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魔眼少女  作者: つばさ
23/25

魔眼少女第5章「運命の岐路-承」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!

運命の岐路-承

トントン、早朝から扉を叩く音がする、一体誰だろう

「どなたですか?」

「澪よ」

「退院出来たんですね、今開けます」

扉を開けるとそこには大量の荷物を持つ澪の姿があった

「どうしたんですかそれ!?」

「食料よ、いつ魔眼奪いが何をするかわからないし、それに3人もいたらこれくらいすぐに無くなっちゃうわよ」

思考が追いつかない、今彼女は3人と言ったはずだ

「えっと、澪さんもしかしてうちに泊まるんですか?」

私が恐る恐る尋ねると彼女はさも当然であるかのように告げる

「そうよ、心配しなくても大丈夫よ、ちゃんと和葉さんからの許可も貰ったわ」

別にそこに関して困惑しているわけでは無いのだが、そもそも今更断ったところで万全の準備をしてきた彼女にも悪いだろう

「わかりました、でも自宅の方はいいんですか?」

「あそこなら緋夏斗が使ってるわ、なんでもそっちの方が未南雲家(ここ)に近いからって」

そんな事で家を貸してしまってもいいのだろうか、突然の訪問に疑問は尽きないが一々聞くのもキリがないのでやめておく

「それじゃあ私はこれから学校に行くので優香のことをお願いします、彼女まだ寝てるので」

昨日は張り切りすぎたのか七歳の身体は疲れきりすっかり熟睡していた

「了解、いってらっしゃーい」

私は澪さんに送られて家を出る

その日の夜高宮さんから電話がかかってきた

「昨日の話なんだけどロブルスさんがずっと昔から生きていた可能性が高いっていうのは本当なのかい?」

「そうですよ、彼が本物の魔眼奪いだとしたらの話ですけど」

しかし私の過去からして彼が魔眼奪いなのは間違いない事実である

「それだとおかしいんだ、昔ロブルスさんに見せて貰った資料に書いてあった記述にはこうあった、死の期限を延ばす魔眼は存在する、だが世界の許容範囲を超えた延命は世界に拒絶される、それが真実だとしたら彼の身が持っている理由がわからない」

「因みにその資料を見たのはいつ頃の話ですか?」

「僕が魔眼を奪われる半年くらい前だったと思うよ、きっと彼が狂い始める前のはずだ」

「そうですか、なら一体...」

少し考えて私はある事を思い出す、彼は悠人を襲った時に2つに別れたように見えた、だとしたら...

「ロブルスは悠人を襲った時に表裏の魔眼の力で表と裏側に別れたんですよ!それで裏側の彼は世界の拒絶から逃れたんです」

「それでは表側は死んだっていうのかい?それに裏側に彼が居るとしたら実態を無くした幽霊みたいなものだろう、この4年間で彼に触れた人が1人も居ないとは思えない」

世界の拒絶から逃れられるような不思議な場所、そんなの思い当たるのは一箇所しか無いがそこは既に警察が....

その時私の中に潜んで居た違和感が解けた、そうかそんな簡単な事に私達は気がついていなかったんだ

「パンドラですよ!あそこならきっと世界からの影響を阻めます!」

「確かにそうかもしれないな、そもそもロブルスさんがパンドラを作った理由もそれかもしれない、だがあそこは既に調べ終わっているはずだが」

「あのパンドラは偽物だったんですよ、本物はきっとあそこにあるけれど今の私達には入る権限を与えられてないんです」

「そうか、だから警察も容易に立ち入れたのか」

「念の為澪さんが前回訪れた時の動画と今回の動画を照合して確かめて欲しいんですけど」

その時後ろから肩を叩かれる、誰かと思い振り向くとパソコンを持った優香の姿があった

「話は聞いたわ、それはこっちでやるから問題無いわよ」

「だそうです、高宮さんは本物のパンドラの場所をどうにか特定出来ないか試してもらえませんか?」

「わかった、警察内で極秘にやっておくよ」

今までの仮説があっているならパンドラを破壊してしまえばロブルスと戦うまでもなく戦況を好転させる事ができる

「最後に一つだけだけ質問があるんですけど、ロブルスの側で銀髪の少年を見たことはありませんか?」

「そんな子は見たことないな、その子も関係あるのかい?」

「確信は出来ませんが少なくもロブルスの名を知っていて私達の敵です、もし出会ったら戦わずにすぐに逃げて連絡をください」

「忠告ありがとう、それじゃあそっちの結果が出たらメールしてくれ」

私が電話を置くと優香がこちらを向く

「結果出たわよ、あなたの考察は正解ね」

その画面には二つの画像が微妙にずれて重なっていた

それにしても随分と仕事が早いものだ

「了解、連絡しておくわ、それにしても凄い技術ね、一体どうなってるのかしら」

「画像の角度が殆ど同じ箇所の場面を切り取って比較してるのよ、でもこんなちょっとの差なんてよく気がついたわね」

「実はパンドラの前で転んじゃって看板に一本だけ線を油性ペンで書いちゃったのよ、流石私」

「ただの棚ぼたじゃない、まあ今回はそれが役立ったのだから良かったけれど」

あの時偶然書いた本人すら気を付けないと気づかないレベルの線がまさか役立つ時がくるとは、人生とは面白いものだ

「内装も所々微妙にズレがあるわね、まあそれも肉眼で見ても気づかない程度の些細なものだけれどね」

優香は疲れたのか欠伸をしながら部屋へと戻る

そうだ話忘れていたが澪はさんと優香が家にしばらく泊まるということで2人用に2つ使っていない部屋を開けたのだった

私は1人で暇になったので丁度聞きたいこともあったし澪さんの部屋に向かった

「あら神奈ちゃん何か用?」

優香の部屋と違って必要最低限の物が綺麗に整えられた部屋だ

「私の安寧の魔眼の事を、いやあなたが知っていた事の全てをどうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」

「知ったらあなたは全部受け入れる事が出来たかしら?」

「えっ...それは..」

わからない、突然初めて会ったと思っている人に実は前から知り合いだったと伝えられ、その上家族の事件は強盗殺人なんかじゃなくて魔眼奪いの仕業だなんて言われたら私は彼女の事を信じる事が出来ただろうか?

「パンドラの前であなたと会った時にすぐに気づいたわ、あの事件以来連絡が取れなかったのも私の事を全く覚えていなかったのも、何らかの要因で記憶を欠損しているんだと思ったの、だからまずはあなたに信頼してもらってどこまでの事を知ってるか聞き出そうと思ったのよ、そしたら驚いたわよ、一緒に住んでいた同居人の戸籍が一切見つからなかったんだもの、でも同時に確信したわ、4年間ずっと止まっていた歯車がようやく動き出したってね」

「それならその時教えてくれても良かったじゃないですか」

「仕方ないじゃない、神奈ちゃんも色々忙しそうだったしこれ以上の面倒を押し付けたく無かったのよ、それに私の正体を知らなくてもあれだけ信頼してくれてるなら問題なかったしね」

私はどうやら要らぬ疑いをしていたらしい

「そうでしたね、別にあなたが誰であろうと信頼していました」

その答えを聞いて澪さんは満足そうに笑う


そんなこんなで奇妙な共同生活は1週間の間何事もなく過ぎていった

そしてついに私達が集まる日がやってくる

空は雲に覆われいつ天気が崩れてもおかしくない空模様の中彼らはそれぞれの思いを胸にこの場に集まった

たった1人の男を除いて

「結局来なかったわね、一体どこにいるのかしら」

澪はスマホの画面をつけながら呟く

この屋敷の中でも一番広い部屋に集まってもらったが流石にこの人数だ、誰か仕切る人がいないとまとまらない

「えっと中には初めて会った人達もいると思います、取り敢えずはそこは気にせずに本題に入ろうと思います」

長テーブルの真ん中で神奈は声を張り上げる

「ここにいる人達は魔眼奪いに対抗する為に協力をしてもらう大事な助っ人です、危険が伴うであろう戦いに足を踏み入れてくれた勇気に感謝します」

「そんな堅苦しい挨拶は要らないんじゃない?そもそも今日未南雲家(ここ)に来た人達は理由は違えど目的は同じはずでしょう?」

ここに居るのは皆、魔眼奪いと戦うに値する理由を持ち合わせている者達ばかりである

未南雲神奈は自身を含めた家族の借りを返す為に

新崎澪は親友との約束の為に

山崎晴人は2人の親友の無念を晴らす為に

山崎咲は友達を守る為に

林堂愛生衣は借りを返す為に

並木沙彩は死した姉を弔う為に

神宮優香は友の真実を知る為に

高宮緋夏斗は己が過去を見つめる為に

そしてここに居ない彼は大切な人を助ける為に

各々の目的は違えど目指す目標は重なっている、だから私達は協力できるのだ

「それじゃあまずはロブルスについての見解を話すわ、言いたい事がある人は適宜話してちょうだい」

私はこないだの晩に高宮さんに話した仮説をみんなに伝える

「あのさそのロブルスって人が2人に別れたなら片方だけ倒しても意味ないんじゃない?」

咲の意見に一同は悩む

「その人は2人に別れたのよね、表と裏ってよくある善と悪に別れちゃったみたいなものなのかしら?」

「一般的に人が分離するとしたらその基準は善悪でしょうね、でも奴は表裏の魔眼で分離した、だとしたら事態はそんなに簡単じゃ無いかも知れないわ、表と裏という基準なら幾らでも可能性は考えられる、例えば二重人格の人が別れたら2つの精神が分離するだろうし」

沙彩の疑問に澪が答える

「どの道2人共倒さないとダメな気がするわね、それでも元は1人なわけだしひょっとしたら弱体化くらいはするかもしれないわね」

「それなら俺らも二手に分かれて攻撃した方がいいな」

「ようやく意見がまとまってきたわね」

「これなら勝てるかも...」

その瞬間部屋が暗くなり怪しげな声が響く

「そんな考えで勝てるほど彼は甘くありませんよ」

銀髪の少年が突然部屋の中に現れる、そして

私達は一瞬で魔眼の世界に呑み込まれる

「あなたは一体何者なの?」

他のみんなはなにが起こったのか把握出来ずに茫然としているが一度夢で経験した私は冷静に尋ねる

「前にも言ったじゃ無いですか、世界を守る為に強力過ぎる力に警鐘を鳴らす者だって、もう忘れちゃったんですかお姉ちゃん?」

「それじゃあ別の聞き方をするわ、あなたは誰の味方なの?」

「僕は世界の味方ですよ、だからロブルスにもあなた達にもつくつもりはありませんよ、まあ便宜上表向きにはロブルスの駒ですけどね」

私はその言葉を聞いて自らの立場を悟る、彼の言葉は真実である、どちらが世界につこうと彼には逆の立場の者を1人で倒す力を持っている、足が震える、意識が虚構へと呑み込まれる

「ふざけるのも大概にしなさいよ!」

皆が意識を失っている中、一番先に動いたのは優香であった、時計の針は少年の周囲に出現し彼へと向かう

「その程度では敵わないと言っているんですよ!」

少年の身体にすんでのところで突き刺さる前に針は砕ける、そして優香の足元から荊が現れ彼女を拘束する

「一度の絶望で人はその膝をつく」

少年が手を上げると七色の光を持つ光弾が私達へと降り注ぐ

「人は絶望なんかに負けない!」

彼女の動きは封じられた、だが声が皆の意識を戻す

魔眼を持つものはその力を、持たざる者たちを守る為に振るう

神奈の裏刻刀は優香を縛る荊を切断する

形勢逆転とまではいかないが何とか立て直す事ができた

「なるほど、では見せてもらう事にしますよ、あなた達が絶望に打ち勝つ瞬間とやらをね」

世界が元に戻る、しばらくの間くらい誰も口を開けようとしない

話そうにも口を開けたら弱音が出てきてしまいそうなのだ、こちらの全力は彼の小手調べ程度であった、そんな事実を突きつけられて誰が弱音を吐かずにいられるだろうか

「私は...戦うよ、みんなみたいに大きな目的があるわけじゃ無い、でも神奈ちゃんが困ってるなら私は戦う」

一番初めに口を開いたのは意外な事に愛生衣であった

「そうだね、勝負は時の運、最後まで勝つか負けるかなんてわからないよ」

咲も続く

「俺はロブルスを倒す為にここに来た、今更降りれるほど背負ってるものは軽くねえ」

「同意見よ、乗りかかった船なんだし最後まで付き合うわ」

「絶望なんてとっくに味わってるわ、それがなんだってのよ、私が見てるのは希望の未来だけよ」

「僕だって同じだよ、ロブルスさんには聞きたい事がある、その為にも死ぬ訳にはいかない」

「やっとここまで辿り着いたんだもの、ラストスパートといこうじゃないの」

この場にいる皆が勇気を振り絞って立ち上がってくれた、だったら私は...

「ここまで来て私が折れる訳にはいかないわよね、みんなありがとう、だからもう少しだけ付き合ってもらってもいいかしら?」

その時扉が開く

「こっそり覗いていたら突然消えて、戻って来たと思ったら静まり返って、かと思えば決意表明ときた、随分と賑やかな面子だな」

その顔を忘れるはずがない

「南波紫苑!」

「紫苑!」

私と同時に優香もその名を呼ぶ

「ようやく来たわね、家まで来たのならここに入ってくれば良かったのに」

「合わせる顔が無いと思ってたからな、だが俺も仲間だと認めてもらうには入らんわけにはいかん、理由などなんでもいい俺はお前を助けよう未南雲神奈」

そんな彼の姿はあの日ショッピングモールで現れたナンパ野郎とは違っていた

「それじゃあ仕切り直しね、もう少しだけ私についてきてもらえるかしら」

「うん」「ええ」「勿論だ」「おう」

様々な同意の声が聞こえる、皆の決意が固まったところで今日はお開きとなった

晴人、咲、愛生衣は3人揃って仲良く帰って行った

緋夏斗は「どうせ私は一人ぼっちで帰るのよー」とふてくされていた沙彩をパトカーに乗せて連れて帰っていった

紫苑は優香と話があるようで部屋へと入っていった

残された私と澪さんは2人でお茶でもする事にした

「もう夜だから紅茶でいいかしら?」

「はい、私の家なのに淹れてもらってすみません」

「いいのよ、和葉さんに言われたこの家に住む条件の中に神奈ちゃんの世話も入ってるんだから」

そんなのは初耳だ、他には何を頼んだのだろう

「叔母さまは元気にしてましたか?」

「元気っちゃ元気なのだけれどね、元気過ぎるのよ、普通拘置所にずっと居たら気が滅入って出所の誘いに乗るものよ、なのに彼女ったら一切曲がんないんだもの」

「まあ元気そうなら良かったです、それに心配しなくても大丈夫ですよ、叔母はいざとなったら必ず来てくれます」

それは希望的観測などではなく確信であった

澪も思っていた、彼女は神奈が困っていたら絶対に助けるだろう、その在り方が家族なのだ


優香の部屋

「久しぶりね、そこまでの時間は経って無いはずなのに凄く久々な気がするわ」

彼女はあの頃と変わらず微笑んでいる、俺にはそれだけで十分だった

「相変わらず元気そうで良かったよ、それにしてもまさか君が魔眼使いだとはあの時は思いもしなかった」

「それは私だって同じよ、あなたが来た時は心臓が飛び出るかと思ったわ」

「俺が魔眼を手に入れたのは君が去った後の事だからな、まあその眼は未南雲神奈に斬られたわけだがな」

「あら、それじゃあもう眼は持っていないの?」

「それはどうだかな、新崎曰く俺は最終兵器らしいからな、いくら君と言えどもそこから先は話せないな」

「ええー、つまらないわね」

優香はちぇっと言い笑った

「何がおかしいんだ?」

「あなたとまた出会えるなんて運命かと思ったのよ」

「なるほどな、確かにそれはそうかもな、今日は帰る必ずまた会おう優香」

彼は微笑んで部屋を去る

「あら意外だわ、でも嬉しいわね、さようなら紫苑」


何処かここでは無い場所

パンドラの地下

「時は満ちたり、毒はこの街全体へと広がった、今夜がこの世界に訪れる最後の夜にする為に私はこの力を振るおう」

ロブルスがその瞳を床に書かれた眼を形取った魔法陣に向ける、すると魔法陣は眩い光を放つ

「ついに始まりましたか、では僕は駒としての仕事を果たしに行くとしますか」

観覧車の頂点からこの街を天から見下ろす少年はニヤリと笑い風に晒された灰のように消えて行く

街全体がまるで生きているかのように震えている、隣町との境界線のピッタリ内側、パンドラを中心に魔眼の世界が展開される

雲は渦巻き眼の形を形成する

本来この街で暮らしている人々は外へと弾き出され今この街に残っているのは魔眼使いかロブルスの仕掛けた毒に耐え得る何かを持っている者だけである

ロブルスは自らの内に入った世界の命を感じ取る

「パンドラの匣は開いた、この街に残った反逆者は全部で10名、さあ救済を始めようじゃないかい」


どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

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