魔眼少女第2章「生者の虚構-序」
いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!
本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい
詳しい詳細は後書きにて
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生者の虚構-序
ザアザアと雨が降っている、森の中は災害を予期したのか小動物達の姿も見えず少年は悲観にくれた、そんな中雨宿りに丁度良さそうな洞窟を見つけたので中に入ってみるとそこには震える少女の姿があった、少年は彼女に羽織りを渡すと会話を始める
そのうちに気がついた、少女は誰か話し相手が来るのをここで待っていたのだと
「誰もいない地上、誰かがいる空、それなら私は空に飛びたいの、あなたはどう思うかしら?」
幾らか話した後にこんな質問をしてきた
「僕は地上に誰も居ないなんて思わないけどな、確かにこの世界の人達は誰もに優しいわけじゃない、でも旅をしてるとたまに親切な人にも出会うんだよ、そんな時にふと思うんだ’この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなって」
「ふーん、それならあなたは死にたいと思ったことはないの?」
「君は見た目の割に凄いことを言うね、そりゃそんなの生きてたら何度かは思うんじゃないかい、でも幸運なことに僕はまだ思ったことは無いけどね」
「そうなのね、私は何度も思ってるわよ、空に帰れたらどんなに幸せかってね」
「それでも君は死んでない、だったら今の方がいいんじゃないかな、それに死んでも人は空には昇らないと思うな」
少年はおにぎりを葉っぱから出して食べる、すると少女が物欲しそうな目をしてきたので半分に割って渡す
「それじゃあ人はどこに行くの?」
「身体は地上に残って魂は天に昇る」
「天?それって空とは違うの?」
「空は見えるじゃないか、でも天は見えないしどんな場所かもわからない、なんたって死んだ人しか辿り着けないんだからね」
「どんな場所かわからないのは嫌だわ、もし星が見えなかったら嫌よ」
「なら君はもう少し生きるといい、ずっと星の下で願って居れば君もいつか星のある天に辿り着けるかもしれないからね」
「でも私は結局1人なのよ、誰もが私を見てるのに誰だって見える人は居ないの、そんな私が見えるなんてあなたは何者なの?」
その時ようやく少年は気づいた、この少女は魔眼に呪われている
存在が徐々に消滅していく呪い、故意なのか事故なのかはわからないがこのままでは少女は一生、いや死んでからも孤独であろう
「これから君の友達になる男だよ、それじゃあ不満かな?」
その答えに少女は満足して微笑む
「私は立花美乃梨よ、友達になれて嬉しいわ」
少年は無邪気に笑う少女の姿を見て放っておけなかった、どうにかして助け出してあげたかった
「君の昔話でもしてもらえるかな?」
「ええ、もちろん」
その話が終わった頃には雨は上がって空には虹がかかっていた
「雨が上がっちゃったわね」
少女の少し悲しそうな顔を見て少年はあるものを作って渡す
「これって...リボンかしら?」
おにぎりを包んでいた葉で作られた粗末なものだが彼女は喜んでくれた
「下手だけど喜んでもらえてよかったよ」
「もう行くのよね?」
「うん、でも必ずまた君に会いにくる、約束だ」
少年は小指を差し出す、それを見て少女も手を出す
指切りを終えた少年は後ろを振り返ることも無く去っていく
「不思議な人ね、ええ信じてるわよ、だから待ってるわ」
木の葉から雫が落ちる、少女は少年が見えなくなってから歩き出す
それから一年後、少女に呪いを施した者を見つけ出した少年はその呪いを解くことに成功した
だが今更もう遅い、あの時少女の身体は限界をとっくに超えていたのだ
なのに消滅もせずに生存していた、そんな不可解な状況で少年は思ってしまった
彼女との出会いが運命であるのならその終わりまで面倒を見よう、と
事実、あれからの少年の1年間は少女を襲ったら魔眼の持ち主を探し出すのに殆どを費やした
「確かここら辺だったよね」
少年は少女と出会った森でそこを見つける、洞窟は崩壊して跡形も無く崩れ落ちていたが少年はそこを見つけることが出来た
「葉っぱで出来たリボン、こんなのを残しておくのは君しかいない」
森木々にいくつもつけられた葉のリボン、人が到底立ち入らないような場所だからこそ成立した目印だ
「この場所も君のことも絶対に忘れないよ」
少年は赤い本物のリボンを木の枝に巻きつけてこの場を去る
そんな少年の姿を少女の魂が見つめていた
それから何度季節が巡ったのだろう、やがて年老いた少年の記憶から少女との思い出は消えてしまった、だが奇妙な巡り合わせがあった
記憶も思い出も全て失ったはずなのに偶然にもあの場所にやって来ていた
森は伐採され、洞窟があった場所には何かを建築しているようだった
景色は一変していたが老人は少女の声で気がついた、その時過去の思い出は鮮やな色をつけられて蘇る
「また来てくれたのね、でも安心して今はお友達が沢山いるの」
悪霊も亡霊も構わずその場に縛り付ける彼女を見た老人はその時になってようやく自らの犯した過ちに気づいた
何故自分はあの時に彼女の事を探さなかったのか、必ず会いに行く、そう約束したのでは無かったのか
「それは良かった、では私は去るとするかのお」
少女にそう語りかけた後に作業している若者に耳打ちする
「此処は行き場を無くして彷徨う魂が集う地じゃ、故に此処に病院を建てるのは良くないでしょう」
不思議がる若者を後に老人は足早に去って行く
永遠の孤独を約束された少女が救われるのはまたしばらく後の物語
時は進み世界は劇的に成長していった、その中でも成長の象徴とも言っていい高層ビルの
あるフロアで男性が時計を見ながら席に座っていた
「ごめんね、仕事が立て込んじゃってて」
男性に話しかける女性はこの一個下のフロアに入っている化粧品店の制服であった
「俺も今来たところだから、それよりも仕事が忙しいのにこっちの手伝いまでさせちまって良かったのか?」
「晴人さんと一緒に出来るなら構わないわよ、それにロブルスさんにもお世話になってるし」
魔眼使いの集まる街だと聞いてやって来たのはいいものの仕事も無く困っていた私に仕事を紹介してくれたのはロブルスさんだ
「岬がそれなら構わねえけどよ、俺的には妹さんも居るわけだし危ない事はして欲しくねえんだけどな」
「それを言うなら晴人さんだって同じじゃない、もう高校二年生だっけ?」
「そうだな、最近は忙しくてろくに話せてないけど女子高生ってのはそんなものなんかね」
「そうね、今度会って見たいな」
「そうだな、今度紹介するよ」
晴人は少し恥ずかしそうに答える
そういえばそんな約束もしてたっけ
あちこちから炎が上がりパニックになる客達に押されながら岬は呟く
「ごめんね晴人さん、約束果たせそうにないや」
事態が起こったのは五分前のことであった
休日のショッピングモールには大勢の人々が訪れていていつも通りの平和な日常であった
岬は仕事を終えて1つ上のフロアへと向かう
ここにある洋食屋は晴人と初めて出会った思い出の場所であった、その日から度々この店を利用している
「アイスコーヒーを1つ、それとニコちゃんアイスを1つ」
ここの店の名物であるニコちゃんアイスは文字通りニコちゃんマークが書いてあるアイスなのだがその顔が起こっていたり泣いていたりと笑っている顔は殆ど無いのだ
そんな中で私と晴人さんが2人で食事をした時に食べたニコちゃんアイスはなんと2つとも笑顔で微笑んでいた
それを見てついつい2人とも笑ってしまった
そんな思い出を振り返っていると突然轟音が響き渡る
そして次に感じたのは夏の暑さなど比較にならないほどの熱気と店の外から聞こえる叫びと悲鳴
「爆発したぞ!」
その声を皮切りにフロアの人々はどうにか下に降りようと階段とエスカレーターを目指して走り出す
その光景を店の窓から見ている岬はこの世の終わりはこんな感じなのかなと呑気に思っていた
何も考えていなかったわけでは無い、だがこの人混みの中を動いてもどうしようもないと思い別の策を考えていたのだ
しかし彼女の思考は中断される、店内の厨房からも爆発が起こる、彼女と同じ考えで店に残っていた人々も逃げ惑う
流石にもうここにいるわけにはいかないようだ
そして人混みの中に流し込まれた私の思考は燃え盛る炎の煙と熱気で段々と失われていく
その時だった、背後から異様な気配が感じられた
そして振り返った瞬間に全てを悟った
「魔眼奪いっ!」
ずっと追いかけていた奴が私の眼を奪おうとしている
私はどうにか抵抗しようと眼の力を解放する
中途半端に力を奪われたせいかその光は奴を消し去るには至らなかった、だが奴は尻尾を巻いて逃げていった
「維持の一矢よ、本当なら一緒に戦いたかったけれどもう無理ね、後は任せたわ晴人さん...」
ドッカーン、フロア全体を巻き込む程の爆発と共に彼女の命は燃え尽きた
だが彼女の意思はやがて受け継がれる事となる、そしてそれは空虚なる日々を送る少女を救うだろう
どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです
それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました
そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました
それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!
というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します
またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!
是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います
作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa
時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります