第4話「青の賢者」
「青の賢者ってなんなんすか?」
俺は率直な疑問をクザンさんにぶつけた。
「お主…それさえ忘れたのか…」
「なんすかその目。そんな目でこっち見ないで下さいよ」
クザンさんはまるで未知の生命体を見るような目でこちらを見てくる。いやしょうがないじゃん、こちとらこの世界にきて半日もたってないんだよ?
「…さっき魔法のことを話したよな?」
「はい。たしか5属性あるとかなんとか」
「その5属性の魔法を使う者の頂点に立つ存在のことを賢者と言うんじゃ。「火」は赤の賢者、「水」は青の賢者、「雷」は黄の賢者、「風」は緑の賢者、「闇」は黒の賢者と言われておる」
「へえー」
「へえーってお前…まあいい続けるぞい。賢者になるにはそれぞれの色の本を読む必要があるんじゃ。お主はおそらくだがどこかで青の本を手に入れ、読んだんじゃろう。」
だめだ全然分からん。
「その様子じゃ魔法の使い方もろくに覚えとらんのじゃろ」
「その通りでございます」
「…ついてこい」
それだけ言うとクザンさんは立ち上がり小屋を出て行った。俺はよく分からないままクザンさんの後を追いかけて行くのだった————
「ここじゃ」
「…なんすかここ」
クザンさんについて行くこと30分、巨大な岩場についた。
「あの岩を見ろ」
クザンさんが指差した先には球体の馬鹿でかい岩があった。
「で、でかいすね」
「あれに向かって魔法うて」
「ゑ?」
なんて言ったこの人?魔法うて?
「ちょっと言ってる意味が分からないんですg…」
「うるせぇ!口答えすんな雑魚がぁ!さっさと構えろ!」
いやクザンさんキャラ変わりすぎじゃない?怖いんだけど。
仕方なく俺は魔法を出すという今世紀最大の無茶振りに挑戦するのだった———
「うおおおおおおおお!!!」
「違う!もっとエモーショナルに!」
「なんだそのアドバイス!」
岩場に着いて30分、俺は魔法の練習をしていた。
…できる気しないけど
「くおおおおおおおおおお!!」
「駄目だ!ハートが足りねぇんだよ!もっと熱くなれよぉ!」
そしてクザンさんが出会った時とは比べ物にならないほどの変貌を遂げた。松岡○造かよ。
「…師匠!もっと具体的なアドバイスはないんですか!」
「あぁ!?そんなもんグッとやってバーンだろうが!」
「師匠の語彙力のなさたるや」
「まぁ1つ言うなら変に力を込めるんじゃなくて水をイメージすることだな」
「それだよ!そういうの求めてたんだよ!」
あるなら早く言えよ!
「流れる水をイメージしろ!ハジメ、お前は水だ!ユーアーウォーター!」
「うおおお!俺は…水だああああ!」
———その瞬間だった。
「なんだこれ!?」
「…ほう」
俺の手から大量の水が溢れ出し岩を砕いていた。
え…?なぁにこれぇ…?
「ハジメ」
「…なんすか師匠」
「それが魔法だ。…流石にここまでの威力があるとは思わんかったがな。流石青の賢者」
この世界の魔法ってこんな威力あんの?これ…冗談抜きでヤバいレベルじゃん…
「…だがまだ魔法を出せただけ。全く制御ができとらん。」
「んなこと言われても…」
「これから毎日修行だ。お前が力を完璧に制御出来るようになるまでな」
「えぇ…?」
「返事はサーイエッサーだ!」
拳が飛んでくる。シンプルに痛い。
「返事は?」
「サー…イエッサー…」
こうして俺の地獄の魔法特訓が始まった————
〈第4話「青の賢者」END〉