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【アニメ3期決定】転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~  作者: 未来人A


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304/305

第304話 反撃

 グラット砦。


「流石、戦女神様ですな!」

「こんなあっさり敵の砦を落とせるとは!」

「敵の奇襲を完全に見破られたのは、見事としか言いようがありません!」


 戦の勝利に貴族たちははしゃいでいたが、エレノアは浮かない顔をしていた。


「うむ、勝ったのに浮かない顔をされてますな」


 バンバがエレノアにそう声をかけた。


「勝ちましたか……あなたには今回の戦が勝利だと見えましたか?」

「……まあ、それなりに兵は失ってしまいましたが、砦を落とすという目標は達成できましたし、勝利かと」

「砦は落とせました。もう一つの目標、飛行船の奪取、もしくは破壊は達成できませんでした」

「先に避難させていたようですな」

「そのようですね。中々敵もこちらがされて嫌なことを理解しているみたいです」

「しかし、飛行船は雨の日には飛べないとわかれば、雨の日に攻め込めば良いのでは? それまでは砦の防御を固めながら、待機すれば良いと思います」

「それはこちらが攻め込む話です。向こうから来られては、雨の日を待って戦など出来なくなります」

「次は野戦になると? しかし、それならばエレノア殿が指揮すれば、確実に勝てるのでは?」

「負ける気はありませんよ。しかし、飛行船相手となると中々に難しい。こちらの攻撃が届かない相手に勝利せよとは、中々の難題だと思いませぬか?」

「それは……」


 エレノアの問いに、バンバは応えられない。


「それに今回の戦で、予想外に損害を被ってしまいました。相手の魔法兵の力が強力過ぎて、相当兵がやられてしまいましたね。事前に話は聞いていましたが、あそこまでとは。シャーロット・レイスという魔法兵は、ミーシアン1ではなく、サマフォース帝国でももしかすると1番の魔法兵かもしれませんね」

「そうかもしれませんな。少なくともパラダイルには彼女以上の魔法兵はおりませぬ」

「敵の撤退の判断も的確でしたね。おかげで敵兵にはあまり損害を与えられなかった。砦は取れたものの、失った兵の数はこちらの方がかなり多いです」

「それでもまだこちらの方が敵より兵力は上ですぞ。敵が攻め込んできても撃退可能だと思いますが。飛行船は強力ですが、あくまで攻撃手段は魔法。要は攻撃回数に限りがあるということです。いかに飛行船が強力とはいえ、軍を壊滅に追い込むほどの破壊力はないかと」

「そうですね……ただ、上からの一方的な攻撃を受けるというのは、兵の混乱を招きます。そして、飛行船の攻撃に関しては、私の力でも避けることは困難です。飛行船は空からこちらを認識しているので、隠れることができず、空を飛んでいるので地形を気にせず自由に動けるので、早く動いて逃げ切るというのも難しいでしょう」

「隠れて移動するしかないでしょうか?」

「行軍ルートには森などの隠れられそうな場所は少ないですね。ただ、森に入って移動したら、炎魔法で焼かれるので、逆効果でしょう」

「うむ……」


 エレノアとバンバは悩む。


「結局戦は敵将を討ち取れば勝ちです。アルス・ローベントを何とか討ち取ってさえしまえば勝てるでしょう」

「それはそうですが……方法は……」

「……」


 エレノアは静かになった後、


「危険で強引なやり方にはなりますが……何とか成功させてみせましょう」


 ニヤリと笑みを浮かべながらそう言った。



 私たちは出陣準備を手早く終わらせた後、兵を率いて、出陣をした。

 今回の戦はほぼ全軍で敵を攻めに行く。

 私も兵を率いて出陣した。


 後方で兵を率いる。


 今回の戦は、ローベント家以外にも様々な貴族が参戦している。

 全軍で侵攻を行ったりする場合は、私も出なければ纏まらない。

 後方なので比較的安全な場所ではあるが、何があるかは分からない。

 進軍をしていく。


 途中、敵軍が出陣したという知らせが入った。


 やはり、相手は打って出たか。

 籠城してもあの砦では守りきれないだろうからな。攻城戦には無類の強さを誇る飛行船の存在を考えると、当然の判断ではあるだろう。

 出陣してきた敵軍の数はおよそ一万。


 最初は二万からいた敵兵を、グラット砦の戦でそれなりに討ち取ったのだが、それでも一万八千人くらいは、兵がいるはずだ。

 まだ砦内にも兵をだいぶ残してきたようである。

 兵を率いているのは、前と同じくエレノアである。


 一度見てみたいが、見たが最後殺されそうなのでやっぱり見たくないかもしれない。

 敵が出陣する前に飛行船を事前に砦に向かわせており、もし敵が出陣してきたら、攻撃をするようにと指示してある。


 飛行船の数は現在二隻。


 一隻にシャーロット、もう一隻にムーシャが乗っている。

 ちなみに現在は快晴。

 今は雨の降りやすい時期ではあるが、もちろん晴れる時は晴れる。

 天候が悪くなったら、急いでルンド城に引き返すように命令してある。

 私たちは慎重に進軍を続ける。


「ご報告です! 飛行船の魔法攻撃が、敵軍に上手く命中し、敵兵の陣形を乱す事に成功! その後、先陣を担当していた、ブラッハム隊、フジミヤ隊が混乱した敵軍と交戦し、大勢の敵兵を討ち取った後、帰還してまいりました。味方の被害は極めて軽微です!」


 斥候からの報告が入った。

 ちなみにファムは私の近くで護衛をしている。その前は飛行船が飛び立つまで、工作を受けないよう飛行船の護衛もやっていたので、かなり働かせてしまっている。


「よくやった!」


 先陣の戦はかなりうまく行ったようだ。

 こちらの兵をあまり減らすことなく、多くの兵を討ち取れた。

 ブラッハム隊は元から精鋭部隊で優秀だが、フジミヤ家の部隊もかなり優秀になってきたな。

 マイカの知力、タカオの勇猛さ、そしてそれらを上手く統率するリクヤ。

 バランスの良さが三人の持ち味で、それがうまく発揮できているのだろう。


「敵軍はその後どう動いた?」

「撤退する兵が大勢いたり、勝手に侵攻する兵がいたりと、統率が取れていないようです」

「何?」


 統率が取れていない?

 敵は戦女神とかいう称号を持っている女が率いている軍だ。

 リーツが敗北したことから、名前が伊達ではないということは明らかだ。

 そんな女が率いる部隊が統率が取れなくなる? そんなことがあるのだろうか?


「エレノアの様子は?」

「それがエレノアの姿がなく……彼女が兵を率いて出撃したのは間違いないのですが……」

「いない……? こちらが討ち取った? なんてことはないよな」

「そのような報告はありません」


 敵将を討ち取ったなら、当たり前であるが討ち取ったことを全力でアピールするはずだ。

 いないというのは、非常に嫌な予感がする。


「前線の兵は統率の取れていない部隊と戦ってるの?」


 ロセルが質問をした。


「こちらに向かってくる兵たちを迎撃した後、撤退する兵たちは深追いせずに、様子を見ております。エレノアの行方を探っている模様です」

「なるほど……何を考えているんだ?」


 ロセルがブツブツと考え始めた。

 彼でもエレノアという女の思考は読みづらいようである。


「と、とにかく、一旦進軍は中止。情報が入るまで、防御を固めておこう」


 ロセルがそう指示を出し、進軍は一旦停止することになった。

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― 新着の感想 ―
エレノアに策ありですか?
攻撃を警戒するなら、有利な地形に移動しかあるまいて、情報戦は、臨機応変な的確な判断が必要よ、判断力がまだまだなメンツなら、戦闘に長けたメンツが必要なんだけどなぁ、討ち取られかねんわ、今川義元彷彿とする…
出撃して来たアルスの足を情報戦で止めさせ防御態勢に追い込んだ。 …頭をよぎる第129話、後方半遮断からの強引な混戦狙いが怖すぎる。トーマスとミレーユは今他所かー!
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