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魔眼少女  作者: つばさ
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魔眼少女第1章「今是作非-起」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!

今是作非-起


人は何故嘘をつくのだろう?

彼女には嘘が分かってしまう

いや正確にはそうではない彼女は見えているのだ、人の裏に秘められているものが


彼女の運命の歯車が狂い出したのは中学2年の時、まだ春の陽気が抜けきっていない6月5日の夜にその悲劇は起こった


強盗殺人事件は彼女1人を残して一家は惨殺されたという悲劇的な終わり方を迎えた


彼女の家は父親の家系が代々魔眼を持っている一族であった

魔眼はその家の長男に現れる、故に始めにその眼を持っていたのは3歳年下の弟であった


だが強盗によって父と母と弟を殺された時に魔眼の継承が起こり弟の悠人が持っていた力が彼女に移ったのだ


表裏の魔眼、その力は世界の裏側を視るというものでこれのせいで彼女は人の感情の裏側が見えてしまう


強盗殺人の犯人は未だに逮捕されておらず身寄りを失った彼女は叔母である里子の元で生活をしている彼女の名は未南雲神奈(みなぐもかんな)現在高校2年生

これは誰かを救うために足掻く者達の物語


「はあ、毎日が同じことの繰り返しなんてつまらないなー、何か不思議な事でも起きないかな」


神奈は変わらない日常に飽き飽きしていた、と言っても彼女の日常は他の人にとっては異端である

彼女の眼には人の裏側が見える、それだけでなくこの世界に留まっている死者の魂や精霊の類いまで常人には非日常的な景色を見て日々を過ごしている

初めは彼女もこの風景には慣れなかったが四年も経てば嫌でも慣れてしまうものである


「あれっ今日は誰もいないのかな?」


いつもは学校からの帰り道にある裏路地には夜になると魂やら何やらがたむろっているのだが今日は誰もいない


「何かあるのかな?」


それはちょっとした好奇心か運命の導きか、彼女は裏路地の中に誘われていく

冬の夜は寒く路地裏にはホームレスの姿すらない、誰もいない場所でも何かしらが見えるのが彼女の眼であったが今は何も見えない

トンットンッ奥の方から足音が聞こえる


「誰?」


思わず問いかける、足跡の主が曲がり角を曲がり姿を現わす


「随分と怪しい格好ね、これじゃあ犯罪者見たいよ?」


フードを被りローブを着た年齢も性別も分からない黒い誰かがそこにはいた


「その眼を頂戴する!」


声では男か女かも分からない、どうやらあのフードに何か仕掛けがありそうだ

それは頭を片手で抑えながら猛スピードで迫ってくる


「へえ、私の眼の事知ってるんだ、面白いじゃない取っ捕まえて色々聞いてあげるわ」


襲いかかってくるそれを軽々と避け地面に落ちていた鉄パイプを手に取る


「未南雲流見せてあげるわ!」


「足りない、眼が足りない...!」


苦しそうに叫ぶと神奈に向かって突進してくる


「速いっ...!」


それは落ちていた鉄パイプを手に取り襲いかかる

キンッキンッ金属が激しくぶつかり合う


「運動能力は大したもんだけど剣道はそうでもないわね!」


ズドン、神奈の突きが盛大に決まりそれは壁に打ち付けられる、どうやら気を失ったようだ


「勝負あったわね、その顔拝ませてもらうわ」


魔眼の力を解放する、人の感情や魂なら少しの隔たりがあっても視ることが出来る、だがそれは何故か靄がかかって視えていなかった

私はフードを外す、すると不可解な事実を突きつけられる


「あれっ視えない、なんで....」


何も変わらなかったわけではない、確かに靄は晴れた、視えたのは何も視えないという事実だった

事実をありのままに受け入れるとするのならこれには中身が無いのだ


「私には視える....!」


それが突然動き出す、あまりに突然のことで思考が働かない、だがそれにだけは気づいた今奴は魔眼を使っている

その時後ろから声が聞こえる


「お嬢ちゃんを虐めるのは黙って見てるわけにはいかねえよな、少々手荒だが勘弁してくれよ」


神奈は声の主に吹き飛ばされる


「あなたは...?」


「自己紹介は後ってもんだ、さあ魔眼奪いこっちは2人だがどうする?」


魔眼奪いと呼ばれたそれは跳躍し逃亡する


「なんとか助かったみたいだな、いやーあいつ相手にそこまでやるとはお嬢ちゃん大した腕だな」


その男の見た目は30歳ほどで髪は赤く体つきはまるで傭兵をしていたのではないかという感じだった


「私の名前は未南雲神奈です、あなたは?」


「俺は山崎晴人、静止の魔眼の使い手だ、山さんって呼んでもらって構わないぜ」


静止の魔眼、つまり彼もまた私と同じく魔眼を持っているわけだ


「山さんも魔眼を持っているんですね、ところでさっき言ってた魔眼奪いって?」


「なんだお嬢ちゃん知らないのか、ここらの魔眼使いの中じゃ有名な話だぜ、魔眼奪いに視られたらその眼の力を奪われるってな、昔はたまにしか現れなかったらしいんだがここ最近頻繁に現れるようになってなそれで俺はアイツと因縁があるもんでロブルスさんに協力してるって体で魔眼奪いに襲われてるやつを助けてたんだ」


ロブルスさんわまたもや私の知らない人が出ていた


「なんだいお嬢ちゃんもしかしてロブルスさんも知らねえのか?」


私は頷く


「この街に住んでる魔眼の研究者だよ、この街にいる魔眼使いの大半は彼を訪ねてここまで来てそのまま住み着いてる奴らばっかりだ、ひょっとして嬢ちゃんは元からここの出かい?」


「この街には生まれた頃から住んでいます、うちの家以外に魔眼を持っている人に初めて会ったんですけど他にもたくさんいるんですか?」


「この街にはいるだろうな、魔眼を持ってるやつの事を知りたいなら彼を尋ねたらいい、今なら案内してやってもいいがどうする?」


私以外の魔眼の所有者...どうやら退屈な日常から抜け出すことが出来そうだ


「お願いします!」


「いい返事だ、ついて来い」


山崎は路地裏を進んで行く


「ところで嬢ちゃんの魔眼はどんなのなんだい?」


「私のは表裏の魔眼といって裏側が視えるんです」


「裏側が視えるか、そいつは面白いな、だから俺なんかを信用してるってことか」


どうやら見抜かれているようだ、彼は出会ってから今まで表裏のない人間だ、それだけで少なくとも信用に値するだろう


「そうですね山さんは正直な人です、私に嘘は通じません」


「便利な魔眼で羨ましいぜ、俺のなんて魂を視てその動きを止めるなんてのなんだぜ、護身用には使えても戦闘には全くだ」


「そっちの方がいいですよ、人の裏側なんて視てもいいことなんてありませんよ」


「確かにそうかもな、だけどこの街で魔眼に関わるならその力は持ってて損は無いぜ、俺も変わり者の方だが他の連中はもっと異端だ、そろそろ着くから最後に伝えておこう、魔眼持ちと会うときは絶対に眼を視ちゃならねえ、それだけは心に留めときな」


そう言って歩みを止める


「ここが...」


何本もの路地を曲がった先にそれはあった、こんな近所に魔眼の研究者が住んでいたなんて知らなかった


「俺がついて行くのはここまでだ、大丈夫だ魔眼持ちだって言えば手厚く歓迎してくれる」


そう言って彼は去って行った

<魔眼研究所パンドラ>表の看板にはそう書いてあった

研究所とは名ばかりで何十年も放置された洋館のような場所だった、こんな場所に何故気付かなかったのだろう

トントン、ドアをノックする


「わざわざノックをするとはね、新顔かい?」


ドアを開けるとまず見えたのが昼間からテーブルを囲んで酒を飲んでいるろくでなし、ソファーに寝転んで本を読んでいる人、そして

奥に居たのが顕微鏡を覗き込む白髪の老人であった


「あなたがロブルスさんですか?」


老人はこちらを見て微笑む


「いかにも私が魔眼の研究者ロブルスだよ、ひょっとしてお嬢さんは魔眼持ちかい?」


老人の眼が鋭く光る、彼は魔眼を持っていないようだがその瞳には力強さを感じる


「山さん...山崎晴人さんにここの事を教わって来ました、ここに来れば魔眼について話が聞けると聞いて来ました」


「晴人が連れてきたということは大方魔眼奪いに襲われたってところかね」


ズバリ的中される、魔眼など無くても人の心が読めるのだろうか


「その通りです、後は他の魔眼使いについて知りたくて」


「そうかい、魔眼奪いの事は残念ながら分かっていることは殆どないが他の魔眼使いについてなら協力出来ることもあるだろう、だが魔眼について詳しい事を私から話すのは出来ない、彼らの居場所を教えるから自分で聞きに行きなさい」


そう言ってメモを渡してくる


「これは...」


そのメモには名前と場所が書いてあるだけで他の情報は一切なかった


「彼らと連絡を取るときに待ち合わせている場所だ、そこに行けば会えるかも知れない」


メモに書いてある人数は10人ほど、それだけの魔眼の所有者が彼を訪ねるなんて彼は何が出来るんだろう


「ロブルスさんは魔眼の研究者と聞きましたがここで何をなさっているんですか?」


「君は魔眼についてどう思うかい?」


「どう思うかですか...私は人間には不要な力だと思います」


「ほう...それは何故かね?」


「この眼は世界の裏側が視えるんです、普通に生きていた人間が突然そんな力を手に入れても邪魔なだけです」


それを聞いて老人の眼光が鋭くなる


「突然手に入れたと言ったね、つまり君の眼は生まれつきではないのかい?」


「四年前強盗に私以外の家族全員が殺されました、その時に弟が持っていた魔眼が私に継承されたんです」


「四年前...そうかお嬢さんは未南雲家の生き残りか!」


どうやら私の事を知っているようだ


「何故私の家のことを?」


「魔眼を持っている家系として魔眼使いの中では有名じゃったよ」


「家系と言いましたが魔眼は遺伝性ではないんですか?」


「魔眼は歴史の裏側を担ってきた力だからのお、その力を妬むものも多かったんじゃ、だから魔眼を持っている家系は時が過ぎる中で少しずつ消えていった、そんな中で魔眼の力を振るわず魔眼を持ち続ける事を優先したのが未南雲家じゃ、そして滅んだ一族が持っていた魔眼はこの世から消えて無くなることはなく一代のみの力として何の関係もない人間に渡るようになった」


「それが遺伝性でない魔眼...でもそれだけなら別に一代のみの力として使い捨てればいい話じゃ、そこまで一族で魔眼を持っている意味はない気がしますけど」


「一族の魔眼は別に継承されるわけでは無いんだよ、長男に必ず新しい魔眼が覚醒する、それこそが魔眼を持つ一族の特徴だ」


どうやら私は勘違いをしていたようだ、魔眼は本来継承されるものではなく新しく生み出されるものだった、つまり私が魔眼を継承したのは単なる偶然だったわけだ


「じゃあ父は別の魔眼を持っていたんですね」


父の魔眼の話は全然聞いたことがなかった

以前魔眼について父に尋ねたことがあったが「今の時代に魔眼は必要ないよ」といわれ何も教えてくれなかった


「先ほどの質問だがね、私は魔眼は人々のた為に役に立つ力だと信じているよ、だからここで魔眼について研究をしているんじゃ」


彼は自分の考えを信じている、それがわかってしまう以上私にどうこう言う権利はない


「そうですか、そろそろ遅くなってきたので帰りますね、また立ち寄ることがあると思います、えっと地図とかあります?」


「次に来るときはすぐに来れるだろうから大丈夫じゃよ、それと魔眼奪いには注意するんだよ君の眼が奪われたら未南雲家は途絶えてしまう」


そう言って彼は顕微鏡に眼を向ける

私は扉を開け外に出る、すると人の気配がした


「どうも、久しぶりね」


青い髪で30代ほどの女性が扉の横で壁に寄りかかっていた


「えっと誰ですか?」


彼女は少しの沈黙の後に答える


「あっ.....ごめん人違いだったみたい、私は新聞記者をやっているあなたと同じ魔眼使いよ」


そう言って彼女は名刺を渡してくる

神奈坂出版社 新崎澪 〇〇〇-□□□-△△△

そこにはそう書いてあった


「澪さんですか、私に何か用ですか?」


「四年前の強盗事件について知りたいんでしょう?入ろうと思ったら珍しい来客がいるのが見えて外で待っていようと思ったら聞こえてきちゃったのよ」


「四年前の事件について何か知ってるんですか!」


「当時の警察は強盗って判断してるけど未南雲家に強盗が入れるなんてとてもじゃないけど考えられない、その時の未南雲家は事件が起きるまで魔眼使い達でも何処にあるかなんて誰も知らなかったくらいよ、きっとあれは魔眼の力よ、そしてそれを破って場所を見つけ出し襲った、そんなことが出来るのは魔眼奪いくらいね」


魔眼奪い...だがそうだとしたら矛盾が生じる


「そうだとしたら何で私は殺されなかったんです?結局弟の魔眼は私に継承されました、魔眼奪いが犯人なら私の力も奪われているんじゃ」


「あなたが特別だったからよ、普通近くで家族が殺されたとしても魔眼の継承なんて起きやしない、だから魔眼奪いにとってあなたは唯の一般人だったわけ」


「魔眼の継承の話が本当なら母も魔眼を持っていません、あなたは自分の考えを信じているようですがそれはきっと間違っています」


私は彼女の元を去ろうとする


「そういえば言ってなかったわね、私の魔眼は情報の魔眼よ」


それを聞いて足が止まる


「見たものに関する知りたい事が何でも分かる便利な魔眼よ、四年前まだフリーの記者だった私はこの事件を躍起になって探ったわよ、勿論魔眼を使ってまでね、だが分かったことは何一つなかった視えなかったのよ」


魔眼使いでも真実が見えなかった、つまりそれが意味するのは...


「犯人は魔眼を持っている...」


「正解よ、そして魔眼奪いの眼が何かを見たものはいない、いや正確に言うと視えないのよ、襲われた魔眼使いは揃ってこう言う「あれは抜け殻だ」とね」


そうか私だから視てなかったのではない、誰もがあれの正体を視た事がないのだ


「それともう一つ興味深い事があるの、昔の魔眼奪いは目を奪うだけで他に危害を加えることは無かったわ、でもそれが四年前を境に急に魔眼使いを殺害するようになった」


神奈の眼が鋭くなる


「それが真実だと言うのなら私は魔眼奪いを許せません、他に情報はないですか?」


「私が分かるのはそれぐらいね、他の魔眼使いなら何か知っているかも知れないけど私が近づいたら怪しまれるわ」


「私が行けって事ですね、分かりました但し私の情報を渡す代わりにそっちも何かわかったら教えて下さい」


「そうね、どうやら貴方に嘘は通じないみたいだしそれでいいわ、じゃあこれからよろしくね未南雲の娘さん」


そう言って彼女は扉をくぐる

私は路地を一本曲がってから気づいた


「あっ帰り道聞き忘れてた」


来た道を戻る、だがそこは私が最初に入って来た路地の出口だった


「次に来るときはすぐに来れるか、不思議な場所ね」


私はスキップで家に向かう、どうやら非日常が向こうからやって来たようだ


どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

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