寄せているクランなら、たぶん払ってくれそうだが。


「ベルツドに行くって話はいいのか?」

「ああ、依頼内容は変更する。これから城を攻略していくから、必要になったらシャドーの力を借りたい。しばらくは軍に同行してくれないだろうか?」

「分かった」


 ファムは軍に同行することになった。

 ほかのシャドーの団員も来ているようだが、団員たちは軍に同行せず後ろから軍を尾行するようである。必要になったらファムが招集するようだ。


 ちなみにファムは私の近くに常にいることになるようで、私の付き添いのメイドという事になるらしい。主人が心配で心配で急いで駆けつけてきたという設定にするようだ。


 気づいたらいつの間にか、ファムはメイド服姿になっていた。一体どこにメイド服など持っていたのか全く不明である。そもそも、この話をする前はメイド服に着替える予定などなかっただろうに、何で持っていたんだ。


「変装道具は常に持っておくものだ」


 表情で私が疑問に思っているのを察したのか、ファムはそう言った。


 私たちはメイドになったファムを連れて、砦に戻った。





【読書の皆様へのお願い】


下にある星をクリックすることで評価ポイントを入れることが出来ます。


作品を見て面白いと思われた方、続きが気になると思われた方、大変お手数をおかけしますが、評価ポイントをぜひよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 人の長所を何処で上手くいかすか、どんな人と巡り会うのか、毎回楽しみです。 [一言] 面白い話をありがとう。
[一言]  いくらなんでもシャドーこき使い過ぎなのでは、と思ってましたが、少なくともトップのファムは全然気にしてないどころか、打てば響くとばかりにやる気まんまんのようですね。  というか、主人公は「そ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ