第6話「出会い」
「…ここが王都か」
馬車に乗る事約2時間。ついに王都へ着いた。
「なんか…すげえな…」
この世界に来てから今まで1度も森の中から出ていない俺にとって、王都の広さは言葉に表せない程だった…
「…とりあえず家に向かおう」
師匠から貰った紙を頼りに町の中を歩き回ることにした———
「分からん!」
王都に着いて1時間後。俺は迷っていた。
「くそッあのじじい字下手すぎかよ!読めん!」
師匠の字が壊滅的に汚いせいで文字が読めずに気づけば王都の中を大体回っていた。
「…しゃーない、誰かに聞くしかないか…」
読めるとは思えんが。人間の字じゃないもんコレ———
ふらふらと歩き回る内に路地裏に入っていた。
え?字は出来たかって?出来るわけねぇだろ。
「まずい…このままじゃ家に着く前に試験が始まるぞ…ん?」
人が居ないはずの路地裏で男達が群がっている。
「ねぇお嬢ちゃん、可愛いね〜俺たちと遊ばない?」
「いっいや…離して!」
「そんな固い事言うなよ〜」
うわー…典型的なナンパじゃねえか。どうしようこの状況。
「あん?なんだてめぇ」
「こっち見てんじゃねぇよ」
最悪だ。気づかれた。…仕方ない、見過ごす訳にはいかんもんな。男として
「その子嫌がってるだろ?離してやれよ」
「あん?何様だお前w」
「正義のヒーロー気取りかw」
「ぶっ飛ばすぞこらぁ!」
男3人が同時に殴りかかってくる。てか動き遅いな!
俺は男達の攻撃を全部かわして腹パン入れてやった。
「ぐっ…」
「なんだこいつ…強え」
「お、覚えてろよ!」
男達は走って逃げていった。しょぼかったな。
「…あの、助けていただいてありがとうございます。」
「ああ、ご心配なk…」
そこまで言いかけて俺の言葉が思わず止まる。
「?どうかなさいましたか?」
…この子めっちゃかわいい———!!!
「本当にありがとうございました。」
俺は助けた女の子と一緒にカフェに来ていた。
「私はフィオラ=レイスと言います。」
女の子はフィオラと言うらしい。銀髪ロングがよく似合っている。
「俺はハジメ=ミカヅキ。よろしくねフィオラ」
苗字を名乗らなかったら変に思われそうなので師匠の名前を借りることにした。
「俺実は今日王都に来たばっかでさ。師匠に家の住所が書いてある紙を貰ったんだけど読めなくてさ。フィオラこれ読める?」
「ええと…はい、何となくなら分かりますね」
まじで?なんでこれ読めんの?
「よろしければ案内しましょうか?」
「いいのか!?」
「ええ。助けていただいたお礼です」
女神だ。女神が目の前にいる———!
「え?ハジメくんも魔法師団の入団試験受けるんだ。」
移動中にフィオラも魔法師団の試験を受けることを知った。そして年齢が一緒ということも。
…これ運命じゃね?
「お互い受かるといいね」
「うん!あ、ここだと思うよ」
目の前には普通の一軒家があった。表札に「ミカヅキ」の名前がある。ここで間違いないだろう。
「ここだよ。案内ありがとね」
「どうしたしまして。明日頑張ろうね!」
そう言い残すとフィオラは走って去っていった。
「可愛い子だったな…」
俺は明日フィオラにもう一度会えることを願いながら今日を終え、入団試験に備えて寝るのであった———
そして———入団試験が始まる。
〈第6話「出会い」END〉