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魔眼少女  作者: つばさ
18/25

第4章「天理人欲-承」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!

天理人欲-承

「お邪魔しまーす」

玄関で靴を綺麗に揃えて廊下を歩く、そしてすぐ横にあったリビングに入る

殺風景な風景であった、生活に必要なものは最低限しか置いてなく家具もしばらく買い換えていないようだ

その部屋から感じるのは自分の生活なんかよりも別の事に全てを注いでいる、そんな印象だった

「ねえ神奈、私少しだけ寝ててもいいかしら?」

優香はふぁーと大きなあくびをして目を擦る、ここ数日の魔眼の酷使もあって疲れが溜まっているのだろう

「構わないわよ、何処かに澪さんのベッドがあるでしょうしそれを使っちゃっていいんじゃないかしら」

澪さんの事だ、数日間家を借りたくらいじゃ何も文句は出ないだろう

「ごめんなさいね、何かあったらすぐに起こしてもらって構わないわ」

優香はベッドを探しに二階に向かう

私は取り敢えず食料の残りを確かめてから殺風景な部屋をくまなく調べる

「何も見つからないわね、そもそも家の中にあるだけで隠してると決まったわけじゃないものね」

その時二階から声が聞こえる

「神奈見つけたわよ!」

どうやら何かがあったようだ、私は駆け足で二階に向かう

優香が部屋の前で手を振っている、どうやらあそこのようだ

異常な風景であった、天井に貼り付けられた新聞記事の切り抜き、警察から譲り受けたであろう事件現場の写真

その部屋にはある一点への執着が溢れかえっていた、未南雲家に起きた強盗事件への執着、それこそが彼女の真の姿

「これってさっき視た事件よね」

唖然としている私は彼女の呟きで我に帰る

「そうね、この部屋もう少し調べてみるわ」

「なら私はリビングのソファーででも寝る事にするわ」

優香はすぐさま部屋を去る、ここから先は私のすべき領域なのだ、きっと彼女はそれを気にしたのだろう

「全く、姿は子供でも大人なんだから」

千夏もそうだったが大人の対応を取られると、たまにどのように接したらいいかわからなくなる

「姿は子供...そうだ!」

私は大切な事を忘れていた、時刻はもう既に12時を回っている、つまり彼女はとっくに’7歳になっている’という事だ

彼女の魔眼を使えば叔母の正体など容易に分かるとタカをくくっていたがそれではまずい

神奈は慌てて階段を駆け下りる

「優香、あなた魔眼は使える!?」

当の優香は意識などとっくに落ちており神奈の質問の意図を掴むのに少々時間がかかった

「えーっと、多分使えるわよ」

考えていたのと正反対の答えだがそれなら助かった

「あなたの魔眼って7歳までの特別製じゃなかったの?」

「そのはずなのだけれど何故かしらね?」

本人でもわからない事をこちらに聞かれても困る

「魔眼の代償の可能性はあるわね、時が完全に止まった挙句魔眼を永久に持つ体質になったとか」

それを聞いた優香は一つの結論に辿り着く

「本来の時間で7歳になると眼を失うはずだったわ、だけれどそのタイミングを逃したら失う機会はあるのかしら?」

つまり彼女の言っていることはこうだ、死の期限は完全に止まっていたが魔眼を失う瞬間は止まっておらず彼女が魔眼に囚われている間にそれは過ぎてしまったというわけだ

なんともおかしな話だが筋は通っている、現に彼女は魔眼を使えるのだからその仮説は否定出来ない

「ひとまず安心したわ、疲れてるとこごめんなさいね」

神奈がくるりと背を向けてその場を去ろうとすると服の裾を掴まれる

「私の眼を使いたかったらいつでも言いなさいよ、人間は誰だって他人(ひと)に頼って生きてるの、一々そんなのを気にしてたら身がもたないわよ」

彼女はそれだけ言って眠りにつく、私はその言葉を胸に刻んで澪さんの部屋へと戻った

「やっぱり視えてるわよね...」

他人見透かされているのは嫌なものだが彼女になら良いかと思ってしまう

そんな事を考えながら澪さんの部屋を探し回るが何も見つからない

「天井にはこんなに資料が貼ってあるのに他に全くないなんて不自然すぎるわよね」

疲れたのでベッドで少し休もうと布団を持ち上げた時、上に置いてあった澪さんの鞄が落ちてしまった

ガンッ、鞄にしては随分と鈍い音を立てて落ちた、まさかと思い私はそれを拾い上げてチャックを開ける

「あった!」

鞄の中にはノートパソコンが入っていた、つまり澪さんの発言の真意は家の方ではなく鞄を指していたのだ

「あれ、つかない...」

一瞬今の衝撃で壊れてしまったのでは無いかと焦ったがコンセントを繋ぎしばらく待つと無事電源がついた

「良かった〜、どこから見ようかしら」

だがマウスをクリックすると出て来たのはパスワード入力画面だった

「嘘でしょ、見せたいのか見せたくないのかどっちなのよ」

だが案外大抵のパスワードというのは余程凝っていない限り当てられるものだ、実際スマホのパスワードを誕生日にしていたりパソコンにそもそものパスワードを書いた紙を忘れないように貼っている人も多いだろう

だが神奈にとって致命的だったのは澪の素性を殆ど知らなかった事だ

「mioは流石にダメよね、nzkmo、これもダメかー」

英文字で3〜15文字、せめて誕生日だけでも知っていれば良かったのだが

「そうだ、鞄に免許証が入ってるかも」

探して見るとやはり財布の中に免許証があった、その誕生日は1977年12月7日、神奈の母と同い年であった

「それなら1207mioかしら、これじゃあダメなのね、だったら1207nzkmoよ!」

結果は全滅だった、だがその時画面に変化が現れる

「そっか間違えすぎたらヒントが出るように設定してたんだ」

そこをクリックすると親友の名前と出てくる

「親友の名前って言われても...あっ」

たしかに澪のプライベートは一切知らない、だがさっき視えた事実と誕生年、そしてこの家の場所、それらを繋ぎ合せて出てくる人物の名はたった1人だけだ

「minagumomion、入れた!」

まったく澪さんもとんでもない試練を残すものだ、私が気が付かなかったらどうするつもりだったのか

「何これ、日記かしら?」

最初に現れたのは日付が付けられたファイルが保存してある画面だった、試しに一番最近のものを開いてみる

『2018/6/9 ロブルスさんから電話が来た、どうにも渡したいものがあるらしい、少し怪しいが明日神宮家の跡地を去ってパンドラへ向かおうと思う

神宮優香に関しては神奈ちゃんがどうにか出来そうだ、後は彼女が昔の記憶を取り戻してくれればいいのだけど』

私の昔の記憶、それは魔眼奪いの正体の事ではなく澪さんの事だろうか

「かなり前から書いてるのね」

画面をスクロールすると私が事件にあったよりも昔から度々書いているようだ

一番古いものを開く

『2008/6/6 先輩の勧めで今日から日記をつけることにした、どうやら私には記事を書く才能が無いようで文章を書く練習を日頃からした方がよいとのことだ、私は自らに備わった特異な能力のお陰で出版社では一目置かれているが残念ながら文才はからっきしの様だ』

更に何個かのファイルを見てみる

『2009/12/7 今日は久しぶりに親友の澪穏(みおん)に会った、神奈ちゃんは最後に会ったのは2年ほど前だが私の事を覚えていてくれたようだ、今度料理を教えて欲しいと言われたので帰ったら練習することにしよう』

『2010/2/4 今日は澪穏の家でオムライスを作った、彼女は高校の時から変わらず手先は不器用だったけれど神奈ちゃんは見込みあり、また今度一緒に料理をしたいな』

思い出した、いやそうじゃない、私は元々覚えていた

消去された情報が復元されたわけではない、初めから存在したはずなのに隠されて見つけられなかった情報、それこそが彼女との思い出を表すのに相応しい表現だ

澪さんは母の高校時代の親友で何度か会ったことがあったのだ、そしてあの悲劇の日にも約束をしていた筈だ

私は数あるファイルの中から鍵がかけられて消去出来ないようになっているものを見つけた

『2014/6/5 私はこの日のことを決して忘れないだろう、いや忘れない為にもここに記す

am.11:00 ある晴れた日の平凡な日曜日、澪穏との約束で今日はお菓子づくりをする予定だった、私はそのための材料をスーパーへと買いに行った

最近は出版社の仕事にも慣れて来て暇な時間も減っていた、だからこそ今日が楽しみだった

pm.1:00 彼女の家には2時に着くと伝えてあったので昼食は近所の喫茶店で取ることにした

店に入るなり店長が新作のレシピが出来たと言うので是非食べてみてくれと言うので頼んでみるとそれはまた素っ頓狂なものだった、ぐるぐるパンケーキと名付けたらしいが何とも面白い形状をしている、の生地がクレープの生地になっているものだった

私がパンケーキではないのではと言うと店長は同意して新しい名前を考えてくれることになった

pm.2:00 パリンッ私が交差点を曲がろうとしていた時にそれは聞こえた、事件が起こったら見に行かずにはいられないジャーナリストの困った性分だ、澪穏には後で謝ることにして私は音のある方向へと走っていった

そしてある程度行ったところで気がついた、あの音は澪穏の家からしたものだと、私は焦りながらも冷静に割れた窓から様子を伺おうとした

そして見てしまった、澪穏と彼女の夫と息子が血の海に倒れていることを、そしてそれを人ならざるものが行ったことを

その姿は何故か思い出せない、だが心に刻み込まれた恐怖は今も消えていない、ただ余りにも人と呼ぶには相応しくない何かがそこに居た

私は恐怖を押し殺してドアを開けて叫ぶ

「警察には通報したから観念なさい!」

その一言で犯人が私を殺そうが構わなかった、その時は何処かにいるであろう神奈ちゃんがまだ生きていることだけを祈っていた

だが運の良いことに私は助かった、神奈ちゃんも無事でありそれだけが不幸中の幸いだった

私は部屋の隅で怯えている彼女の安全を確かめてから惨状を見に行った、救急車は呼んだがこの傷では厳しいだろう

そんな現実に絶望していると一つの奇跡が起こった、澪穏が私に気付き目を開けたのだ

そして彼女は告げた「澪ちゃん、神奈をお願い、魔眼の家に生まれたあの子はきっと魔眼を持つあなたに育ててもらうべきよ、最後に図々しくてごめんなさいね...」とそれだけ言って彼女は息を引き取った

魔眼の家、彼女はそう告げたのだ、その瞬間私の脳裏にある記憶が浮かんだ

遥か昔から魔眼を持ち続けた家、未南雲家はまさにそれだった

何故気付かなかったのだろう、否、疑問はそこだけではない、何故彼女は私の魔眼を知っていたのだろう

今となってはもう聞きようがないがもう一度会えるならそれだけでも聞きたい所存である

私は警察に事情聴取を受け翌日解放された、犯人は見たが何も覚えていないなどと言う女をよく1日で自由にしたなと疑問に思ったがそれはすぐに解消された

警察署から出る時にある男に声をかけられた、高宮緋夏斗と名乗った怪しげな男はなんと魔眼に関わる事件を担当している元魔眼使いの刑事らしい

今回の事件は彼が担当する事になったようでその代わりに表立った捜査はすぐに終わるそうだ

それで情報の魔眼を持つ私に声をかけてきたと言うわけだ、全く最近はロブルスさんが魔眼使い同士の情報を多少流しているせいで見知らぬ人に話しかけられて厄介だと思っていたが今回は彼に感謝しなくてはいけない

また神奈ちゃんは親戚の方が預かって育ててくれるらしい、これから危険な事に巻き込まれる可能性がある私と共に過ごすよりもそちらの方が良いだろう、一つ心残りがあるとすれば澪穏の遺言を守れなくなる事だがそれは全てを片付けてからスタート地点に立とうと思う

以上が私の決して忘れてはならない記憶であり、専属ジャーナリストとしての最期の記録である』

圧巻された、これだけの記録を残している澪さんに対して、そして私の消えた過去についても

彼女は決して諦めてなどいなかった、この日から常に事件のことを考えていたのだ

だからこそ私とパンドラの前で初めて出会った時彼女はすぐに状況を理解した

そして初めて会った人として私と接してここまでサポートしてくれたのだ

だったら次は私の番だ、彼女がここまで繋いでくれたバトンをそう簡単に落とすわけにはいかない

ピロリン、メールの受信音と共に画面に文字が表示される

2018/6/10 録画データ一件

どうやらクラウドに保存されていたデータがネットに繋がったことで送られてきたようだ

「これって今日のよね、ひょっとして...」

何か見てはならないものを探し当ててしまったような気がして震える手を抑えながらマウスを動かす

カチッ、神奈すらも殆ど息をしていなく当然ながらこの部屋で音を立てるような物はない、何もかもが静まり返った部屋にその音は響く


パンドラにて

「魔眼使いに関するデータどころか魔眼の魔の字も無いなんてね」

緋夏斗は溜息をついて椅子に腰掛ける

事件が起きて通報が入った時は驚いた、パンドラからの通報をされた事もそうだが神奈から言われた通りの道を辿ると一度で辿り着けたからだ

彼女曰く自分が通って来た道を言っただけのようだがパンドラが最早部外者となった男を招き入れるとは思わなかった

「それにしても懐かしいな、5年ぶりくらいか」

思えば五年前魔眼奪いに襲われた時からこの場所の景色はちっとも変わっていなかった

薄汚れた廃墟のような場所にもかかわらず一度外に出たら世界中が混乱するであろう機密の管理場所、ロブルスに言わせればパンドラの匣である

変わったことと言えば酒の匂いがしなくなったくらいだ、いつも決まって屯していた魔眼使い達は酒を辞めたのだろうか

これでもかつては仲間だった者達だ、彼らの死が胸に響かなかったわけではない、だけれど悲しくはならなかった

「僕はいつから道を間違えたのかね」

どこから出してきたのか鑑識が並べた物の中に月明かりに照らされた懐かしい写真があった

「あれから8年か、僕も変わるはずだ」

あの時胸に秘めていた正義を僕は全うできているだろうか

「今日僕はパンドラに辿り着けた、だが本当にそうなのか?」

まだ正義に疑問がある、だけれど心の奥底では答えが出ているのだろうか

いやそんな事よりも疑問なのは何故元魔眼使いの関係者以外もパンドラに容易に辿り着けたのか、ここは地図に頼れば辿り着けるような場所では無い

言ってしまえばこの近辺の路地は歪んでいるのだ

昔ロブルスさんから聞いたことがある、何の関係も無い人々が通ろうとすれば路地の入り口から出口まですぐに繋がる、それが地図上の正確なルートだ

だがパンドラに必要である可能性を持つ人間が通るとその判断を下すまでの時間暗い路地を彷徨わせる

そんな魔法みたいなことが出来るのかと思ったがロブルス曰く自身の魔眼研究の賜物だそうだ、つまり路地を迷うのは幻覚の可能性があるわけだ

それだけの研究成果を持つ彼が何故魔眼奪いなどになって人を殺すのか、それはまだわからない、だけど

「それでも僕は正義の為にロブルスさんを止める」

正義の在り方は変わりなどしない

彼は写真を裏にして元あった場所に戻す

月の光は雲に隠れて辺りは闇に堕ちる

どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

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