表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔眼少女  作者: つばさ
20/25

魔眼少女第4章「天理人欲-結」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!

天理人欲-結

屋敷の中は思っていたよりも全然綺麗だった、廊下に積もる埃も無く、池は綺麗に透き通っている

「誰かが手入れをしたわね、叔母さまだといいのだけど」

近頃うろついているというマフィアらしき人間も気になる、門の鍵はとっくに古くなって壊れていたので侵入するだけなら容易である

「1人分だけ足跡があるわね、だけど隠すのが下手よ、こんなのじゃ複数人で訪ねたのを隠蔽したってすぐにわかるわ」

「これのどこが怪しいわけ?」

意外なところで探偵気質を発揮する優香に私は問う

「足跡の大きさが少しだけまばらなのよ、これって何人かが同じ場所を通らない限りならないもの」

そんな会話をしながら縁側を歩いていると広間が見えた

「ねえ、ここって...」

強い思いはその場所に何かしらの痕跡を残すものだ、例えば所謂パワースポットなどもその影響が大きい

悍しいほどの絶望と悲しみ、何十年経とうと消えない感情がここには渦巻いていた

「悪霊も寄らないほどの悪性なんて聞いたことないわよ、ここが事の発端で間違いないようね」

前に澪さんから聞いた祖父の死の謎、その答えがここにあるはず

「うっ...」

優香が頭を抑える

「大丈夫!?」

咄嗟に彼女に触れた私の頭に記憶が流れ込んでくる

明るい日差しが射す何もない日常、それは誰かの叫びで崩壊した

何が起こったのかわからずにただ立ち尽くす男の子がいた

何かを必死に止めようとする女の子がいた

何が起こったのか全てを理解しながらも自身の意識を保てずに暴れ狂う男がいた

家具が飛び障子が破れる、荒れ狂わんばかりの暴風となった男の暴走は不思議と子供達には被害を及ぼしてはいない

「逃げろ...ニゲロ!」

ただそれだけを告げて男の意識は崩壊する、その時少女の眼が光を放った

男の足が止まる、突然の光に驚いて止まったわけではない、その足が石となったのだ

その瞬間男は一瞬だけ自我を獲得した

「泰、和葉、母ちゃんに伝えてくれ、未南雲家はこんなところじゃ終わらねえってな!」

男の腹から鮮血が吹き出す、彼は自らの腕でその身を貫いたのだ

そんな人間離れした男は徐々に石化していく、そして彼の生命活動が完全に停止する寸前、彼は完全なる石像となった


意識が現実の身体に叩き込まれる、あまりの衝撃に吐き気と目眩がする

私は未だに苦しむ優香を持ち上げて部屋を出る

「はあはあ、助かったわ」

「今のってあなたの力よね、だったらあの光景は過去にあった現実、祖父の最後のはず」

「一体何があったのよ、どうすれば人はあそこまで狂えるっていうの」

「考えるのは後にしましょう、取り敢えず他の部屋を調べて見ましょう、それと絶対に私から離れないこと、いいわね?」

「わかってるわよ、正直私も一人で行動なんてしたくないわよ、こんな感情を視たのは初めてだわ、人に拒絶する権利すらない災害のように襲いかかってきた、そんな印象ね」

祖父の様子も災害と呼ぶのに相応しい破壊であった

「災害のような力、それが祖父の魔眼のようね、それで叔母さまはやっぱり石化の魔眼で決まりね」

その時ふと疑問が浮かんだ、あの状況で父はなんらかの魔眼を使っていたはずだ、それなのに惨状の中にはその痕跡は一切無かった

「神奈、ぼーっとしてないで早く探しましょう」

優香に手を引かれて思考は停止する

「そうね、暗くなる前に済ましちゃいましょう」

屋敷の広さは私が住んでいる現未南雲家の三倍はあり普通に探していたらとてもじゃないが2人で見られる量では無かった、だが不幸中の幸いか部屋の大半は引越しの時に処分したのか何も置いていなかった

「はあ、あらかた探し尽くしたけれどめぼしい記録がこれだけだなんて」

これだけの広さを調べて出てきたのが古びたアルバムが一冊だけなんて理不尽にも程がある

「やっぱりあそこも蹴破ってでも見たほうがいいんじゃない?あなたそういうこと得意そうだし」

「はあ、私これでも未南雲家のお嬢様なんだけどなあー」

とはいえこんな現状ではわざわざここまで足を運んだ意味がない

私は渋々ドアの前に立つ

「蹴りなんて習ったことは無いのだけれど!」

ガンッ、鈍い音を立てて私の足に激痛が走る

「痛ったい!どうなってるのよ、びくともしないじゃない!」

神奈は子供のように騒ぎ立てる

「全く仕方がないわね、これだから若輩者はいけないわ」

突然先輩ぶった発言をした優香の手には鞘に納められた刀が握られていた

「一体何処から出してきたのよ、ていうかあなたって剣道出来たわけ?」

「いいえ、斧なら振ったことはあるけれど刀は無いわね」

そう言いながら刀を鞘から抜き斧を振るように構える

「ちょっと待ちなさい、真剣なんだから素人が振るうものじゃ無いわよ!」

必死の呼びかけで優香は刀を下ろす

「いい、刀っていうのはこうやって振るうのよ!」

神奈の眼が光を持つ

斬、空気が震える、その一刀はまさに空間断絶、まるで世界を斬ったかのようだ

木で出来た扉には斜めに切断された跡が確かにある

「ふう、魔眼を使った裏世界との同時切断なんて初めてしたけど案外上手くいくものね」

本来幾ら保存状態が良かったとしても相当の間手入れがされていない真剣で木製の扉など切れるはずがない

だから神奈は表裏の魔眼で裏側ごと斬ったのだ、裏の支えを失った物なら切断は可能だ

「凄いわね神奈、本当に切っちゃうなんて」

「私にかかればこんなのチョロいものよ、さあ入りましょう、ってあれ?」

神奈はとっくに何処にも繋がっていないただの板を押したはず、なのにそれはピクリともしない

「どうなってるのよ!」

押しても引いても微動だにしない、試しに全力でグーパンチしてみたが結果は先程と同じだった

「動かそうとしても叩いてもダメ、だとしたら何かしらの力が働いてると考える方がいいんじゃないかしら?」

「調査書に隠匿の魔眼って書いてあったわよね、ひょっとしたらその力が働いてるのかも」

つまりここに木の扉が存在するかなどどうでも良いのだ、それはあくまでも隠しているという象徴であり、それ自身が壊れたところで隠匿には何の不具合も生じないのだろう

「はあ、そうなると完全に手詰まりね」

「まだアルバムが残ってるじゃない、見るだけ見て見ましょうよ」

優香は床でアルバムを開く、そこに写っていたのは小さい頃の父と叔母の姿だった

「あっこの写真...」

その中には家に飾ってあったものと全く同じ写真もあった、また先ほどよった店の女将であろう子供と店前で撮った写真、そして門の前で出会った老人との写真もあった

「昔はみんな仲が良かったのね、それなのに今はなんでこんなにもピリピリしているのかしら」

優香は不思議そうに呟く

「魔眼さえ無ければ世界はもう少し平和だったのかしらね」

私は思わず呟いてしまう、魔眼を肯定する気はさらさらない、だけれども否定をするたびに夢で出てきた少年の顔が脳裏をよぎる

その他の写真も何事も無い日常の一部が写っているだけであった

「時間も遅くなってきたし、一度片付けて夕飯にしましょう」

食材は地元の商店街で買い込んできたものを仕舞ってある

「そうね、それがいいわ」

日が沈んであたりに暗闇が訪れる頃、私は澪さんの身を案じながら廊下を去る


病院にて

月明かりが病室に咲く花を照らす、優香の視た未来まであと1分、沙彩は静かに目を閉じてその時を待つ

窓から吹いた風が花を揺らす、扉が開かれる

「はあ!」

風のような一閃、魔眼使いと言えども身体能力は一般人避けられるわけがない

確実に決めた、そのはずなのに...

部屋の電気がついてその女性は入り口の手前に立っている

「あなたはどなたかしら?」

苦しそうな顔をして一瞬目に手を添えたその女性は私の一撃を避けながら部屋の照明のスイッチを入れた、そんな事が普通の人間に出来るはずがない

私の身体は思考よりも先に行動する、動かなければ死ぬ、その恐怖に突き動かされる

ガンッと音を立てて私の木刀は彼女の身体に触れる前に止まる

「拳銃で受け止めた!?」

引いたら撃たれる、でも引かないと致命的な一撃で殺される未来が見える

「もう一度だけ聞くわ、あなたは何者なの?」

「神奈ちゃんの協力者ってとこからしらね、前に一度家にお電話した事がありますけど」

「あの時の...神奈は無事なの?今あの子はどこにいるの!」

銃口がこちらに向かないように木刀で抑えながらの押し問答はそろそろ厳しい

一瞬手を緩めて彼女の態勢を崩させる、だがやはり予感は当たっていた、バランスを崩しながらも彼女の眼が輝く

その時後ろから声がした

「きっとロブルスに神奈ちゃんを人質にでも取られたのでしょうけど、今彼女はあなたを過去の束縛から救う為に未南雲家の跡地に行ったわよ」

はっとして後ろを振り向いた瞬間、和葉の首筋に鋭い痛みが走り身体は廊下に倒れる

「あなたなんで...」

「やっぱり澪さんの言う通りだったのね、石化の魔眼は相手の目を見ない限り発動しない、だったら単純よ目を瞑ればいいだけじゃない」

目を瞑りながら首筋を的確に狙い打つ、そんな事は口で言う程簡単に出来る話ではない

「ここから先はあなた達の家の問題よ、それじゃあお休みなさい」

澪は元の病室に入り沙彩が扉を閉める

「まったく、何も知らなかったのは私の方だったのね...」

廊下に1人残された和葉は病室の扉を開ける事もなく病院を去ろうとする

病院の門を通ろうとしたその時物凄い寒気に襲われる

「そっちに新崎澪はおらんよ、お前さんとて約束を忘れたんじゃないじゃろう?」

その姿はまるで夜の闇から這い出てきたかのようだ、きっとこの者は光の下にあっても決して染まる事はない、それどころか光を呑み込むだろう

「私を騙していたのでしょう?報いは受けてもらいましょう!」

その眼が輝く、魔眼奪いはそれを見つめながら自らの眼を輝かせる

これで奴が止められるのなら私も消えてもいい、神奈ちゃんの事は新崎澪がどうにかしてくれるだろう、元々彼女はそれを望んでいたのだ

だがそんな望みは打ち砕かれる

私の身体の支配権は確実に失われていく、なのに奴の身体には一切の変化がない

「なんで...!」

もう声を発する権利すらも奪われそうになる中和葉は叫ぶ

「脅威はあと2人、残念ながらお前さんは入っておらんよ」

魔眼奪いは和葉に近づいて耳元で囁く

「未南雲神奈に魔眼を使え、これは提案ではなく命令じゃ」

和葉は一瞬躊躇するがすぐに立ち上がり虚ろな目で病院から出て行く


元未南雲家

ゴトンッ、夕食を食べ終わりお風呂にでも入ろうかと思った時何かが落ちる音がした

「ひょっとして...」

「行くわよ、神奈」

私達は先程破壊しようとした木の扉へと向かう

「やっぱり、中に入れるわよ!」

どうやら先程の音は斬られた木片が床に落ちた衝撃らしい、何故謎の力が解けたのかはわからないが入れるうちに入るのが正解だろう

中に入って最初に目に入ったのは血が付着したボロボロなっていると障子に家具、それに畳であった

「これが未南雲家の過去の痕跡...」

私がそれらに魅入っていると優香が奥の方で声を上げる

「絶対に居るってわかってたわ、でも実際に見ると恐ろしい...」

私は部屋の奥に目を向ける、そこにあったのはに佇む人影、影の中に居たら生きていると勘違いする程に精密な石像があった

「初めてお会いしましたねお爺様」

私は挨拶をした後にその石像(にんげん)を観察する

腹を貫いた右腕は今もなおその状態を保っている、そして必至に自らを止めようとしていたその最期は今にも動き出しそうなほどの躍動感を持っていた

「あなたよくこれを見てられるわね、私はもう限界よ」

優香は部屋を去る、私は彼女を経由して視ただけだ、だが彼女にはあの場にあった感情が直接降りかかってきたのだろう、耐えられないのも無理はない

「お嬢ちゃんはひょっとして未南雲の者かい?」

「誰!」

「未南雲明屋、嬢ちゃんの血族だよ」

その声は石像からであった、姿形が全く同じものに重なっていたので気がつかなかったが驚いたことに祖父の魂は未だにこの石像(からだ)に閉じ込められているのだ

「私は未南雲神奈、あなたの息子の未南雲泰の娘です」

「そうかそうか、俺が居なくなっても未南雲家は続いてたか、それなら良かった」

勝手に安心し始める彼に完全に置いていかれる

「その未南雲家が、いや魔眼使い全員が危機に晒されているんです、だけどその前に未南雲家の事で片付けないといけないことがあひますら力を貸してもらえませんか?」

「今の俺に出来ることならなんだってするぜ、その代わりって言っちゃあなんだが1つ頼みごとを聞いてもらえるか?」

勿論ですと私は頷く

「全てが終わったら俺を壊してくれ、出来れば和葉には内緒でな」

「わかりました」

その依頼は想定していた、冷静に振る舞うが内心は真逆だ、彼の身体は石になってもまだ生きている、それを壊すのは彼を殺す事と同義だ

だけれど未南雲家の跡取りとして過去に蹴りをつけるならそれくらいはしないと顔が立たない

「お嬢ちゃんの癖に肝が据わってるな、流石は我が息子の娘だ」

それを聞いてふと思い出した、この人は子供達の悲惨な運命を知らない、なのにさっきの一言は...

「知っているかもしれませんが私から最初に伝えなければいけないことがあります、父は、私の家族は私以外全員魔眼奪いに殺されました、そして叔母の和葉さんは今魔眼奪いに操られている可能性が高いです」

それを聞いた彼は驚くそぶりもなく真に冷静に答える

「泰が死んだのは何となくわかってた、だが兄弟揃って魔眼奪い絡みとはな、それにしても奴さんはいつから人を殺すようになったんだ、昔はそんな奴じゃ無かったはずだぞ」

「昔の魔眼奪いを知ってるんですか?」

「ずっと昔の話だ、初代未南雲家の長男には妹がいたらしい、その子も魔眼を持っていたがそれがどうにも世間から恨まれる類のものだったらしくてね、その子はある日突然姿を消した、そしてその間に出会ったのが奪いだったらしい、そして眼を奪われた少女は家に戻ってきたがその後すぐに自殺した、これが未南雲家に伝わっていた話だ」

「でもその魔眼奪いって今いるのとは別人ですよね、それなら変わったもなにも...」

「いや、同じだよ、その子が死んだ場所に毎年命日になると花が置いてあった、少なくとも俺の代まではそうだ、幸い未南雲家の存在は隠匿の魔眼のおかげで露呈はしなかったそうだが気味が悪い話だぜ」

「命を繋ぎ死の期限を伸ばす、そんな魔眼が存在するなんて...」

「魔眼なんてそんなもんさ、そもそも人の思考の範疇に収まってる方が珍しいってもんだ」

「それと聞きたかったんですけど、なんで父が亡くなったのを知ってるんですか?」

「未南雲家の魔眼はちょっと特殊なんだよ、この家に生まれた子供は必ず男なら右眼、女なら左眼に隠匿の魔眼を宿す、そしてその眼を家族の誰かが失うと何となく気づいちまうんだ、というかお嬢ちゃんはそうじゃねえのか?」

私の左眼はなんともない、未南雲家が代々受け継いでいる力なら私だって持っているはずなのに

「隠匿の魔眼の存在自体を隠されてるとしたら私はその力に気づかないんでしょうか?」

「和葉が隠してるのなら気づかないだろうな、魔眼の力は使ってる期間と比例して少しずつだが上がっていく、恐らく泰が死んでから未南雲家の事を守っていたのは和葉だ、だったら嬢ちゃんが気づかないのも無理はない」

つまり叔母さまは私を魔眼の世界に行かせたくなかったのだ、それなのに私は踏み込んだ

「ありがとうございます、それとこっちが本命なんですけど、あの日に何があったのか教えてもらえませんか?」

明屋は真剣な表情で答える

「未南雲家の長男には必ず1つ新たな魔眼が覚醒する、長女である和葉が魔眼を手に入れたのは単なる偶然だ、そしてあの日に泰に約束された眼が覚醒したんだよ」

遠い目をしながら彼は続ける

「泰の眼は他の魔眼とは違って異色の力だった、暴走の魔眼、それは見た者の眼を暴走させる魔眼の家系で絶対に持ってはならないものだった、だが俺も和葉も気づいた時には全部終わってたんだよ、俺の意識は災厄の魔眼に呑み込まれて家を破壊し尽くした、それでも家族を傷つけずにいられたのは和葉の眼のお陰だ」

不幸中の幸いというには悲惨すぎる話だ、魔眼によって起こった悲劇は結局魔眼が終わらせた、その時点でもうどうしようもないのだ

「辛い過去を教えてくれてありがとうございました」

「そんな事はねえよ、それよりも俺が、いや歴代の未南雲家の人間が魔眼を継承する家として暴走の魔眼の危険性に気づかなきゃいけなかったんだ、その尻拭いをあろうことか嬢ちゃんにやらしちまうことになったとはな、歴代当主を代表して礼を言わせてもらうぜ、こちらこそありがとな」

「私だって未南雲家の端くれです、それに今それが出来るのは私しか居ませんから」

それを聞くと彼は満足そうに微笑む

「ははっ、本当に凄え嬢ちゃんだ!」

彼の魂はそれを告げると石像の中へと戻る

私は今聞いたことを心に留めて部屋を出る、すると優香が扉の側で待っていた

「随分と激しい独り言ね、ひょっとして二人言だったかしら?」

どうやら優香は全てお見通しのようだ

「ええそうよ、過去の真実は全部わかったわ」

「なら後はそれを未来に繋ぐ、その為にも話しておきたい事があるの」

私と優香は夕飯を食べた時と同じテーブルに座って向かい合っている

「それで話って何?」

「あなたの左眼に宿る魔眼のことよ、澪の日記には1つだけ書いていない事があったの」

「それって隠匿の魔眼?」

「そうじゃなかったのよ、あなたの母親は自分がいつ死んでも南條家の秘密をパソコンに書き出してたの、そしてその事実を澪に伝えた」

私は優香の次の言葉を固唾を飲んで見守る

「未南雲家に代々受け継がれてきたのはあなたの言う通り隠匿の魔眼だわ、でも南條家にも左眼に受け継がれてきた魔眼があったの、それが安寧の魔眼、暴走の魔眼と対極を成す力よ」

「そっか母の血を濃く受け継いだ私は安寧の魔眼を受け継いだ、その結果隠匿の魔眼は受け継げなかったのね」

「あなたの母親によると安寧の魔眼を持つ人々の大半がその力を気付かないうちに振るっていたらしいわ」

優香を止めた時に感じた力はそれだったのだ、あの時表裏の魔眼で戦う事を放棄した私は無意識のうちに安寧の魔眼で彼女の暴走を抑えようとしていた、そう考えればあの謎の力にも説明がつく

「それにしても何で澪さんはこんな大切な事を教えてくれなかったんだろ」

「さあ、どうしてかしら?」

その理由を優香は知っていた、彼女も当然その疑問は持ったのでこちらに来る前に澪にこっそり聞いていたのだ

「それで何で神奈にその事を伝えなかったのかしら、彼女の叔母は暴走している可能性が高いわ、伝えるのなら今が絶好のタイミングだと思うのだけど」

「神奈ちゃんと居るとね、澪穏と居た時みたいに不思議と落ち着くの、あなたもわかるでしょう?」

私は頷く、何故かはわからなかったが彼女の側にいると魔眼の調子が良いのだ

「きっと彼女は安寧の魔眼の力を無意識に行使している、だったら今私から伝えるより危険になりそうだったらあなたに伝えてもらった方がいいわ」

結局心配だったので伝えてしまったが彼女ならきっと上手くやるだろう

その想いを胸に秘めて星が浮かぶ空を見つめる、闇の絨毯の上にも輝く星々が沢山落ちている、その中でも一際強く輝くのが皆を導く希望となるのだ


次の日の朝

「ふぁーあ、おはよう神奈」

眠そうな優香に対して神奈の表情は硬い

「澪さんから連絡が来たわ、昨日の夜はどうにか無事に乗り切れたそうよ、そして今日叔母さまは此処に来る」

今も彼女が魔眼奪いに操られているかどうかは五分五分だそうだ、私としては操られていない方が事がスムーズにに運ぶので良かったのだがあまり期待はしない方がいいだろう

「火事よ!」

その時近くの家から

から叫び声が上がった、私達が慌てて飛び出すと近隣の何軒かの家から火が上がっている

「助けに行かなくちゃ!」

今にも走り出しそうな私の身体を優香が止める

「どう考えても罠よ、あなたの叔母さまはあなたにしか救えない、隙を突かれて魔眼奪いに襲われたらどうするの!」

「でも私達のせいで無関係な人達が死ぬのなんて見てられない」

優香の制止を振り切ってでも行こうとする私に彼女は優しく言葉をかける

「だから私が助けに行くの、それが脇役の仕事ってものよ」

彼女はそう告げて走って行く、名脇役に一言ぐらい激励をしてやりたかったが今の彼女に相応しい言葉は私の辞書にはまだ無かった


炎は先程とは別物なのではないかと疑いたくなるほど大きくなっていた

燃え盛る村の中で少女は考える

「火を止めるのは簡単ね、でもそれにはまずはこの人達をどうにかしないと...」

突然の火災で村の人々は軽いパニック状態だ、ある人は走って少しでも遠くに逃げようとしある人は家財を取る為に燃え盛る家に入ろうとしている、こんな状態では火を止めたところで誰が焼け死ぬかわかったものではない

こんな時に思ってしまう’私に別の力があれば’と、本当に困った時ほど魔眼に頼りたがる魔眼使いの悪い癖である

「落ち着け!」

村中に響き渡るのではないかと言うほどに大きな声で誰かが叫んだ、一瞬この場の時が止まったかのように皆が硬直する

「男共は身の安全を確保して女子供を助けるんだ!」

その声に応じて人々は冷静さを取り戻す

「今ならいけるわ、止まりなさい!」

優香の眼が光り炎はその在り方を保ったまま広がるのをやめる

村全体を止めるなんて馬鹿らしい事も神奈の安寧の魔眼が働いているからこそ出来る事だった

それでも限界はある、少女は荒れ狂う炎の中で必死に限界に抗う、その時彼女の身体を誰かが持ち上げる

「ちょっと、ってあなた...」

「やっぱり未南雲の嬢ちゃんと一緒に居た子か、こんなところに居たら焼けちまうぜ」

昨日門の前で出会った男だった、先程声を上げたのも彼だったのだ

「村の人達の避難は?」

お姫様抱っこされながら優香は問う

「お嬢ちゃんで最後だよ、ありがとうお陰で村のみんなは助かった」

何故彼は私にお礼を言うのだろう、まさか彼も魔眼の力を...

火の中を潜り抜けてどうにか安全な場所に降りた時に私は疑問をぶつける

「私の力を知ってるんですか?」

「詳しくは知らねえな、だけど明屋さんに一度だけ聞いた事があったんだ、未南雲家は特別な力を持っている、だからその力を守る為にいつか此処を去る事になったら後は頼んだってな、勿論そんな事は嬢ちゃん達に会うまですっかり忘れてたけどな」

男こ火傷の跡を見て優香は溜息をつく

「そんなになってまで村の皆を助けるなんて、あなた思ったよりも親切なのね」

「明屋さんの墓で誓ったんだ、賛成派も反対派もひっくるめて村のみんなと必ず再開発を成功させるってな、だからこんな所で終わっちまったら困るんだよ、それに未南雲の嬢ちゃんの友達を見殺しにしたとなりゃ明屋さんに顔向け出来ねえからな」

彼はタバコを咥えると去って行く

「こっちはどうにかなったわよ、だからあなたも負けないでね神奈」

ボロボロの身体で呟くと草原に寝っ転がる、救急車と消防車の音が鳴り響く以外は絶好のお昼寝日和だ、少しくらい休んでもバチは当たらないだろう


「隠れてないで出てきたらどう、卑怯者さん?」

神奈は因縁の部屋で刀を握りしめる、そこに渦巻く負の感情が神奈の感覚を最大まで研ぎ澄まさせる

瞬間銃声と共に男達が数人現れる

「危ないなあ、ボクじゃなかったら死んでたよ」

神奈は迫り来る銃弾をすんでのところで真っ二つに切り裂いた、それは魔眼の力と剣術の合わさった極地

「それを斬るか、ならばこうしよう」

的確に足元を狙った一撃を避けるとその先にも銃弾、それを容赦なく斬り捨てるが胴に二発、急所では無いがこちらの動きを確実に封じる為のやり方だ

「やるね、でもまだ足りない!」

目の輝きが増す、迫り来る銃弾だけを裏側の世界に落とし素手でそれを弾く

だが神奈は目の前の出来事に気を取られて後ろから迫り来る影に気づかなかった

スタンガンを持った男が背後数十センチセンチの場所まで迫っていた

瞬間的に魔眼を使った反動か身体が上手く動かない、まずいこのままじゃ...

寸前男の足が止まる、石だ、男の足は石化している

「神奈ちゃん...逃げて!」

和葉の叫びが響く、だが遅い、その瞬間に屋敷全体が魔眼の世界に呑み込まれる

蛇だ、屋敷をまるごと呑み込んでしまいそうな大蛇がとぐろを巻いている、曰く神話のメドゥーサは髪が蛇であったと言うがこれがそうだとしたら彼女のサイズはまさに神様と呼ぶのに相応しいだろう

それだけ絶望的なのだ、ペロリ、蛇の下がマフィアの一人に触れる

その瞬間彼は生きた石像となった、だがおかしな事に仲間がやられたと言うのにまだ動いているマフィア達は私を見据えている

「神奈ちゃん、私はもう止まれないわ、だからお願い私を...」

そこまで言って彼女はピュルリと大蛇の下で巻き取られ丸呑みにされる

「ロブルス、あなたが何をしたのか知らないけれどふざけるのも大概にしたほうがいいわよ」

怒りが眼をより一層強く輝かせる、今にも襲ってきそうなマフィアなど眼中にも入れずに大蛇の背を登って行く

「どんな生き物でも頭を叩けば大抵落ちる!」

もう少しで頂上まで辿り着く、そんな時に地上で呟く声が聞こえた

「未南雲神奈、きみの負けじゃよ」

ロブルスだ、先程まで動いていたはずのマフィアの殻を食い破るように中から彼が出てくる

「まだ終わってない!」

「終わりじゃよ、凄惨なる過去の残滓よその後悔、その憎しみ、その絶望、全てを力に変え顕現せよ」

ロブルスの眼が怪しく光る、瞬間あの部屋に残っていた罪が一点に収束して人影を作る

「さあ行くがいい、そして己が罪を終わらせよ」

ロブルスは影となり消える

神奈はついに天空に至る、大蛇(これ)を壊せば全てが終わる

「終わらせる!」

大蛇の脳天への避けようの無い一撃、だがそれは暴風の如く現れた影に阻まれる

「あなたは...」

その影を見た瞬間思考よりも早く身体が動く、あれば人間が敵うものではない

あれば先ほど’素手’で裏刻刀を弾いた、そしてその拳がこちらに向かってくる

「ぐっ!」

どうにか受け切ったが私の身体は反動で大蛇から滑り落ちる

「災厄の魔眼、視てはいたけどまさかここまでとはね」

祖父の影(あれ)の全体が災厄そのものだとしたらさっきの拳なんて些細なものだ、それですらボクの魔眼を凌駕した

「そうか、あれにはストッパーが無いのか」

幾ら魔眼を使っているとはいえ人の身体には限界がある、だがあれは過去の残骸の化身、人間でない以上痛みや苦しみは感じない、むしろあれはそれすらも力に変える類の化け物だ

「そうじゃよ、だがそれがわかってどうする?」

眼が浮いていた、いや正確に言えば天が彼の眼となっていた

まるで雲が偶然にも眼の形を成してしまったかのようにロブルスの眼がそこにある

「前に立つものは斬る、それがボクの戦い方だよ!」

必ずロブルスの元まで辿り着いてやる、だからこんな所で終われない

「ようやく終わりじゃよ、未南雲神奈、その魂に救いがあらん事を」

眼は大蛇へと光を放ち消えて行く

「キュウサイを殺傷を!」

影は叫びながらこちらへ突進してくる

「いずれお前を殺して(すくって)やるよロブルス!」

刹那、神奈の剣撃は影の攻撃を的確に受け止める

「やっぱりそうだ、災厄は誰にだって操れない」

人間がこれに敵わないのはどう頑張ってもそれを操る技術は人間の叡智を超えているからである、だがそれは災厄自身にも言える事だ、結局は無差別に人を呑み込む嵐と同じく直前に進路を変える事など出来ないのだ

「何故だナゼタ何故!」

それでも災厄は強い、こちらとて冷静だとしても毎回確実な対象が出来るとは限らない

「ちっ厳しいか!」

神奈は吹き飛ばされながらも裏刻刀を放ち手元に新たに生成する

「その魂にキュウサイを!」

その叫びと呼応するように大人しくしていた大蛇が鳴く、耳を劈くようなその音と共に絶望は訪れた

使い魔だ、奴の腹から翼の生えた蛇達が次々生まれる

「ロブルスの奴最悪の置き土産を残していったね」

一先ず使い魔に向かって裏刻刀を放り投げると使い魔は叫び声を上げて消滅する、不幸中の幸いか使い魔自体の性能はそこまで高くないようだ

だが数が問題である、数匹倒せばそれを補完するように新しい使い魔が出てくる

倒せば減るなら希望があるがこのままではいつまでイタチごっこになるかもわからない、そもそもそんな力が何処から...

「そうか、そうだったんだ」

そして大蛇の腹の前でまるで大蛇を守るように立っている影の元に突っ込む

「恐らく使い魔の養分になっているのは...!」

不動を保っていた影が動く、風のように素早く岩のように重い一撃を必死に受け止める

「キュウサイを、罪深き眼に救いを!」

奴の養分になり得るものそんなのこの世界では叔母さま以外あり得ない

「ボクにはさ助けなくちゃならない人が居るんだ、自分なんて救済してる場合じゃないんだよ!」

怒りは厄災を一歩後退させる、そして跳躍し奴の頭上を通り抜ける

「その過ちに救いを!」

後ろからとんでもないスピードで追ってくる影を避けて襲いかかってくる使い魔を斬りつける

天で舞う華はまさに満身創痍であった、堕ちかけながらもその眼は輝きを放ち続ける

あと少しで届く、なのにそれが永久であるかのように遠い

「キュウサイを!」

「絶対に負けられないのにっ!」

使い魔と影に挟まれる

使い魔に突っ込むか、いやそれでは災厄から逃れられない、ならば災厄を受け止めるか、

それもダメだ一度使い魔に襲われればその群れから抜け出すのは難しい

その間1秒にも満たらずに神奈は決断する

「こっちだ!」

蛇の腹の歪みを頼りに下へと滑り降りる、厄災が振りかぶった手は空を裂き大蛇の使い魔を数十匹吹き飛ばすほどの衝撃波を放つ

そしてすぐさま下を降下している神奈めがけて飛び降りる

「それは流石に想定外だよっ!」

理国と数本放つが厄災は止まらない、それどころか勢いを増しながら流星の如く降ってくる

一瞬のうちにあらゆる可能性を考える、だがなそのどれもが一手足りなかった、空中では出来ることが限られ過ぎている、せめて地面まで持てば...

そんな願いも虚しく影のスピードは想像を超える、もう数秒で私は目の前の嵐を目前にして無力に砕け散る

その時だった、突然何者かが私と影の間に割り込む、そして世界に亀裂が入るのでは無いかと思うほどの衝撃と共に影を吹き飛ばした

「お嬢ちゃん、よくここまで持ったな、あいつは俺に任せろ、だから和葉を救ってくやってくれないか?」

それは希望という名の色を持った過去の影であった

「ありがとうございます、お爺様!」

一歩跳躍する、使い魔だけなら取るにも足らない

「任せたぞ未南雲の血を受け継ぐ者達よ」

明屋は自らの影と対峙する

「その魂にキュウサイを...!」

「随分と弄られたみてえだな、俺の問題だからなケジメはつけさせてもらうぜ、未南雲家元当主未南雲明屋、いざ参る!」

災厄がぶつかる、その衝撃は世界を屋敷を崩し世界を軋ませる

「とんでもない力だね、彼がやって来てくれて良かった」

大蛇の背を駆け上がりながら使い魔を鮮やかに捌いていく、この世界が叔母の力で出来ているなら彼らは存在するだけで危険だ

早急に大蛇を倒しこの世界を終わらせなければ

「救いを...!」

瓦礫の山から影は飛び出す、同時に遠方から一陣の風が吹き明屋が影を人蹴りする

だが影も負けじと明屋を頭上から殴り飛ばす

衝撃で地面が半壊する、それでも明屋は身体をどうにか立たせる

彼の身体はこの世界でしか存在し得ない精神体だが影とは異なりその拠り所は未だ生きている石像なのだ、故にその身体は痛みも苦しみも感じるのだ

「何故立つ...その身で何故キュウサイを受け入れぬ!」

「家族が、一族のお嬢ちゃん達が傷つけられた、その痛みを感じない親なんて居ねえだろうが!」

一歩踏み込む、それだけで周りの瓦礫が吹き飛んでしまう程のスピードに影はついていけない

「それがキュウサイかっ!」

ドンッ、鈍い音を立てて影は大蛇に向かって吹き飛ぶ

「未南雲の力を見せてやれ、嬢ちゃん!」

影は大蛇に当たって砕け散る、そして大蛇の頭は苦しそうに天を仰ぐ

「怒りなんて要らなかったね、だって私が出来るのは助けたい人を救う事だけだから!」

神奈は跳躍する、未南雲家の華は華麗に咲く

一閃、大蛇の頭を貫いたその一撃と共に世界が崩壊する

「はあ、やっと終わったわね」

崩れ落ちた屋敷の中で腰をつく、今まで散々危険と隣り合わせになってきたが今回は飛び抜けていた

もはや仕切りになる壁も残っていない隣の部屋では叔母さまと祖父が話していた

「今まで家を守ってくれてありがとな、もう十分だ、未南雲家には頼もしい後継者もいることだしな」

彼はこちらを向いてニコリと笑う

「神奈ちゃん、良かった、本当に無事で良かった...」

和葉は神奈に抱きつく

「ふふっ苦しいですよ」

その時明屋の身体が光り始める

「どうやらもう時間切れみたいだな、魔眼奪いとの戦いに俺は参加出来ねえ、だから天から祈らせてもらうぜ、大丈夫だお前達は絶対に負けない!」

「はい、私の日常を、未南雲家を守る為にも絶対に負けません」

「それでこそ未南雲家ってもんよ」

彼は笑顔で天へと帰る、きっと父に今会った事を自慢げに伝えるのだろうな

「話さなくてよかったんですか?」

「お別れはもう済ましたわ、それに家族の事は話さなくてもわかるものよ、もっとも神奈ちゃんの魔眼が何かはずっとわからずじまいだったけれど」

「今まで魔眼の事を黙っててごめんなさい、いつ気づいたんですか?」

「最初に疑ったのは神奈ちゃんの帰りが遅かった時よ、その時は何かあるかも程度にしか思わなかったのだけどその後に新崎澪さんが家にいらしてたじゃない、その時に確信したのよ、だからこの間神奈ちゃんが帰って来るなりいきなり出かけた時に後をつけたの」

なんと叔母は最初からお見通しだったわけだ

「それでパンドラの存在を知ってロブルスに会ったんですね」

「そうね、でも今回の件の責任は私にあるわ、幾ら人質を取られたからって私は人を...」

「その話は署で詳しく伺わせてもらいますよ」

気がつくと強面の刑事数人が叔母に向けて拳銃を向けていた

「銃を下ろせ、その人達は信頼できる」

「高宮さん!」

緋夏斗の一言で刑事達は後ろに下がる

「未南雲和葉さん、僕だって今回の事件の真相はわかってる、だが刑事としてあなたを連れて行かなくてはならない」

「わかってます、神奈ちゃんしばらく留守をよろしくね」

「待ってますから、必ず帰ってきてくださいね」


全てが終わり私が村の様子を見に行くと草原で寝っ転がっている優香の姿があった

「あら遅かったわね」

「あなたの方は随分上手くいったようね」

これだけの火事で燃えたのが家だけだなんて、地元メディアに奇跡とでも報道されそうだ

「強力な助っ人が助けてくれたのよ」

優香は嬉しそうに微笑む

「あら偶然ね、私も頼もしい人が助けてくれたのよ」

神奈も笑う、どんなに苦しい事でも結末さえ幸せなものであれば笑い話に出来るというものだ

「そろそろ帰りましょうか」

「そうね、またあのお店に行きましょう!」

優香がやけにニヤニヤしているので何か裏がありそうだ

「いらっしゃませー、あら2人とも無事で良かったわ、もう食料が殆ど残ってないからろくな物も出せないけどそれでも良かったら食べていってね」

女将さんは厨房でグッタリしている

「さっきまでお疲れ様でした、私も近くにいたのよ?」

「そうだったのね、それなら食べてくれれば良かったのに」

「次は帰りにここに寄って食べるって決めてたの、だから前と同じのをお願い出来るかしら?」

「はいはい、未南雲さんも前と同じでいいかしら?」

「はい、お願いします」

女将が去った後私は優香に尋ねる

「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかしら?」

「女将さんは火事で食べ物が無くなった人たちの為に向こうまで行って食事を配ってたのよ」

「なるほどね...」

歯車が噛み合い始めている、そんな気がした

「この村の人達はみんなで助け合いながら復興出来るかしら?」

「ええ、きっと出来るわよ、だって元々仲間なんだもの」

そうだ、そうにきまってる、例え住む世界が変わってもその根底は変わらない

前を向いて進んで行けばきっとまた交わる時が来る、それが人間だ


天理人欲-完

どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ