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第84話 話し合い終了

「今回は皇帝陛下が仲立ちをなさるということで、レング様とクラン様の皇帝陛下への忠誠が厚いと信じ込ませれば、こちらの条件に嘘はないという事を分かってもらえるはずですわ」

「忠誠心が厚いと思わせるには、具体的にどうすればいいでしょうか?」


 ロビンソンがリシアに質問をする。


「パラダイル総督家の重臣と接触するのがいいと思いますわ。パラダイル家全体が今回の交渉に反対するとも思えません。誰か賛成派の方がいてもおかしくはありません。その方に如何にレング様とクラン様が、皇帝陛下への忠誠心を持っておられるのかを話して、パラダイル総督家を説得するよう頼み込むのです。皇帝家はパラダイル総督家と親密な関係であると思うので、内情をある程度知っていてもおかしくはありませんわ。接触自体も皇帝家の方が行った方が説得力が増しますでしょうね」


 パラダイル総督家の重臣と皇帝家の者を接触させ、説得をしてもらうよう頼むか。


 皇帝家からの情報なら向こうも信頼するだろう。


 皇帝家が受けるかどうかだが……パラダイル総督家との交渉を成立させるということは、皇帝家にもメリットがあるはずだ。成立した場合さらに金が貰える。皇帝の前で忠誠があるとロビンソンが宣言したため、バサマークよりクランがミーシアンを統一した方がいいとも考えているだろう。


「悪くない方法だと思います。しかし、皇帝家からもたらされた情報だからといって、無条件で信じるほどパラダイル総督家も馬鹿ではありません。それが本当であるか裏付けるための情報を集めるはずです。成立した後、レング様に皇帝陛下への忠誠があると裏付けるような行動を、取っていただく必要がありますね」


 ロビンソンがリシアの意見に補足をした。


「確かに裏付けは必要ですわね。この作戦が成功すれば、だいぶパラダイル総督家の心を交渉をする方へと傾けることが出来ると思いますわ。しかし、本当に交渉が成立するかは、最終的に交渉の場での弁舌であったり、受け答えであったりが大事になりますでしょうね」


 最後に実際にレングたちを交渉の場で見て、本当に信じるに足る人物と思わせなけば交渉は成立しないだろうな。そこが一番問題があるところのような気がするが。まあ、ロビンソンが何とかするだろう。


「今回の話し合いはここまでにしましょう。お二方とも誠にありがとうございました。皇帝家へは私が話をしに行きます。仮に駄目であった場合、また改めて話し合いを行いましょう」


 これで今回の話し合いは終わりになった。



 それから数日後。


 ロビンソンは皇帝家に話を付けるのに成功したようだ。


 皇帝家はパラダイル総督家に、使者を送ったようだが、交渉するという返事は貰えず、考えさせてほしいと言われたという。


 ロビンソンの話を受け、使者を今度はパラダイル総督家ではなく、パラダイル州の有力な貴族、ストーレッド家の元に送った。


 ストーレッド家の当主は、パラダイル総督と非常に仲が良く、信頼されているようだ。皇帝家にはストーレッド家にコネを持った人物がおり、その者を使者にした。


 使者は十数日後、帰還して説得してみるとストーレッド家当主から返事をもらったという。


 レングが皇帝家に忠誠を持っているというところを示す行動を取るというのは、使者がストーレッド家に出発した段階で行っていたようだ。


 具体的にどんなことをしていたかというと、帝都には割と皇帝への悪口を言うものがいたので、その者に怒ったり、ロビンソンと二人で外食をしている時、皇帝家が如何に素晴らしい政策で代々サマフォース帝国を治めてきたのか、そしてそれを蔑ろにしているものは許せない、などと話をさせたりした。


 どこに目があるのか分からないので、徹底して行ったそうだが、レングはその間、だいぶ神経を擦り減らす羽目になったようだ。

 ちなみに演技の方はあまり上手ではなかったので、正直騙し切れているのか不安である。



 そして使者がストーレッド家から帰還した数日後、パラダイル総督家から使者がやってきて、交渉すると返答を伝えてきた。





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