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異世界に来たけど…


「成功!成功です!」


白を基調とした神官服に身を包む数十人の人間、そして先ほどまで学校にいたはずの我々高校生、どうやらこれは異世界転移と言うアレの勇者召喚的なアレだろう。

俺は周りを囲む学生服の集団の中でひっそりと周りを見回し出入り口を確認、足元にあった赤い液体が血であることを再確認しながらため息を吐く。


どうやらここは地下空間で出入り口は一つ。今はなんだか綺麗な王女様がニコニコとクラス一のイケメソと話して居る。しかし周囲にいる兵士とむきっとした貴族服の男は油断なく出入り口を固めており、兵士は儀礼用であろう剣を腰に挿して入るが主武装は槍とハルバード、神官でもよくみれば短剣を持っている。

ぶっちゃけここを突破してもどうしようもないので俺はポッケから携帯とスマホを出し電源を切る。ついでに鍵とポケットナイフの確認をして手で抱えていたブレザーを着る。


始業式には正装と言うのが校則で初めて感謝した。時期的にはまだまだ暑いので普通ならブレザーなど持ってこない、ふとブレザーを着ると内ポケットに硬い物があった。チラリと見てみると剥き身の鏡だった。


「では、王城にご案内します。勇者様。」


「ありがとうございます。」


会話イベントが終了したようだ。先頭は王女様とクラストップカーストなイケメソと楽しい仲間四人、それを俯瞰しているのが自らをオタクと言い切る根暗系男子生徒二名と自称普通の一般人な逸般人一名、怯えているように見せてクラスの男子に自らを担がせてる猫かぶりちゃん一名…ふむ、総勢20人のこのクラスに普通のやつがどれくらいいるか知らないが今の10人は面倒臭そうだ。チェックしておこう。


列の最後尾付近は警備の兵士がなんだかぽけっとしている。かくゆう俺も前の方の観察に忙しいので構わないのだが殿が一人とかこの国の警備は大丈夫なのか?

と言うか…兵士が確か10人、神官はついて来なかったので関係なし、貴族服のむきむきさんは王女様の近く。じゃあ、11人目のこいつは…


「っく!」


「っち!」


横にいたので槍の突きを出す時の初動が見えていたのが幸いし身を詰める事で突きがくる前に俺の間合いに兵士を持って来れた。槍を手放す前に首を抱えて首相撲に持ち込む。


「ふん!」


「が!?」


悪いが俺が格闘技をやめて既に2年、そいつの膝蹴りで腹を打たれて膝を崩すなんて…


「訓練が足りないな…」


「ごが!?」


気付けば俺とこの偽兵士だけこの廊下に取り残されており、うずくまる兵士の頭を思い切り蹴り上げ意識を持っていく。ローファーが痛むかもしれないがとりあえず壊れなかったのでセーフ、ここの兵士が頭に兜、手に鉄の籠手、足に鉄製のブーツ、胴にと鎖帷子と国のマークっぽいのが入った布地の服だったのが幸いだった。全身鎧の近衛とかだったら絶対面倒…いや、待て王女がいるのに近衛がいない?


おそらくこの兵士の格好が近衛と言うことはないだろう。どう見ても平兵士だ。とりあえず服を脱がせ服でふんじばって置くついでに剣と槍を見てみるが素人目でも良いものでない事はわかる。欠けが目立つし錆もある。…そう言えば何故かこの兵士だけ短槍だった。俺もまだまだ警戒心が足りないね。


「きゃー!」


「うわー!?」


悲鳴、それもイケメソ君と王女様だ。

俺は鉄の籠手とブーツと鎖帷子を装備、制服を着直し剣と一本だけ異様な雰囲気の短剣をもらっていく。

声からしておそらく廊下の曲がり角の先で一方的な虐殺か、運が良ければ勇者は捕獲して王女だけ始末とかそう言うアレかもしれない、うるさいので装備の音は目立たない、角から覗き込む。


「何を!離してくださいゴルディール伯爵!」


「ハッ!小娘が、貴方が呼んだ勇者様方はこんなにも簡単に捕まってしまいましたよ?ほうら、お気に入りの彼から殺して差し上げましょうか?」


「くっ!離せぇぇ!」


うむ、元気そうだし、かなりいい展開だ。兵士は…10人とも後ろ向きだね、ロープでクラスの皆さんを縛るのに夢中みたい、あ、でも逸般人君が3人くらい相手してる。


「この!クソ!」


「っは!こっちの剣には術理がねぇな!」


「早く捕らえよ!」


楽しそうでなによりです。じゃあ、俺は…


グサっとね。


「っ!」


背後から近づいてさっきの短剣で首元をブスリ☆


「ど、どうしっ!」


背後がお留守〜背後がお留守〜


なんだか本当に捕まえるのに必死で全然背後がお留守である。そのまま四人ヤッて漸く気付かれた。


「ナッ!?貴様!何処から武器を!?」


「…秘密かな。」


とりあえず手元から槍が離れていた皆さんをは剣を構える。ので俺は死体さんの近くにあった長槍を持って足を狙う。死体さんと目があったらしい女子がすごい目でこっちを見てたけどこれも生きるためだと思って欲しい。


「す…どりゃあ!」


息を吸って声を出して袈裟斬り、


「っふ!」


「グゥ!」


よりも長いリーチで腿をブスリと、横から抜けてくる兵士の前に槍を引きながらカチ上げ、少し下がってくれたのでなんとか成功、槍は使ったことがないが棒を振り回した事はある。その要領で行ってみよう。


目の前には腿を刺されたのが一人、無傷が一人、他3人は逸般人君に掛かっている。貴族さんがくると不味いが…イケメソ君を抑えてる兵士さんと一緒にこっちを見てる。ここで携帯をのフラッシュを使えればよかったが電池の関係で電源を切ってしまっていたのでこれが失敗、近くの死体は持ち上げるにはいささか重いので使えない…


とりあえず二人を片付けよう。


「スぅ…はぁ!」


踏み込んで穿つ!


「グッ!」


流石は城の兵士である。俺の槍先を剣で逸らし弾くが俺はそのまま槍を脚を刺された兵士の首にねじ込み剣を抜刀、籠手を盾に袈裟斬りをそらして首を貰う。


「っふん!」


「グア!」


どうやら槍の方は脚の人がちょっと動いていたせいで首ではなく胸に当たったようで、鎖帷子によって傷は浅くなったものの致命傷で終わった。首を狙って剣を抜いた方は振り抜くと危ないと思ったので突いたのでざっくりと喉の中心を突き抜けた、俺はそれを右に降って死体を転がす。


「よいしょ、っと!」


「ヒッ!やめ…あああ!!」


生き残った方も息の根を引っこ抜き、左手に槍、右手に剣の状態で逸般人君に掛かっている人達を二人戴く。


「…お前!」


「黙ってくれよ、ちょっと失望したぜ?」


逸般人君はどうにも人を壊したくないらしく背後から俺に刺されて胸から剣と槍の生えた兵士を見て俺に怒鳴ってくるがまだまだ終わっていない、俺はポッケからナイフを出して投擲。


「っふ!こいつがどうなってもいいなら私を殺…あへ?」


命中、ヘッドショットここに極まっている。最後に呆然としたイケメソ君を抑えている兵士を斬り殺し、剣から血を払い、槍は放る。

貴族さんの額からナイフを抜くとちょっと血が出たのでナイフから血をぬぐい刃をしまってポッケに収納、剣も納刀して腰を抜かしている王女様に跪く。


「御手をお貸ししてよろしいでしょうか?」


「は、はい。」


許可をもらって王女様の手を引っ張って立たせようとするとなんか飛んできたので籠手受けすると金属音、みると黒い全身タイツみたいなのを着たTHE・暗殺者!みたいなのがいたが窓を突き破り退散、とりあえず王女様がガクガクしているので早急にイケメソニウムを摂取させないといけない。


「と言うわけで今縄を切る。暴れんな。」


「っ…」


そんなに睨まないで欲しい、俺を睨んでいいのは超絶美少女と幼女だけである。逸般人君もすごい形相でこっちを睨んでいるが皆の縄を解くのに忙しいらしい、睨んでくるだけで絡んでは来ない。


と言うか皆さん静かすぎでちょっと怖いですな、マジ怖ですぞw


「ホイッとな、取れた取れた。」


縄を解くと王女様がイケメソニウムの補給と言う名の三文芝居をおっぱじめたので俺は全くもって手応えのなかったなんちゃら伯爵から財布を頂戴しついでにおそらくこっちの言語で書かれたのであろう紙片を発見、内容は誰かと落ち合う場所と時間が書かれていたがこいつにはもう必要がないので胸の上に大々的に置いておこう。



さて、そのあとだが無事玉座の間に着いたはいいものの憔悴した王女と青ざめたイケメソ君を見た王様と何故か今頃になって駆けつけて着た汗だくの近衛騎士の報告を受け色々を明日に回すことに決定、勇者一人一人にメイドと部屋を用意してもらえた。

ちなみに皆はイケメソ君たちと集まっていたが俺はもう眠いので部屋に案内してもらって寝た。

メイドさんはちょっと背が低くて幼い感じの年上でこの人に殺されてもいいと思った。

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