後悔の始まり
初めまして、カラスと申します。
始めてインターネットに自分の言葉を載せます。
頑張りますので、応援よろしくお願いします
……やり方何か間違ってないかなあ……?
自分の右腕が十メートル以上離れている。
逸夏泰吾にはもちろんのこと、彼の知り合いにもその経験がある者はいない。
「……え?」
震える唇から、赤い液体が溢れる。鉄分を含んだそれを下目で見送りながら、遠く離れた右腕を凝視する。
生まれてずっとともにあった手のひら。そこから紺色の制服と、黄色の腕章。赤い枠線と、赤い字で警備員と書かれている。
警備員。
そうだ、と泰吾は思い出した。今の自分は警備員。連休をいいことに、短期アルバイトとして参加しているのだ。
ここはライブ会場。ほんの十分前までは熱気で満ちていたこの場所は、今や悲鳴と絶望で埋め尽くされている。
そこで、右腕が巨大な柱に踏みつぶされた。灰色とボディに、水色のラインが特徴的なそれは、巨大な馬の形をしていた。それは、周囲から立ち上る炎に目を配ることなく、周囲のものを破壊し続けている。
「ゴーレム」
その単語を呟いたとき、泰吾の表情から光が消えた。もう助からないと、彼の記憶が理解していた。
ゴーレム。十年ほど前から出没している、古代の産物。本能的に破壊行動を繰り返し、一度遭遇したら逃げるしか、生き延びる手段はない。
実際に見るのは初めてだ。だが、どこから現れるのかがわからないと言われていた通り、どこからともなく出現し、この惨状を引き起こした。
逃げようとしても、泰吾の足は瓦礫に埋もれて動けない。紺色の警備服はずたずたに引き裂かれ、両足の感覚がない。
「嘘だろ……」
唯一無事な左腕で瓦礫をどけようとするもあまりにも重くて動かない。
巨大な影が、こちらに大きな体積を押し付けようとする。目前に迫る死に、泰吾は目を閉じた。
読んでくださり、ありがとうございました。
主人公、逸夏泰吾のこと、応援よろしくお願いします。
書置きは少ししかございませんが、頑張って週一投稿を目指します。