四人パーチーだけど…
全裸鼠耳美女が仲間になった!
「ふーむ…ロリじゃ無いので精々結婚したいくらいの気持ちしか抱けないな…」
というか正確にはまだ仲間とは言えない、だが少なくとも俺は現在進行形で発動可能な彼女に対する殺生与奪権を手に入れた。それはつまり支配であり所有だ。
まあ…連日の襲撃から悪意には敏感になった為彼女はなんとなく敵ではない様な気はするが…まあ、そこは一般人、恐ろしい勢いで展開する自らの周りの変化に動揺しているのだ。察してくれ。というかそういうことにしといてくれ。
「それは十分なのでは?」
ロリメイドさんは俺に対してかそれとも俺の内心にたいしてか知らないがツッコミを入れつつカラカラとカートを使って運んできた大きな袋…サンタがプレゼントでも詰めていそうな…まあ、洗濯物入れらしいのだがそれに女性を詰めいていた。
だがいくら怪力といっても彼女の背丈をはるかに超える上に意識がない人間である。入れるにしても、それ以前に持ち上げるにしても大変に辛い、テーブルを振り回す様にはいかない様でその動きはだいぶんゆっくりである。
さて、彼女の…鼠お姉さんの見た目の特徴を少し、尻尾はない、頭には人間の耳と鼠の耳どちらもあり顔にはヒゲの様なフワフワとした毛が三本ずつ、髪色は…灰色、身長は百八十くらいで俺よりも大きく胸も尻もダブルでかいお姉さんです。
こちらからはビショウジョニウムと同等かそれ以上の希少性を持つビジョニウムが補給できるがロリタミンが著しく少ない為何か新しい属性でも判明しない限りこの鼠お姉さんに明日は無い!
そしてナカイケさんはやっぱりナカイケだった。うっかり巨峰に目を奪われて居た俺と違い目を背け顔を赤らめている。うん?俺?俺は表情筋さんからのリアクションが薄くてね、すごく喜んでても何も動かなかったりする。今日はそういう日らしい。
そんな女体の神秘を無表情に追求していた俺に無慈悲な一撃を放つ合法幼女が一人、袋の中に人を半分突っ込んだ状態でピースサインを目に押しつける様に放ってくる。
「えい!」
メイドさんのデス☆フィンガー、目潰しの効果、回避50で回避…ファンブル!プニプニした指が俺の眼球にベストマッチ!
「うぼあ。」
まだだ、たかがメインカメラを…
「あ〜手が滑った〜」
メイドさんの追加攻撃発動!目隠し!このカードが場に出された瞬間相手は目隠しをしながらデュエルを続けなくてはならない!
目の部分に被せられた鉢巻の様な布が頭の後ろで髪を巻き込んで結ばれる。ジッサイイタイ!
その後ついでとばかりに後ろから彼女に、怪力ロリメイドに抱きつかれ拘束され、ナカイケ氏が布に包まれた鼠のお姉さんを抱えた状態で我々『異世界美少女発掘隊』はキティさんの姉である書記官の元へ行った。
なぜ布とか縄による拘束でないのかだが、どうやら俺は昨日今日とあった騒動のせいか人畜無害なその身体性能と頭脳を過大に評価され布や縄程度で捕まえることはできないと決定されたらしい、ナカイケ氏の部下が刺股めいたものでキティさんと俺との密着度を上げているのもそのせいだろう。
「また貴方ですか!?っキティ!貴方と兵士長が居てなんで…うがががが…」
「ね、姉さん?」
「書記官殿!?」
もちろん、その後冷静をなんとか取り戻した彼女は今回の面倒事についてとこの国の隠密についても詳しく教えてくれたりOHANASIをされた。
…というか一般人にそんなことを教えていいのかと途中で言ったら凄まじい眼光で睨まれた。何故だろう?
「まあ…はぁ、もういいです。ではその隠密は引き取ってくださいね勇者候補様?」
「ほう?」
怪力ロリ書記官は溜息を吐きながらそう言った。
『隠密』が隠密たり得るのはその存在を知られて居ない間のみ、哀れな鼠のお姉さんは俺にその存在を知られた為に俺に対する隠密ではなくなり俺の監視兼専用隠密さんとなったのであった。
というかいつのまにか王様がいてびっくりした。なに、この国の人はみんなニンジャなの?今はまだ遠い存在である邪悪やら魔族やらよりこの人達の方がよっぽど怖いんですが?
「…ところで書記官さん。」
「…なあに、勇者候補さん?」
さて、未だ意識が戻らない鼠お姉さんはさておき、俺は怪力姉妹のメイドじゃ無い方に声をかける。勿論返ってくる声色には苛立ちの様な、何処か胃に穴があきそうな人特有の神経質なものを感じるが…今ここで話さずしていつ話すのか、いや今しかない!
まあ異世界ラノベといえば、ラノベでよくいるアウトオブロウな感じの勇者(笑)といえば城からの追放、逃亡というのがつきものだ。
だが、今回のそれはそういうお話では無い、強いて言えば現状に対する姿勢の表明である。
「お城の警備がザルすぎて怖いのでもうちょっとマシなところに行きたいです。」
「オーケー、素晴らしい決断です。早速前線に行きましょう勇者候補様、きっと貴方なら軽く混沌の一つや二つ粉砕してくれると信じてますよ。」
二つ返事で前線行きを指示されそうになった上にそうなったら俺は全力で逃げることに徹しようと思ったが本当にいつの間にか、というかあまたの書類の山から飛び出てきた様に見えた王様が書記官を止める。
「待て、早まるな、彼は勇者候補の中でも飛び抜けた人材であることは確かだ。我々の胃に穴が開くのと人類の存続に穴が開くのとでは規模も被害も違う。今はまだその時ではない。」
…ふむ?時というやつが来れば俺は、いや、この異世界めいた場所に連れてこられた日本人である彼らや俺は混沌との戦いに強制的に参加させられるのか…
「…俺は一般人なんですけ「「お主/お前の様な一般人があるか!」」…えー」
何故か知り合いにも言われるが酷い言われようだ。何故皆わからないのだろうう。
生きることは、その為に必死なことは、その為に専心することが…一体どうして普通だと思えないのだろうか?
とりあえず紆余曲折あって、というか王様の華麗な交渉によって俺は明日から戦闘訓練というものと知識教授というこの世界の常識や異世界人、俺たち勇者候補についての説明をいち早く受けられる様になった。やったね…アレ?
かくして俺は家出少年の如くこの城から出るのを先送りにしこの城で今しばらくこの世界のルールを、そしてこの世界に迫る邪悪という奴を体感することになったのだった。
「う…あ、あれ?ここは…」
「ああ、グレイラット貴方今度からこの勇者候補様についてね。」
「よっす。」
「…カッハ!」
余談、というかひどい話だ。
書記官と俺と王様立ち会いのもと…というより俺と王様の会話途中に起きてきた鼠さんが書記官からそう言われた瞬間もう一度気絶したのは俺のせいではないと思う。
…だから皆そんなにやばいものを見る様な目で見ないで?