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Near Real  作者: 東田 悼侃
第四章 破壊編
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1st story 日常は突然に終わる

「今日だっけ、キース様とタムズ様と会うの」


玄関で俺が靴を履いていると、台所で昼食の食器を洗っていたイヴが、俺を見送りにやってきた。


「そう。毎月恒例の会談だよ」


「今月はちょっと早いわね」


「あっちが、上手く予定を組めなかったらしいんだ。それで早まった」


「そうなの。気を付けて行ってらっしゃい」


「うん。遅くとも、夕飯までには帰るよ」


行ってきます、と言って俺は家を出た。車で、町の最深部にある魔王達の住む城へと向かう。道は空いていなかったが、二十分で目的地には到着した。門番に顔を見せると、門番は事情を察し、門を開けた。彼らとも、今では顔馴染みだ。


所定の位置に車を停め、玄関を訪ねる。入り口で待機していた使用人に案内され、俺はいつもの部屋へと向かった。


「やあやあ、待ってたよ」


「待ちくたびれたよ」


部屋の扉を開けると、二人の魔王が、中央に据えられた円卓の周りに座っていた。俺は二人の隣に置かれた椅子に座ると、手前にある紅茶をすすった。


「君がここに来てから、もう二年か?」


「違うよ、タムズ。三年目だよ」


そうだよね?とキースが俺を見る。俺は頷いた。


「そうか。三年目か」


「色々あったものだな、三年のうちに」


「結婚するなんて、思ってもみなかったよ」


「しかも、僕達よりも早いし」


二人は一息吐くと、同時に紅茶を飲んだ。


「家庭の方はどうだ?」


「うまくいってるのか?」


二人が俺に尋ねた。


「イヴかい?関係は円満だよ」


「そうかい。それならよかった」


「くれぐれも、喧嘩はしないようにね」


「まあ、結婚していない僕達がこんなこと言ってもね」


「説得力なんてありゃしないけどね」


はは、と自嘲気味になる二人。


「それで?」


「子供の顔は、いつ見れるんだい?」


二人が、にやにやと俺を見詰める。


「―――親戚じゃあるまいし」


俺は溜め息を吐く。


「まあ、気長に待っててくれよ」


「って言い出して、もう一年だよ?」


「僕達はもう十分に待ったよ」


「いや、せめてもう一年―――」


頼むから、そんなに急かさないでくれ。


その時、部屋の扉が慌ただしく開かれた。


「おいおい、開けるときはノックぐらいしろよ」


中に入ってきた部下に、キースが注意する。しかし、部下はそれどころではない様子で、俺達の前に立つと声を張り上げた。


「緊急です!人類が! 人類が攻めてきました!!」

最終章「破壊編」スタートです。

一話目で、いきなりのことにおいてけぼりになるかもしれませんが、この章では、ところどころでこんな現象が起きるかもしれません。一先ず次回は、スローテンポに戻ります。


次回は水曜日です。

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