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Near Real  作者: 東田 悼侃
第一章 日常編
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5th story 通達

遅くなりました。すみません。

“適正診断”から一週間。周囲は続々と診断結果が返ってきているというのに、俺の結果は未だに返ってこない。やはり、あの数値が物議を醸しているのか。

ユグは“農民”の適正が出た。やっぱりな、と言いつつ、少し悲しそうにしていた。


さらに一週間が経ち、やっと教育委員会から俺宛に通達が来た。期待に胸を膨らませながら通知を開けた俺だったが、期待外れに内容は診断結果ではなかった。


“シェル・クライマン殿


上の者、保護者となる両親又は先生同行のもと、四月二十四日午前十時に教育委員会本部へ来るよう。


教育委員会委員長 ラマ・ブルータス・ジグル”


なんか、教育委員会にお呼ばれしました。



「んー」


放課後、俺は教育委員会からの通知を持って担任のスサノオ先生の下を訪れた。俺から受け取った通知を読んだ後、先生は腕を抱えて考え込んだ。


「あの数値が疑われたのかなぁ」


しばらくして、俺と同じ推測に辿り着く。先生は腕を抱えたそのまま、天井を仰いだ。


「まあ、不正なんかしたわけじゃないしな.......これは素直に従った方がいいんじゃないか?目の前で実演して見せれば、頭の固いお偉いさん達も納得するだろう。二十四日か?二十四日は」


先生は、壁に掛けられたカレンダーを見た。二十四日は日曜日である。


「日曜日か。ご両親と行けるか?」


俺は首を横に振った。俺の両親に休みはない。彼等は毎日が仕事である。その分、マイペースに進めることはできるのだが、そうだとしても、どれぐらいの時間がかかるのか分からない外出は、極力避けたいところだろう。


「そうかー なら、俺と行くか?その日は空けとくぞ」


お願いします、と俺は首肯した。


数日後、俺とスサノオ先生は教育委員会本部にいた。本部は二十階はありそうな高層ビルの建物だ。


「着いたぞ。ここが教育委員会本部だ。意外とデカくてビックリしたろ。まあなんせ、人類領域内の教育の全てがここで管理されているからな。各地に支部があるとはいえ、本部としてはこれでも小さいぐらいの規模の組織だよ」


正面から建物に入り、入り口のすぐそばにある来客窓口へと向かい、俺宛に届いた通知を示す。しばらくロビーで待たされていると、建物の奥からやって来た男が俺達を迎えた。


「シェル・クライマンさんとその保護者の方ですか?お待たせしました。ラマ・ブルータス・ジグルの所へご案内致します」


名乗っては来なかった。ただの職員ということだろうか。こちらへ、と俺達を促す男を先頭に、建物内を進む。少し進んだところで、エレベーターに乗る。俺と先生が乗り込んだのを確認すると、男は地下五階のボタンを押した。地下もあるのか、この建物。ものの数十秒でエレベーターは地下五階へ到着した。


扉が開く。男は俺達がエレベーターから降りるまで待ってから、降りてきた。再び、男を先頭に進む。俺達は、ひたすら白塗りの廊下を進んだ。やがて正面に、半開きになった扉が見えてくる。


この階には、その他に部屋はないようだ。なら、この廊下は何のために?そんな俺の疑問など他所に、部屋の前に到着する。


部屋に入る際、ちらりと扉に目をやる................!?ん?どういうことだろうか。どうして、シェルターと見紛うような厚みを持った扉なのだろうか。表裏の見た目は一般にビルにもあるような扉の癖して、その厚さはおよそ二十センチ程ある。内部は鋼鉄か、それ以上の固さを持った何かで出来ているようだ。開閉大変そうだなぁ。


俺は後ろを振り返り、先生を見た。目が合う。先生も、扉の異質さには気付いているようだ。戸惑いながらも、行け、と俺を目で促した。行くしかない。何が起こるか全く想像できない、すぐ先の未来に覚悟を決め、俺は部屋の中へ一歩を踏み入れた。


扉は、部屋の端に設置されていた。部屋は、右手に広がっていた。

その奥に、いかにもな風貌をしたじいさんたちが数名、長机を前に腰かけている。その対面にはまた、長机と椅子が。


..........え?それだけ?こんなに部屋広いのに?この広さがあれば、バレー位は余裕で出来る気がするけど。


年寄りの考える事はよく分からない。

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