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魔眼少女  作者: つばさ
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魔眼少女第1章「今是作非-序」

いよいよ魔眼少女の掲載を始める時がやってきました!

本日の8:00〜18:00までの短いあいだですがどうぞご覧下さい

Twitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえると見やすくて嬉しいです!

今是作非-序


キー、物凄い轟音と共に車がぶつかる、そして俺は目を覚ます


またこの夢だ、己が運命を左右したあの日の交通事故

普通の人なら交通事故と言えば悲惨な運命へのギアチェンジだと考えるだろう

だが俺にとっては違った、今まで振り切れなかった自らを縛る枷を偶然にも断ち切ることが出来たのだ


「はあ、まだ四時か」


そういえば今日新しい子が来るのだった、その資料を確かめておこうと彼は机に手を伸ばす


俺の運営するボランティア団体の紫陽花は親を亡くした子供達を助けるものだ


どんな理由であれその人生から選択肢を奪われることは辛いものだ、だから俺はそんな子供達を救ってやりたかった


ピピピピ、ピピピピ、目覚ましの音が部屋に鳴り響く、徐々に身体の感覚が意識と結びつく


どうやら俺は紙に手を伸ばしてそれを掴んだ状態で寝てしまっていたらしい


「全く、我ながら困ったものだな」


朝が苦手なのは昔からだ、それだけは両親に幾ら言われても直らなかった

彼はスーツを着て部屋を出る、今日は子供達に新しい仲間来る日だ、なるべく早く馴染めるように努力しなくては


紫陽花の本部の扉を開けると既に来客は来ていたようだ


「お待たせしてしまってすみません」


青い髪の少女は老婆の手をしっかりと握っている


「別に構いやしませんよ、早く着いたのはこっちなんですから」


老婆は見た目によらず若々しい態度だった


「こちらへどうぞ」


応接室へと案内する、その間も少女はずっと老婆の手を握ったままだ、これは先行きが大変そうだ


「まず君の名前を教えてもらってもいいかい?」


個人的には十分優しく話しかけたつもりだ、現に今までの子達はこれで話してくれた


「.....」


だがこの少女はそうにも行かないらしい


「すまないね、これでも前よりかは明るくなったのだけどね」


「いえいえ、みんな最初はこんなもんですから、すぐに慣れますよ」


「それよりも優しそうな方で良かったわ、これなら私も心配が要らなくなる」


「そういえば血族関係について記載がありませんでしたがお孫さんですか?」


彼女は静かに首を振る


「そうではありません、でもここまで育てたのだもの親も同然ですよ、それとも詳しい説明が無いとここには入れませんか?」


老婆の目が鋭く光る、先程から思ってはいたが彼女は只者とは思えない


「子供達の未来を選ぶ権利を奪わせない、その為に俺はこの会を立ち上げました、どんな理由であれ困っている子供が居たら助けますよ」


「神宮優香...」


少女は小さな声で呟く


「えっ..」


「私の名前よ、これからよろしく...」


どうやら心を開いてくれたようだ


「俺の名前は南波紫苑だ、こちらこそよろしくね、優香ちゃん」


それからと言うもの神宮優香は他の子供達と遊ぶよりも俺の書斎に居座って居た


「おはよう紫苑、今日は何をするのかしら?」


彼女は決まって朝一番にドアを開けると同時にこう挨拶をしてくる、この生活もかれこれ三カ月も経ったので慣れてはきたが相変わらず不思議な感じの子だ


時折少女とは思えない言動をとることがあると思ったら年相応の少女としての一面を見せることもある、全く不思議な生き物(ひと)である


「おはよう優香、今日は寄付をしてくれた関係企業へのお礼周りと来月の計画を立てる予定だよ」


それを聞くと優香はプーッと頰を膨らませる


「勿論君への土産話も忘れてないよ、その代わりちゃんと留守番してるんだよ」


「わかってるわ、ついでに掃除もしといてあげるわよ」


ニッコリと笑顔で微笑む、扱いやすいのか難いのかよくわからない少女だ


「部屋の片付けはほどほどにしといてくれよ、あとで大切な書類が無くなったら困る」


「紫苑、いってらっしゃい」


「ああ、行って来るよ」


似たようなやり取りを毎日繰り返しているとそれが当然のように思えて来る

だけれどその日の午後、一本の電話がその日常の終わりを知らせた


「お母様が亡くなった...」


「今朝息を引き取ったそうだ、葬儀は明日執り行うそうだが出席するかい?」


「当然よ、ずっとお世話になったんだもの、最後まで見届けるわ」


葬儀当日

偶然にも葬儀の場所は紫陽花のすぐ近くであった、まるで俺達に会う為に開かれたような誘いに少し躊躇するが選択肢は一つしかない


黒いスーツの男性とまるで白いワンピースを暗闇に落としてしまったような見ているだけで呑み込まれそうな黒を纏う少女が部屋に入る


葬儀と聞いたら人が沢山集まるものだと思っていたがその部屋には白髪の老人が1人いるだけだった


「連絡をくれたのはあなたですよね」


「そうじゃよ、湊さんとは古い知り合いでね、久し振りに会いに行ったら亡くなっておったのじゃ、ところでそこのお嬢さんは」


ギロリ、老人の目が一段と大きく開く


「神宮優香よ、お母様にあなたのような友達が居たなんて知らなかったわ」


「最後に会ったのももう50年以上昔の話じゃからのお、知らないのも当然じゃよ、それともその頃の事も知っておるのかのお?」


「葬儀と聞きましたが人はあなただけなんですか?」


「時期に来るじゃろう、旧友にも伝えてあるんでな」


老人の言葉通り次々と彼女を弔う人々が現れた、年齢はまばらだがやはり年配の方が多い


「優香のお母さんは随分慕われてたんだね」


褒めたつもりなのだが彼女の表情は暗い


「こんなの嘘よ、この人達はお母様の事を知ってる筈がない!」


そう叫んで彼女は部屋を出て行ってしまう

慌てて追いかけようとするが後ろから肩を叩かれて振り返る


「彼女について相談があるんじゃが」


驚く事に老人は彼女を引き取りたいと申し出てきた、それこそが老婆から受け取った遺言らしい

にわかには信じがたいが彼は遺言状まで持っていた


「ここで決められる話じゃありません、後日お会いしましょう、それと遺言状を預かっても構いませんか?」


「構わんよ、疑われるのも当然じゃ」


彼はそれを受け取ると優香の元へと走る

波が海岸に当たる音が聞こえる、近頃港町として発展しているここに俺は紫陽花の本部を作った

海辺に咲く紫陽花とは妙な話だが世界は広いのだそんな事の一つや二つはあってもおかしくは無いだろう


ここは海も街も山も見える、ここで育った子供達がどこに行こうと自由である、そう伝えたくてここを選んだ

もっともその頃はここが発展する直前だったので土地代が安かったというのもあるが


「優香!」

今にも海にポチャンと落ちてしまいそうなくらい夕陽に照らされて彼女は海岸に1人座り黄昏ている


「ごめんなさいね、取り乱してしまって」


そう言っている彼女の顔はもう落ち着いている、なんだか黄昏色に輝く彼女の姿が大人びて見えた


「今日はもう疲れただろう、帰ってお茶にでもしよう」


「ええ!」


その声と共に少女の幼い笑顔が輝く


しばらく後


「はあ、何となくわかってはいたが...」


彼は封筒の中身を見て溜息をつく、そこに書かれているのは筆跡一致の文字

あれだけ渡すのを躊躇しなかった時点でそんな気はしていた


「身元調査の結果も怪しい点は一切なし、本来なら受け渡す以外の選択肢は無いんだが」


何か心に突っかかるものがあった、老婆の葬儀に出て彼と出会ってから全てが上手く行き過ぎている気がしてならない

だが身元調査を頼んだのは紫陽花設立時から何度も世話になっている者だ、今更金欲しさに嘘を書くとは思えない


「念の為に他の業者にも頼んでみるか」


彼が電話を掛けようとすると何故か繋がらなかった


「そろそろ変えなくちゃと思ってたがこのタイミングでか」


古くなった電話線が切れてしまっていた、ここの電話は元からあった物を使っていたのでいずれこうなるとは思っていた

仕方なく隣の部屋に電話を掛けに行く、そして部屋に戻った時に彼は鍵を掛けなかったことを後悔する事になる


「紫苑さん、これはどういう事なのかしら?」


決断をするまでは彼女に黙っていようと隠してきたのに全部見られてしまった


「見ての通りだよ、君を家族として受け入れたいという人が現れた」


「そうなのね、ここもいつかは離れないといけないと思ってたけれどこんなに早いなんてね」


認めている、彼女なら絶対に反対すると思って考えていた言葉は意味を無くす


「いいのかい?せっかく君だって紫陽花(ここ)に慣れてきたのに一度しか会ってない老人の元に行くなんて...」


何より自分が寂しい、そんなことは覚悟を決めた目をしている彼女の前では言えなかった


「いいのよ、あなたと過ごした時間はとても楽しかったわ、それにまたいつか出会える気がするもの」


その笑顔は偽りなんかじゃ無かった、だから俺もきっと会えると信じる事に決めたんだ


それからしばらくして老人は彼女を連れて行った、そして俺は三カ月ぶりに何もない日常へと戻ったのだ

ここまでは俺の前日談、その3日後に優香の忘れ物を取りに来たという者と出会った時から俺の運命は変わり始める


それが誰だったかは不思議としばらくの間思い出す事が出来なかった、だがその者がこれからの鍵を握るのは間違いないだろう

俺は日常では手に入れるはずのない力に踊らされ取り返しようのない罪を犯す事になる


これから始まる物語は全体の始まりに過ぎない、だが根幹でもあるのだ


未南雲神奈の救いの原点、悲劇の裏側、そして力に踊らされたある男の救済、そして謎

全ては物語の結末に繋がっていると是非願って欲しい

そしてこれだけは忘れないで欲しい、人生の選択肢など他人(ひと)が提示するものでは無いのだと



どうも新作を思いついてから旧作が踏み止まっていたダメ作者のつばさです

それでも何とか「魔眼少女」を書き終えることが出来ました

そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました

それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!

というわけで本日の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します

またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!

是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います

作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa


時間ピッタリに上げられそうなものは予約掲載でする都合上後書きはテンプレのみになります

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