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魔眼少女  作者: つばさ
24/25

魔眼少女「運命の岐路-転」

諸事情で投稿が遅れてしまいすみません!

運命の岐路-転

深夜零時ぴったりに私はその奇妙な感覚で目を覚ます

「何よこれ、街全体が呑み込まれてる...」

あの時元未南雲を取り込んだ叔母の魔眼の何十倍もの規模の魔眼が展開されている、そして天にはあの時と同じく眼が見える

部屋の扉が開く、私は澪さんだと思い振り返るとそこには違う人物が立っていた

「あなた中立じゃなかったわけ?」

「彼にあなたを連れてくるように言われてましてね、どうですここら辺で降参する気はありませんか?」

「そんな気はさらさら無いわよ、それよりもあなたは自分の身の心配をした方がいいんじゃ無いかしら?」

神奈の手に握られているのは本物の裏刻刀であった、彼女は万が一に備えていつでも取り出せるように枕元に置いていたのだ

「そうですね、流石の僕もそれでは傷つく」

少年がその言葉を言い終わると同時に指をパチンと鳴らす

「させない!」

私は瞬時に裏刻刀を振るうが少し足りなかった、裏刻刀が少年の首筋にあたる直前に魔眼の世界が展開する

一瞬、ほんの瞬きを一回する程度の間だったが少年の姿をが歪み別の人物に視える、その(すがた)は確かに彼であった

「悠人...!」

そして私の意識は魔眼に呑み込まれてしまう


それは何でもないある日の話であった、美香は偶然にも魔眼奪いが路地を歩いて行くのを見てしまった

すぐに晴人と岬に報告をしたが彼らが来るのは後15分もかかるという、その間に魔眼奪いを見失わないように彼女は最大の慎重さを持って奴を尾行した

そうだバレる筈など無かったのだ、彼女の行動に何の非も無かった、ただ偶然にも奴の魔眼が発動してその存在が発覚してしまった、それだけの話だ

「バレちゃったならしょうがないわよね、あなたは既に私の恩師を殺した、だから情けも容赦も出来ないから!」

彼女の眼が輝く、その眼に宿るのは別離の魔眼、その力は世界の表側を切り取り裏側に送るものだった

だから(こっち)側に生きている限りその魔眼には絶対に抗えない、彼女は勝利の確信を持って奴を視た

だが結果は真逆であった、その眼は全く機能しなかったのだ、それどころか奴の眼の輝きにその力は吸い込まれていった

「何で...!」

殺される、そう思った時には遅かった、奴の腕は私の元に向かってくる

一瞬の躊躇の後心臓を素手で一突き、私は死ぬんだ、そう思って目をつぶろうとした瞬間一筋の涙が見えた

「何故来てしまったのじゃ、美香...」

魔眼奪いは確かにそう呟いた、その時私は全てを悟った、あれほどまでにロブルスさんが私の事を止めていたのはこういうわけだったのだ

「あなたの事は...きっと晴人と...岬が止めてくれる...だから大丈夫ですよ...」

今にもその命が尽きようとしている身体で彼女は呟いた

「その魂に無垢なる魂に救済を」

老人はそう言い残して去って行く


不幸の裏の真実の記憶

「はあはあ、まずいどうにかして逃げないと」

この街に来て半年、魔眼奪いなんて話は噂話に過ぎないと思っていた、それがまさか自分の身に降りかかるなんて思っても見なかった

どうにか駐車場まで逃げ込むことが出来た

男は車のキーを刺して回す、そして焦ってシートベルトもせずにアクセルを踏んだ

「はあ、どうにか逃げ切れたみたいだな」

一般道を目一杯飛ばしながら男は呟く、その時であった、余裕が出来たからかミラーへと目を向けてしまった

「お前はっ!」

後部座席に佇む魔眼奪いの姿を見て男は焦ってハンドルを見当違いの方向に切ってしまう

そして次の瞬間、男の車は久しぶりに家族4人で出掛けるはずだった幸せな家庭を崩して爆発した

「今の記憶は...」

この街を取り囲む世界がおかしくなってしまった時、晴人と愛生衣の中に突然誰かの記憶が流れ込んで来た

「どうしたの2人とも?」

咲にに話しかけられて2人は正気に戻る

「何でもない...」

「いや何でもない、今はひとまず未南雲家に集まった方がいいんじゃねえか?」

あんな記憶を突然視せられて何でもないの一言で済むはずは無かった、だけれどどちらの記憶もひょっとしたらそうなのかもしれないという思いはあった

「そうだね、街の様子も気になるし一度外に出てみよう」


ある日ただ1人を嵌めるためにその何百倍もの者が命を落とす事を良しとするほど老人の思考は変わっていた

何事も無く終わる筈だったただの日常、それは轟音と共に打ち壊される

「爆発したぞ!」

その声を皮切りにフロアの人々はどうにか下に降りようと階段とエスカレーターを目指して走り出す

その光景を店の窓から見ている岬はこの世の終わりはこんな感じなのかなと呑気に思っていた

何も考えていなかったわけでは無い、だがこの人混みの中を動いてもどうしようもないと思い別の策を考えていたのだ

しかし彼女の思考は中断される、店内の厨房からも爆発が起こる、彼女と同じ考えで店に残っていた人々も逃げ惑う

流石にもうここにいるわけにはいかないようだ

そして人混みの中に流し込まれた私の思考は燃え盛る炎の煙と熱気で段々と失われていく

その時だった、背後から異様な気配が感じられた

そして振り返った瞬間に全てを悟った

「魔眼奪いっ!」

ずっと追いかけていた奴が私の眼を奪おうとしている

私はどうにか抵抗しようと眼の力を解放する

中途半端に力を奪われたせいかその光は奴を消し去るには至らなかった、だが奴は尻尾を巻いて逃げていった

「維持の一矢よ、本当なら一緒に戦いたかったけれどもう無理ね、後は任せたわ晴人さん...」

ドッカーン、フロア全体を巻き込む程の爆発と共に彼女の命は燃え尽きた


「はっ...」

沙彩はまるで現実であるかのような夢を視た、いや違う夢であってほしい現実を視たのだ

そしてふと窓の外に目を向けてこの世界の異変に気付く

「どうなってるのよこれ、取り敢えず神奈ちゃんに連絡しないと!」

彼女のケータイにかけるが繋がらない、そもそもスマホの電波マークが圏外と表示されている

「直接会いに行くしかないわね」

沙彩は服を着替えて部屋を出る


ある1人の老婆が森の中で孤独に最後の時を迎えようとしている時に扉は開いた

「あんた...久しぶりだねえ」

「私が救済した彼女はどこにおる?50年ほど前神宮家を襲わせた時に奇妙な現象が起こっていた、あれは彼女の仕業じゃよな?」

久々に会った友人への対応をする老婆とは違いロブルスは自身の聞きたいことだけを口にする

「何で今更来たんだい...あの子はもう魔眼には関わらないんだよ」

魔眼(ちから)が必要になったんじゃよ、この醜い世界の在り方を変えるためにのお」

「あんたは変わったよ...昔のあんたが変えたかったのは世界なんかじゃない、1人の人だよ」

「世界を変えれば全ての人々は死をもって救われる、それにしても君は変わらんのお」

ロブルスの眼が輝く、彼女の記憶は彼に読み取られる

「チッ最初からそうしてりゃ良かったのに...あんたも悪い人だ...」

老婆は息を引き取った


「...えっ」

夢ではない、そもそもまだ寝付けてないというのに夢を見るはずがない

だとしたらこれは現実である、誰かが私に過去を視せてきたのだ

「ロブルスさん、あなたの事は信じてあげたかったけどもう無理ね、私から大切な親友を奪ったのがあなたなら私にも復讐する権利くらいはあってもいいわよね」

戦う理由がまた一つ増えてしまったが一つも二つも変わるのもではないだろう

変わり果てた世界を一瞥して優香は部屋を出る


これは魔眼を奪われた者と奪った者がかつて持っていた記憶の断片である

8年ほど前の話だ、魔眼使いが集まる街があると聞いて此処にやって来た、それからはその時に偶然パンドラに来ていたメンバーで度々仕事をしていた

ロブルスを通して依頼されるのは殆どが表社会では罰することが出来ない者達を懲らしめるというものだった、大抵の奴らは魔眼を使えばその力に怖気付いて悪事を止める

そんな日常を過ごしているうちに僕達に直接依頼してくる者達が現れた、そしてその中にはなんの悪事も働いていない一般人を対象としたものもあった

いわゆる私怨というやつだ、ただ気に食わないから、邪魔だから罰してくれというのだ

当然そんな理不尽は受けるわけにはいかないと思った

だが他の皆は違った、彼らは法外な報酬金に目が眩みその依頼を受けようと言ってきたのだ

「僕達は困っている人に仕事をしてきたんじゃなかったのか、無実の人を陥れてまで金が欲しいのか!」

彼らならそれで改心してくれる、そう思った僕が馬鹿だった

「生憎俺らは正義の味方じゃないんだよ、そりゃ世のため人のためになる仕事が沢山来れば話は別だ、だけどよ現実は違うだろ?俺らは今を生きるので精一杯なんだよ、いつか来るかもしれない善良な市民からの依頼よりも今来てる悪魔の囁きに乗るべきなんだよ!」

その時に初めて気がついた、彼らが今までやってきたのは慈善ではなく仕事だったのだと

そして僕の考えなど幻想でしかなく、今の世の中ではそれが当然であると

「わかったよ、5人で受けてくればいい、僕は他の仕事をするよ」

チームを結成して一年、初めての決裂であった

依頼の日、僕は迷子の猫を探すという単純な仕事だったのですぐに済まして街をぶらついていた

手元にある金は数千円、吹けば飛ぶような金額だがそれで十分だった、自分の魔眼など人様に少しでも役立てればそれで良いのだ

コンビニに寄っておでんを買って店を出ると雪が降り始めていた

「あいつら大丈夫かな...」

だんだんと降り積もる雪の中コンビニの影で熱々のおでんを頬張っていると電話が鳴る

見知らぬ番号からだった、少し不審に思いながらも電話を取る

「もしもし?」

「仲間は預かった、返して欲しければこの番号にお前達が今まで稼いだ全額を振り込め、こっちは帳簿を持ってるんだ少しでも合わなければ即刻こいつらを殺す」

それだけ言って電話はぷつりと切れた

その声はチームを結成して最初の仕事で懲らしめたマフィアに似ていた、言ってしまえば復讐である

とは言ったものの今まで稼いだ額ほどの金を用意できるつては一つしかない、僕は急いでパンドラへと向かった

魔眼使い以外は誰も通らないのでは無いかと思うほど常に人気の無い路地裏を通りパンドラの扉を叩く

まずはじめに感じるのは酒の匂い、そして散らかった紙が目に入る

「そんなに慌ててどうしたのかね?」

ロブルスは突然の来訪に驚くこともなく答える

「あいつらが昔懲らしめたマフィア達の罠に嵌って捕まった、助けるには今すぐ金が必要だ、頼む貸してもらえないか!」

「彼らを助けてどうするんじゃ、その様子だとお前さんは罠に気づいて彼らを止めたのじゃろう?」

頭を下げる緋夏斗にロブルスは諭す

「別に罠だって気づいてたわけじゃ無い、怪しんだのは妙に報奨金が高かっただけだ、それにあいつらを止めたのは僕の正義に反するからだ」

それを聞くとロブルスは無造作に奥の机の引き出しを開けて何枚もの手紙を机の上に広げる

「今まで私の元に送られて来た怪しい依頼じゃよ、全部お前さん達には渡さないようにしてきたがまさか直接依頼してくるとはのお」

「今まで断ってくれてたのか...」

これだけの数の依頼だ、全部をこなせば一生不自由に暮らせる金が手に入るだろう、だがロブルスさんはそれをしなかった

「お前さんはさっき正義と言った、ならばその正義を破った今の彼らは悪なのかねえ?」

「今はそうかもしれない、でも連れ戻したら必ず...」

「いいかい緋夏斗、お前さん達は同じ道を進む者達じゃ、だから決して互いに傷つけ合うことなど許されぬ、何かを傷つける時は必ずそれと対極の存在にならねばならん」

世界中の誰もが一度は抱きそれを認めるであろう復讐心、それに対極するものといえば...

「誰もが一度も抱かずに認めることすら許さない残虐性...」

「正解じゃ、じゃがそれを持つのにお前さんはいささか若過ぎる」

「だがそれじゃあ誰が助けるんだ!」

ロブルスは彼の目を見つめてその質問に答える

「もう既に手が汚れている者じゃよ」

緋夏斗の意識がブラックホールに吸い込まれるように消えていく

朦朧とした意識で見た最後の記憶、それは悪を持って悪を滅ぼさんとする老人の姿であった


廃墟

「まだ金は支払われねえな、やっぱりお前達は見捨てられたんだよ」

マフィアの部下らしき人が彼らが縄で縛り付けられている椅子を蹴りつける

「そこら辺にしておけ、彼らも反省しているようじゃないか?」

マフィアのボスらしき人物の声は一同を安堵させる

「だから痛みも感じないくらい一瞬で殺してあげよう」

だが彼らは一瞬の希望を与えた後に比にならない絶望の波に呑み込れる

口を縛られた仲間達は声にならない叫びを上げる

銃口が彼らの中の1人に向けられる

「さよならだ力に溺れた小僧ども」

バンッ、音が聞こえる、その音に反応して身を瞑る余裕もなく脳が貫かれるはずだった

だが銃弾は彼の目の前で静止した

「お前さん達は確かに必要悪かもしれん、じゃが子を殺される状況で出張らん親は居ない」

その瞬間マフィア達は何かに呑み込まれる

混沌とした光の世界、眩い正義の光を持ちながらも暗い闇の歪みを持つそれは魔眼使い(ロブルス)が絶対の権限を持つ魔眼の世界である

一度マフィア達は魔眼使いに遊ばれた経験がある、だがその時とは何かが決定的に違った

恐怖だ、まるで子供が危険なものだとは知らずに無邪気に刃物を持って遊んでいるような感覚、そうだ自分達は遊ばれているのだ

それもあの時とは違い壊れても構わない玩具として

「やっやめてくれー!」

1人が声を上げる、それを皮切りにマフィア達は次々と叫びを上げる

だがボスはロブルスを見つめて銃口を向けている

「お前さんは恐怖を感じんのかね?」

「別にそういうわけじゃねえ、ただ私はこの力を知ってるんでね」

ギロリとした視線と共にその手に持つ拳銃に光が灯る

「隷属の魔眼、残念だったな爺さん、あんたの人生はここで終わりだ」

轟音と共に放たれる紫の光を纏った銃弾、それをくらったら最後彼に刃向かうことはおろか従属を余儀なくされる

「なに!」

ロブルスは銃弾をまるで野球ボールを取るかの如く易々と掴んでその力を砕いた

「何年前かのお、その力を持つ支配者をついつい殺してしまった...」

その後悔は人の生を奪った事に向けられた言葉ではない、彼はその眼を奪えずに殺してしまったことを後悔しているのだ

知っている、ただそれだけの事で抑えられていた感情は決壊する

「俺はそんな力は知らない、お前は人間か...?」

「人の道を外れたという点ではお前さんと同じ化け物じゃよ、だが人を救う為なら私は神にだってなろう」

ロブルスが手をかざすと空間が歪む、この場で俯瞰する部外者には何も見えないだろう

だがその魔眼の対象となる者には死の形が見えている

「お前さんには何が見える?」

男の瞳に映るのはこれまで殺めていた者達、己の都合のみでこの世から弾いていた不純物である

今までゴミ以下だと見下してきた彼らは恨みでも憎しみでもなく、ただ滅する者として彼に向かってくる

「やめろ、謝罪でも何でもする、だから私に近づくな、やめろ!」

世界がが亡霊で埋まる

周りの人間を利用して悪だと見なされた男は自らの犯した罪によって終末を迎えたのだ

なんと素晴らしい救済だろう

「そうか、てめえは死神か...」

彼は自身の罪を浄化してからこの世を去った、これこそがロブルスの求めた究極の救いの形である

世界は収束してロブルスと気絶したマフィア達だけが元の居場所に戻る

「久々の解放じゃ、年は取りたくないのお」

ロブルスは少し疲れているようだ、そしてそんな彼の姿を見て驚く者達に告げる

「この記憶はお前達には不要なものじゃ、だが恐怖は心に刻んでおくべきじゃよ、二度と過ちを繰り返さぬためにもな」

一瞬彼の眼が輝いた気がしたがそんな事はその場にいた誰もが覚えていない

ロブルスの存在は蜃気楼の如く消えていく


「はあはあ、もうすぐだ」

自分だけ安全な場所で待ちぼうけするのが我慢ならなかった緋夏斗はパンドラを飛び出して例マフィアの居場所に向かっていた

もうすぐ目的地に着く、そう思った瞬間目の前に漆黒の夜空に溶け込みそうなほど黒い何かが目前に迫った

何の感情も持ち得ない歪な光、それを見たときには全てが終わっていたが今思えばそれこそが始まりだったのかもしれない

昔耳に挟んだことがある、魔眼を奪う眼を持つ者がいると、その時はまさか自分が出会うとはこれっぽっちも思っていなかった

だが恐怖したわけでは無い、魔眼奪いはその余裕すらも与えずに僕から眼を奪った、ただそれだけの話だ

それから僕がパンドラに招き入れられる事は無かった、だが仲間の節介でロブルスさんとは一度だけ話す機会があった

「もう戻る気は無いのかね?」

僕は首を横に振る

「あの日僕の正義は仲間を守れなかった、だから正義を磨く事にします」

何故かあの日の記憶は殆ど残っていなかった、覚えているのは仲間を救えなかった自身の愚かさと誰かが彼らを助けてくれた事、そして魔眼奪いに襲われた事だけだ

それでも心に刻まれたものはあった、自身の正義を全うできる強い人間になる事、それがあの日決意した事

「それなら良い、自身の正義を得た時はパンドラはいつだってお主を招くじゃろう」

それ以来僕はパンドラに行けなかった、いや行けなかったのだ

警察になって元魔眼使いを集めて魔眼専門部署を立ち上げ自分なりの正義を全うした

だけどその正義が正しいのかは自信が無かった、結局警察という組織は起こった事を解決するだけで事態の何もかもが起こる前に止められる事は滅多にない

僕が望んでいた正義はそんなものだったのだろうか、幾度の自問自答をしても答えは得られなかった

だが本当のパンドラに辿り着けたという事はそれは間違っていなかったのかもしれない


急激な視界の変化とともに僕は現実に引き戻される

「今のは...」

夢というには奇妙であった、まるで本当に今の自分の身体と思いがそこに居たようだった

「こうしちゃいられない、今すぐロブルスさんに会って確かめないと」

過去に僕を含めた6人を救ってくれたのは彼だ

ならば問わねばならない、何故今更になって彼らを裏切ったのかを

緋夏斗は車が一台も走っていない一般道を時速100キロ以上で走る

「今日くらいは勘弁してもらわないとね」


澪は神奈の声で目を覚ます、そして外の異変に気付き部屋から飛び出す

「神奈ちゃんは?」

先に居間でもう既に着替えて待機していた優香に問う

「どこにも居ないわ、どうやら先手を打たれたみたいね」

やられた、きっと銀髪の少年の仕業だろう

あの時突然部屋に現れた時点で考えておくべき可能性だった

「彼が向かうとしたら、きっとパンドラよね、あなたは先に外に出て南波紫苑と合流してちょうだい、私は少し用事があるからそれを済ませたら向かうわ」

澪は走って部屋に戻る

「神奈、必ず助けるわ、だからもう少し頑張りなさいよね」


「はあはあ、頼む繋がってくれ!」

緋夏斗はパンドラへ続くはずの路地を走っている、偽のパンドラに辿り着くとしたら後角を一つ曲がった時だ、逆にそれでも辿り着かなかったら少しは希望が持てるというものだ

「ダメか...なんでダメなんだ」

そこには一軒の建物があった、傷のついたような看板には確かにパンドラと書いてある

「あれっ、この線は...」

それは以前神奈が書いてしまったという油性ペンの跡だった

緋夏斗は慌てて扉を開ける、するとそこには1人の老人が立っていた

「まさかお前さんが一番乗りだとはのお、緋夏斗」

「ロブルスさん...、僕はあなたに聞かなければならない、何故こんなことをするのですか?昔のあなたはそんな人ではなかった」

「何故か、それは救済の為じゃよ、そしてそれは今も昔も変わらん」

「そんな事はない、あなたは私達を助けてくれた、そんなあなたが変わらないなど...」

「何も変わらぬよ、私は彼らを救済した、そして次はお前さんの番じゃ緋夏斗、この計画が成就するまでしばし夢に落ちよ」

ロブルスの眼の輝きを見た彼は眠るように倒れた

「ただ今戻りました、まさか僕より先に着く人間かいるなんて思いもしませんでしたよ」

少年は神奈を背負ってパンドラに入る

「まったく仕事が遅い、次は彼らに絶望を与えてくるんじゃ」

その瞳に映っているのは誰も居なくなった街をかける神奈の仲間たちであった

「わかりましたよ、彼女の眼はすぐに奪うんですか?」

「いや、彼女には絶望を教えなければならん、そして死を望んだ時にこそ救済の意味がある」

「そうですか、せいぜい足元をすくわれないように気をつけてくださいね」

少年は去る

「一度匣が開けばもう元には戻れんよ、絶望は際限無く溢れかえる、世界はようやく在るべき姿に書き換えられるのじゃ」

目を瞑り意識を失っている神奈を見て告げる

日曜日に完結するはずが諸事情で投稿出来ませんでした!

結もすぐに投稿致しますのでよろしくお願いします!

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