表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔眼少女  作者: つばさ
14/25

第3章「偽りの時間-転」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

詳しい詳細は後書きにて

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです

偽りの時間-転

「ちょっとなにこの家凄い広いじゃない!」

家に着くなり千夏は子供のようにはしゃぎ始める、いや正確に言えば見た目は子供なのだが

「何子供みたいにはしゃいでるのよ、あんた中身は大人なんじゃないの?」

神奈は扉を閉めながら呆れる

「いいじゃないの、大人だろうが子供だろうが素敵なものには心を躍らせるものよ、こんな和風のお屋敷を見たのは初めてだわ、こんなに広い家に一人で住んでいるの?」

「普段は叔母さまと一緒に暮らしてるの、でも彼女は今旅行に行っているからしばらくは一人ね」

「それなら私が来て丁度よかったじゃない、一人の夜は寂しいものよ?」

「その見た目でそんな事言わないでちょうだいよ、せっかく見た目は若いのだからもっと少女らしく振る舞えばいいのに」

「見た目と中身は別問題よ、それにあなただって見た目ほどお淑やかじゃないじゃない」

痛いところを突かれる、そういえばついこの前も友人に同じような事を言われた気がする

「淑女じゃなくて悪かったわね、残念ながら他人以外の前で取り繕うほど器用じゃないのよ」

「ふーん、逆に言えば外ではお嬢様なのね、意外だわ」

「いちいち一言多いわよ、これから夕飯の準備をするからそこら辺にいなさい、くれぐれも余計な詮索はしないように」

このわんぱく少女叔母さんを放り出したら何を言われるかわかったもんじゃない

「そうだ、言い忘れてたけど私の分の夕飯もちゃんと作るのよ?」

「...はい!?」

何を言いだしたかと思えば幽霊がご飯を食べるだなんて信じられない

「あなたとっくに死んでるんでしょう?食事する幽霊なんて視たことも聞いたこともないわよ」

「私は他の幽霊と違ってちょっと特殊なの、世界の表も裏も自由に行き来できるし幽霊の状態でもたまに見える人がいるのよ」

「表裏の間を動けるなんて魔眼レベルの能力じゃない、もう何がなんだか...」

神奈は頭を抱える

「きっと死の瞬間に私の身体は止まったから死んでいるっていうより生死の境目を彷徨ってるような状態なのよ、それならなんの不思議もないでしょう?」

早くご飯を作ってこいと言わんばかりに見つめられる

「でも幽霊になれるのなら食べる必要なんてないんじゃ」

「それとこれとは話が別よ、せっかく久し振りに人のお家に来たんだもの普通の暮らしを

してみたいの!」

そんな無邪気な顔で見られたら誰だって断りきれない

「仕方がないわね、叔母さまが帰ってくるまでよ?」

「はーい」

気がつくと少女はソファーで猫のように丸くなっていた

「もう、中身はあれでも結局見た目通りってわけね」

フライパンを取り出しながら苦笑する


しばらくして香ばしい匂いが少女の鼻に届く

「この匂いは...オムライスかしら?」

少女は台所へと走る

「ふう、料理なんて久し振りな気がするけど上手く出来て良かった」

この家に来てからは叔母さまが全部作ってくれたから最後に料理したのは向こうの家に居た頃だろうか

「やっぱりオムライスね、嬉しいわ!」

この子をレストランに連れて行ったら料理が出る前に厨房に突撃しそうだ

「ほらほら、向こうに持って行くからちょっとくらい待ちなさい」

神奈がテーブルに行くと幸せそうな千夏の姿があった

「あなたこんなので幸せになれるなんてまさに幸せ者ね」

「別にいいじゃない、私にとってはこれで十分幸せなの、それともあなたは今の生活が幸せじゃないの?」

今の生活、それは何を指すのだろうか?

魔眼を得て真実に辿り着こうともがいてる生活?それとも魔眼奪いに何もかも奪われた私を支えてくれる叔母さまとの生活?

もちろん少女の質問の意図がそうでない事はわかっている

だが私はかけがえのない今を壊してまで過去を振り返っている、そんな気がしてならないのだ

「随分悩むのね、そんなに難しい話かしら?」

少女はスプーンを持った左手を口に運びオムライスを一口食べて微笑む

「心から笑っている時が何よりも幸せな時よ」

そうか、そんな簡単なことに何故気づかなかったのだろう

私にとって全部(すべて)が幸せな時なのだ、過去も今も、そしてそんな幸せを続けたいから未来に向かってもがいてるんだ

「そっか、伊達に50年以上も生きてないわね」

「ひとこふぉ余計よ」

少女はオムライスを食べながら口をもぐもぐさせて答える

「食べてから話しなさいよ」

神奈はフフッと笑う


千夏がお風呂に入っている間に神奈は電話をしていた

「もしもし神奈です、神宮家には着きました?」

「ちょうど今さっき着いたところよ、まったく秘境にも程があるわよ」

澪は深い森の中でため息をつく

その目の前には大きな洋館がそびえ立っていた

「これから少し調べてみるけど報告は明日になりそうね、そっちはどう?」

「色々ありまして天海家の生き残りに会いました、いや正確に言うと死に残りなんですけど...」

「ひょっとして幽霊?」

「そんなところですね、どうやら彼女も神宮優香を探しているようなので今は協力しています」

「了解、じゃあまた明日」

澪は電話を切って目の前の洋館を見据える

「これだけの建物を隠し通してきたなんて凄い森ね」

鬱蒼とした森林は通って来た者の記憶をあやふやにしてここまで一直線で辿り着くなんて科学の力が発展した今でなければ不可能に近いだろう

「昔の人は何日もかけてここを歩いて来たのかしらね」

森の中に1つだけ今は使われていない家があった、人が大人数で住めるほどの大きさではないが一夜を過ごす分には問題ないだろう

或いは一族が知る何か特別な道しるべがあるのかもしれない

「そこら辺は考えても仕方がないわね、早速中に入るとしましょうか」

月明かりに照らされる森の気温はもう相当下がってきている、このまま外にいたら風邪でもひきそうだ

「お邪魔します、って誰もいないわよね」

洋館の中はしばらく人が居なかった割にはホコリもそこまで溜まっておらず綺麗だった

「刑事さんの話だとここ最近調査に来た人は居なかったはずだけど...」

こんな秘境に迷うこむ人がいるとは思えない、なら誰が?

考えながら歩いているとyukaと書かれたネームプレートがある部屋の前に辿り着く

「ふう...」

澪は息を整えて扉に手をかける、ここに彼女がいるはずはない

だが無意識に恐れている、また何かを失う事を

「それでも、託されたんだから!」

恐怖に支配されそうな身体を一括し扉を開ける

当然ながらそこには誰もいない

部屋の中は綺麗に整頓されておりパッと見た限り目を引くものはない

「それじゃあ探させてもらうとするわ、悪くは思わないでね神宮優香さん」

そう呟くと澪は手際よく机の引き出しや本棚を調べて行く

「あれっこれは...」

澪が見つけたのは写真と手紙だった

どうやら引き出しの中に大切に保管されていたもののようだ

手紙の文面はこうだ

『千夏ちゃんへ、誕生日おめでとう、これでやっと私達も周りの目を気にせずに遊べるね、これからもずっと友達だよ、あなたの親友優香より』

妙に左から右に掠れているインクがそれを見る澪を悲観的にする

写真には森の中にあった木の家らしき場所で二人仲良く食事をしている少女達の姿があった、神宮優香が右手でもう一人の少女の口にスパゲッティを運んでいる

「こんなに幸せな時間(とき)が突然消えてしまうだなんて、不条理だったでしょうね」

澪は写真に語りかける

未だに原因はわからず謎も多く残っている

だがこれだけは断言出来る、彼女たちも魔眼に運命を狂わされた人間だ

本来ならその間違いは50年以上前に正されるべきだったのだろう、だが彼女達の周りにはそれを出来る人は居なかった、だからこそ自分達でやらなければならない

澪は決意を新たにして部屋を去る


未南雲家

「えーっと、なんであなたがここで寝てるのかしら?」

神奈がお風呂から出て部屋に入ると千夏がベッドに寝そべっていた

「あなたがあちらの部屋には入ってはいけないって言うからここに来たのよ?」

たしかに叔母の部屋に入るなとは言ったが私の部屋で寝ろだなんて一言も言っていない

だが彼女は当然のようにそこにいる

「寝るならソファーで十分じゃない、ていうかあなた幽霊になればどこでも寝れるじゃない」

それを聞くと千夏は頰を膨らませる

「せっかく人の家に来たんだから一緒に寝たっていいじゃない、それとも私がいると不都合なことでもあるのかしら?」

「うっ、それは無いけど...」

極力嘘は吐かないなんてほんと困った性分だ

「ならいいじゃない、ほら早くあなたも入りなさいよ」

千夏に急かされて渋々ベッドに入る

「それじゃあ最初は何の話をしましょうか?ワクワクしてきたわ!」

ここは女子会か!と、突っ込みたかったが彼女があまりにも楽しそうなので今夜は付き合ってあげることにしよう

「それじゃあ....」


ピロリン、メールの音がした気がする

気がつくと朝日はとっくに登りきっていてこのまま寝ていたらお天道様にそっぽを向かれそうだ

「昨日何時に寝たんだっけ?」

まだ頭がボーッとする、正直なところ何時に寝たかなんて全く覚えてない

隣では千夏が幸せそうな顔をしてグッスリ眠っている

「ふふっ」

その顔を見て自然に笑みがこぼれる

「そうだ、メールの音がしてたっけ」

神奈がスマホの画面を見ると二枚の写真が写っていた

1枚目は神宮優香と思わしき少女と千夏が二人で食事をしている写真だった

そしてもう一枚は神宮優香から千夏へと宛てられた誕生日の手紙のようだ

「あれっこの手紙...」

神奈は少し悩んだ後に二枚の写真を交互に見て考える

(これだけじゃ確信出来ない、まだ思い出せてないことがあるはず...)

その時人のベッドで気持ちよさように寝ている千夏が「ふにゃあ」と猫のような声を出して起き上がる

「今何時かしら...?」

「もう12時過ぎよ、流石に夜更かしし過ぎたわね、我ながら反省だわ」

「そんなに悲観することは無いわよ、幽霊になってから思ったのだけど生きてる人は時間

に縛られ過ぎなのよ、どうせいつか無くなるのなら自分のやりたいようにするべきだわ」

その言葉はきっと何かを残してきた彼女だからこそ言えるものだろう

「あなたの言い分も間違っては無いわよ、でも残念ながらそれを思うのは無くした人だけなのよ、どんな人だって無くして初めてその重みに気づく、それが時間(とき)よ」

共に誰かと過ごすべき時間(とき)を無くした者である

双方の違いは取り返せるかそうでないか、望みを持っているか捨てているかかもしれない

「それはよくわかるわ、でも人ってみんな無くさないと気づかない愚か者だもの、まあそうでないと希望も絶望も持てないのだけど」

「なるほど、幽霊的にはそう生きるのが人間らしいってわけね、それじゃあこの話はここら辺でおしまい、今日は行きたいところがあるの」

12時過ぎに起きた時点で大幅な遅れだが今日行きたい場所は一箇所だけなので良しとしよう

「私は着替えてるから昼食の用意をしていてもいいわよ?」

パジャマのままの神奈に素っ気なく告げる

「私も着替えるわよ!そんなこと言うなら昼食作りは手伝ってもらおうかしら?」


しばらく後

「やっぱりこの台所二人で入るには狭いんじゃないかしら」

「そんな事ないわよ、ほら冷蔵庫から卵を出して割ってちょうだい」

実際大人二人が入るにしては狭い台所だが実質7歳のお子様と入るなら問題ないだろう

「あっ失敗しちゃったわ」

グシャと卵を割ったにしては悲劇的な音が聞こえる

「まあこの程度なら殻を取れば問題ないわよ、あなたひょっとして料理したことない?」

「そうよ、いつも家政婦さんがやってたから仕方がないじゃない」

そういえば神宮家の事件の被害者にも家政婦さんがいたっけ、魔眼の家系って普通はそういう人がいるのかな?

その時神奈の脳裏に掠れた記憶が再生される

グシャと卵の潰れる音が聞こえる

「あーまたやっちゃった」

これは母の声だろうか?

澪穏(みおん)は一向に上達しないわね、それに比べて神奈ちゃんは」

母の名を呼ぶ声だ、誰の声だろうか、最近聞いたことがあるようで懐かしいような不思議な声

コンっと綺麗な音が響く

「やったー上手く出来たよ...さん!」

子供の頃の私の声だ、一体これは何の記憶なんだろう

「神奈ちゃんは上達が早くて凄いわね、ほら澪穏もあたふたしてないで早く殻を取りなさい」

不思議な記憶だ、私が体験した事であるはずなのにまるで雲の上からその光景を眺めているようだ

「なにぼーっとしてるのよ、次は何をすればいいの?」

トントンと肩を叩かれて宙にあった意識が現世に戻る

「ごめんごめん、えーっと次は卵を混ぜてちょうだい」

その間に私はご飯を用意する、何故かオムライスの作り方だけは昔から知っていた、さっきの記憶は料理教室にでも行ったものだろうか?

その先は紆余曲折ありながらも手際よく進めることが出来た、千夏は生きていたらきっと良いお嫁さんになったに違いないと神奈は思った

「やっと出来たわ!うーんいい匂いね」

その顔はまるで猫がツナ缶を見つめるようだ

「ほら、早く食べて出るわよ」

対照的に神奈は淡々とスプーンを口に運んでいく

「ほんとあなたって人は不思議ね」

その言葉をそっくりそのままお返ししたいところだが今は時間が惜しいので口を閉じる

食事を淡々と済ませていよいよ出発だ

「ところでどこに行くのかしら?」

そうだ彼女にはまだ行き先を伝えていなかった

「昨日神宮優香が事件を起こした場所よ、昨日はなんだかんだで見に行けなかったしね」

「それは有意義ね、私が付いて行く意味もあるかもしれないわ」

少女は不敵に微笑む、何か心当たりでもあるのだろうか


誰もいない路地をいくつか抜けた先、都会の賑わいとは程遠い静けさを持つ事件現場(そこ)はテープで区切られてはいるもののあくまでも日常の一部分であった

事件の犯人も手段もわかっている以上警察がここを警備する理由も無いのだろう

テープを掻き分けて中に入るが特にこれといって異質なものはない、どうやら無駄足だったようだ

「はあ、手がかり無しね、帰るわよ」

公園を出ようとする私の手を千夏が掴む

「はあ、これで捜査したっていうわけ?」

千夏に呆れたような顔で見られる

「仕方がないじゃない、私の目で何も視えない以上警察が調べた事以外見つかるわけないじゃない」

魔眼()に頼ってる時点でダメなのよ、そもそも優香ちゃんは何で無関係な人達を止めてるの?」

「そんなの何が原因だかわからないけれど私を止めるために決まって...」

いや違う、だったら何故彼女は’ごめんなさい’と言ったのか、何故私を直接狙わないのか

それらがおかしいとしたら前提が間違っているはずだ

そもそも彼女を探し始めたのは私の方だ、それが何の因果(ぐうぜん)か彼女の方から近づいてきたわけだ

だったら考えられる可能性は1つしかない

「彼女は魔眼奪いに強制されて私を止めようとしてる、そしてあなたという自分を止められる存在が現れた今、彼女は私達と何らかの方法でコンタクトを取ろうとするってところかしら?」

それを聞くと千夏は探偵のようなポーズで告げる

「そこまでわかれば及第点かしら、残りはその方法だけれど」

そこまで言って彼女は公園にある木下をくまなくチェックし始める、そして何かを発見したようでこっちに来いと手を振る

「何があったのかしら?」

「メッセージよ」

彼女の手には裏側に紙が綺麗に貼り付けられている葉っぱがあった

その紙には 金 水羽遊園地 とそれだけ書いてあった

待ち合わせには日付、場所、時間の3つが必要だ、どれか1つでも欠けていると互いに会うことは難しい、そしてこれにはその内の2つしかない

「えっと場所と曜日はわかるけれど時間が書いてないじゃない」

「それは問題ないわ、待ち合わせは朝食の終わった後の朝9時って昔から決めていたもの」

ずっと昔、家から抜け出した少女は森の中である一人の少女と出会った、その日の終わりに少女達はある約束をした

「また次に会えるように何か目印を作りましょ!」

「それじゃあこの木の根元に次に会える時間を書いた葉っぱを置いておくのはどうかしら?」

「素晴らしい考えだわ!それなら他の人にもわからないわね」

その日から少女は家人達の目を盗んでは森に行って次に会える時間を書いておいた

その時に決めたのだ、何も書いていない時は朝から遊べる素晴らしい時間だと


「約束ね、大切な記憶は彼女の中にもずっと残ってるのね」

「そうね、それじゃあ帰りましょう」

「その前にあなたの服を買いに行きましょう、幽霊でも大切な人に会う時くらいはオシャレしないとね」

それを聞くと千夏は飛び跳ねながら喜ぶ

「嬉しいわ、もちろん飛びっきりに可愛いのを選ぶわ!」

店は千夏の意向で町の郊外にある場所へと行った

「懐かしいわ、あの頃と全然変わってない」

そこはこの町の中でも開発が進んでいない昔ながらの商店街であった

「隣に居るのが私で良かったのかしらね」

千夏に聞こえないくらい小さな声で呟く

「これがいいわ」

千夏が持って来たのは水色の水玉が沢山描かれているワンピースだった

「わかったわ、会計してくるから外で待ってなさい」

店員に渡す際にワンピースの値札を見てギョッとする、衣服の類は未南雲家の名に恥じないようにと叔母さまが選んでいたので一般的な洋服がここまで高いとは知らなかった

「仕方がないわよね」

財布が薄くなるのは困るが、かと言って使い道もそこまで無いので可愛い千夏に贈り物を買ったと思えば安いものだ

店から出るなり千夏に抱きつかれる

「ちょっと...」

「あなたと来れて良かったわ、本当に心からそう思うわよ」

その言葉を聞いた私はさっきの買い物などへでも無いと思ってしまう、その笑顔はそれだけ眩しかった

それから明日へと気持ちを切り替えて話す

「明日が正念場になるわね、あそこなら家から近いし9時なら余裕で間に合うわね、とはいえ寝坊するわけにはいかないし今日は早く寝るわよ」

「彼女を止めたら私の役割は終わり、最後の夜くらい楽しみたかったのだけど、それから仕方がないわね」

悲しみなど1つも込もっていないような声で素っ気なく答える

黄昏色に染まった空を映す彼女の目は自らの終わりを決して悲観するわけでもなく覚悟の色に染まっていた


月明かりが照らす森、その中に1つ服についたシミのようにポツンと存在する家の中で彼女は安堵の息を漏らす

「どうにかなりそうで良かったわ、私がここに来たのも無駄足にならなかったようだし」

スマホを見ながら呟く、すると次の瞬間誰かから電話がくる

「神奈ちゃんじゃないようだけど誰かしら、もしもし...」

それは死の電報である、その瞬間から彼女の運命は約束された

運命の歯車は噛み合い回り始める、確約された未来の本流は1つの結末に向かって流れ始める


何処かここでは無い場所

「おや、今日は随分と疲れているようだ、何かあったんですか?」

見えなくとも少年には理解出来た、何故なら少年を縛るこの鎖は魔眼の力で制御されていると知っているからだ

「少しばかり面倒なことが起きてな、お前に意見を問いたい、魔眼を止める眼を私は持っていたかね?」

まるで記憶を無くしてしまった老人のように魔眼奪いは問う

「僕が知る限りそのような魔眼を奪った記憶は一切無いですね、だが知識ならありますよ」

「それだけで十分じゃ」

「担い手が止められる眼はその性能を熟知していること、それがその眼の条件です」

「つまり初見ではその真価を発揮出来ないわけじゃな、ならば問題視する必要も無いか...」

魔眼奪いは考え込む

「あなたという人が随分と苦戦しているようだ、なんなら僕も出ますが?」

「今回はとっておきの手を出す、私が作り上げた幻眼の力を見せる時が来たようじゃ」

「ほう、それは僕も気になりますね、どんな力なんですか?」

「他の眼の力を一時的に義眼に持たせる事が出来る技術じゃ、しかも能力の複合が可能でありもっと研究を進めればもとの魔眼よりも有用かもしれん!」

「そんな力を生み出すとは、それなら残念ながら僕の出番は無さそうですね」

「当たり前だお前を解放するほど私も馬鹿ではない、未南雲神奈を処理できれば残りは造作もないことだからな、それよりもお前を解放して反逆される方が高リスクだ」

「どうやらあなたを嗅ぎ回っている犬の処理にも手が回ったようですね」

「完璧じゃよ、明日には5つの魔眼が私に宿る、残党狩りの手筈も整っておるよ」

魔眼奪いは手を開く、その中には淡く漆黒に輝く魂があった

「あなたという人は本当に趣味が悪い」

少年は苦笑する







どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ