第3話「魔法の世界」
「ついたぞ。」
じいさんの後をついて行くこと20分、大きな小屋に着いた。ここに来る途中、クザンさんに聞いたがこの世界では日本いた頃の常識が通用する。食べ物からお金まで全部日本と同じだ。
「さ、入れ。」
「失礼します」
小屋の中は案外綺麗だった。テーブルで待っているとクザンさんがチャーハンを作ってきてくれた。
「さ、食え。」
「すいません。いただきます」
…うまい。めっちゃうまい。これ店で出せるレベルじゃないの冗談抜きで。
「うまいです!料理お上手なんですね」
「そんなことないぞい…で?お主はこれからどうするつもりなんじゃ?」
———どうする、か。正直右も左もわからないこの世界で1人になるのは心細い。
「…分からないです。」
「どういうことじゃ?」
「右も左も分からないこの世界で1人じゃ生きていけるか不安でしかないです…いつ記憶が戻るかも分からないし…」
しばらくの間静寂な空間が続いた。そしてクザンさんがゆっくりと口を開く。
「しゃあないなう。だったら記憶喪失が治るまでわしが面倒見てやるわい。」
「!いいんですか!」
「そのかわりしっかり働くんじゃぞ」
「はい!」
こうして俺はひとまず野宿生活を回避することに成功した。ありがとう、クザンさん———!!
「ねえ、クザンさん。この世界って魔法が使えるの?」
飯を食い終わって俺は一番ぶつけたかった質問をしてみる事にした。
「当たり前じゃ。全くそんなことまで忘れるとは」
「ご、ごめん…」
あれ?俺なんで謝ってんの?理不尽すぎる。こちとら異世界から来たんだぞ。
「今から魔法について解説するぞ。魔法は「火」、「水」、「雷」、「風」、「闇」の5属性存在するんじゃ。1人1属性、魔法を使うことができる。魔法の属性は生まれつきで決まるから正直運ゲーじゃな。そしてこのそれぞれの魔法の頂点に存在するのが賢者———!?」
「え?なにどうしたんすか?」
急にクザンさんが目をギョッとする。するといきなり俺の手を掴んで———
「お、お主、この青い本の紋章、どこで手に入れた!?」
クザンさんは俺の手の青い本のタトゥーを見て叫ぶ
「え?どこって…気がついたらついてた。」
「…お主、どこかで青い本を読んだりしなかったか?」
ええしっかり覚えてますよ。あれのせいでこんなとこに来てんだからな。
「はい。タイトルも作者も書かれていない真っ青な本なら読みましたよ。」
「……まじか…」
クザンさんが絶句している。するといきなり手を掴んできて
「お主、青の賢者なのか!?」
「…なんすかそれ」
〈第3話「魔法の世界」END〉