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第295話 合議後①

(一応、予定通り私が1万の兵を率いて戦に行くことになりましたね。ふふふ……)


 ローファイル州の代表として合議に参加していた、エレノア・ブレインドは笑みを浮かべながら、廊下を歩いていた。

 根っからの戦闘狂である彼女は、出陣することが決まると、いつも決まって昂って笑みを浮かべていた。

 今回のミーシアン征伐は、サマフォース帝国が誕生して以降、最大規模の戦になる可能性が高い。

 エレノアの戦果次第では、その趨勢を大きく征伐軍側に有利にすることが可能だ。

 興奮しないわけはなかった。


「やあお嬢さん。ちょっとお茶でもどうだ?」


 キャンシープ代表、ルーベルト・ウモンガスの声だった。

 背後から声が聞こえたが、エレノアは特に気にすることなく歩き続けた。


「おいおい、つれないな」

「興味ありませんので」

「別にちょっと話そうってだけだぜ?」

「話ならここですればよろしいかと」

「せっかくだし向かい合いたいだろ? 君の可愛い顔に興味があるんだ」

「そうですか。私はあなたの顔には全く興味がないので」


 会話中エレノアは一切立ち止まらずに返答した。

 ルーベルトはエレノアの横に並んで歩く。


「照れなくていいんだぜ」

「気持ち悪いので消えてください」


 辛辣なエレノアの態度にルーベルトは苦笑いを浮かべる。


「ところでローファイルは何を企んでんだ?」

「企む?」


 ルーベルトにそう言われ、エレノアは初めてルーベルトの方を向いた。


「今回の征伐軍、ローファイルだけメリットが少なすぎるからな。キャンシープは上手くいけば、センプラーを取れる。シューツはサイツの領地をいただけるかもしれない。パラダイルは皇帝派だから、特にメリットはないが征伐軍には参加するだろう。アンセルは言うまでもないがミーシアンの領地を得られる。ローファイルだけこれと言って何もいいことがないのに、大人しく参加しているのはおかしいだろ?」

「勘ぐりすぎですね。ミーシアンが他の州を征服していけば、最終的にローファイルは勝ち目がなくなり、降伏せざるを得なくなります。それを阻止するため征伐軍に参加を決めただけです」

「ふーん……ほんとかね?」


 特に表情を変えずエレノアは説明する。嘘をついている感じは微塵もなかったが、ルーベルトはそれでも信じてはいないようだった。


「まあ、キャンシープは攻めない方がいいとは言っておくぜ。こっちはアンセルとかと違って結束が固いから簡単には落とせないと思うぜ」

「攻めるつもりは全くないのでご安心を」

「そりゃ良かった」

「もっとも、もし攻めたのならキャンシープだろうとどこだろうと、落とす自信はありますが」

「ほう、そりゃ怖いね。流石戦女神様」


 ルーベルトは半笑いしながらそう言った。


「あんたはつれなそうだし、ほかの女の子口説いてくるよ」


 最後にそう言い残して、ルーベルトは去っていった。


(ルーベルト・ウモンガス。キャンシープで一番の名将と言われている男ですか。確かに少しは頭が切れそうではありましたがね)


 自分の敵になるにしては、迫力が足りないとエレノアは感じていた。

(キャンシープとはしばらくは戦はしないでしょうから、彼のことはひとまずはどうでもいいでしょう。次の戦の相手はミーシアン……)


 エレノアは瞬時にルーベルトに対する興味を失い、ミーシアンの戦について考え始めた。


(今は国王を名乗っているクランは、名将とは聞きますが、国王なので前線には早々出てこないでしょう。ほかにミーシアンには名将がいるのでしょうか? 少し遠い州なので、情報があまりないですね。パラダイル州あたりが詳しそうなので、聞いてみましょう。サイツを陥落させたくらいなので、それなりにいい将がいそうではありますね)


 エレノアは楽しそうに笑みを浮かべながら、ミーシアン攻めについて考えていた。


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― 新着の感想 ―
飛行船のデータはどうやって手に入れたんだろう? 融資を求めてたときのデータならまだわかるけど完成してからのデータ は主人公が機密保持で流出しないよう対策をしていないとおかしい。 どの段階のデータかはわ…
更新ありがとうございます。 エレノアを抑えるのは中々大変そうですが、クランあたりがでてくれば、時間稼ぎくらいは出来ると思います。やっぱり、センプラーが危ない気がします。水軍適正が高い人を探さないと駄目…
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