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Near Real  作者: 東田 悼侃
第三章 悪魔編
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4th story 相も変わらないイケメン

「え?知らないのか?」


思わず俺はハルさんに聞き返す。ハンニバルの反応からしても、二人は面識があるはずなのだ。


「記憶にないわね。学年は上履きの色で分かるにしても」


うちの学校の上履きは、学年ごとに色が分けられている。俺達の代は青色、一個上の代は緑色。そして、一個下の代は赤色だ。


「でも―――」


上履きの話はさておき、俺は口を開く。


「こいつ勇者だぜ?そしたら、武術部で見知ってるはずだろ?」


特別な事情のない限り、勇者は原則、武術部に所属することになっている。まあ、勇者が何かしら競技やっちゃうと、一般人の立場がなくなっちゃうからね。そして、ハルさんは、武術部のマネージャーだ。少なくとも二人の間に面識はあるはずだ。無いわけながない。


「んー」


ハルさんはしばらく考える素振りを見せると


「―――やっぱり覚えてない。一年生とかあまり興味ないから」


ドライだなあ。でも頼むから、ハンニバルを見る目と同じような目で俺を見るのだけはよしてくれ。同学年にも興味ないのかよ。いや、俺は今一年生なんだっけ?


「でもこいつ」


俺はなおも食い下がる。


「この学校で一番強いって豪語してたぜ?そしたら、サルゴン辺りと戦って勝ったりしてるんじゃないのか?」


ハルさんは、俺の言葉を聞いてハンニバルの顔をまじまじと見詰めた。そこへ―――


「俺がどうかしたのかい?――――って、おお!シェルじゃないか!!久しぶりだな!!」


部室の方から当の本人、サルゴンが顔を覗かせた。まったく、どんなご都合主義だよ。あいつ絶対主人公補正かかってるだろ。


「よおサルゴン。一年ぶりだな」


俺は片手を挙げてサルゴンに挨拶した。


「ちょうど良いところに来たわ。ねえ、サルゴン。この一年の子、知ってる?」


ハルさんはサルゴンに、ハンニバルについて尋ねた。ん?とサルゴンはハンニバルを見詰める。


「ああ、知ってるよ。武術部の一年の子だろ?名前は確か―――ハンニバル・ノミマス、だったよね?」


コクコクとハンニバルが頷く。


「それで、この子がどうかしたのかい?」


サルゴンはハルさんに尋ねた。ハルさんは肩をすくめると


「シェルに聞いて」


俺に流した。サルゴンが俺を見る。


「いやね、こいつが自分はこの学校で一番強いって言うんだけど―――――どうなんだ?サルゴン」


「そうなのか?うーん」


サルゴンが首を捻って考える。


「シェルや部長には遠く及ばないけれど、一般的にはかなり強い部類に入るとは思うよ」


「お前よりは強いのか?」


え?とサルゴンが聞き返す。


「だから、こいつはお前より強いのか?」


「んー。難しいね。でもまぁ―――強さはあまり問題にすることではないんじゃないのかな?俺達は等しく勇者だから、人類のために尽くすと言うことに変わりはないと思うよ」


「サルゴンが正論」


ハルさんがさりげなくサルゴンのフォローをする。相変わらずイケメン発揮してるじゃないか。


「それよりシェル、俺は討伐隊での一年間の話を聞きたいもんだ」


「飯をまだ食ってないんだが―――――食べながらでも良いのなら」


「全く問題ないよ。食べながらでも話してくれ」


そうだな。俺もこの一年間の学校での出来事も聞きたいしな。


「どこでだ?教室か?」


「そこの部室でいいよ。弁当は?」


「部室にある。よし、じゃあ行くか。休み時間も残り少ない」


完全に空気となったハンニバルを置いて、俺とサルゴン、そしてハルさんは部室に向かった。


――――あれ?ハルさんも?違和感に気付き、横を見る。すると、サルゴンとハルさんが手を繋いでいる光景が目に入ってきた。


「――――――そういうこと?」


見せつけてくれるじゃないか。


「どうしたんだい?」


サルゴンが俺を振り向く。止めろ!幸せオーラを振り撒くな!


「一年も見ない間に―――――大人になったなぁ」


「ん?ああ、そういえば言ってなかったね。俺、覚醒したんだよ」


え?何?このタイミングでそれ言ってくる?どんなドッキリだよ。普通にビックリしたよ、おい。


「―――――驚いたな。それはおめでとう。ていうか、それだったらやっぱりハンニバルよりも強いじゃん、お前」


「うん。それは自信がある。でも、本人の前でそれを口にするのは可哀想じゃん?」


サルゴンが声を潜めて俺に言う。


ウゼー。イケメンウゼー。挑発しまくってた自分がちっぽけに見えるよ。圧倒的な力の差を示しちゃった自分が小者に思えてくるよ。


「そ、そうだな」


返す言葉もありません。至極正論です。俺の負けです。別に何も勝負なんてしてないけど。


そうこうしているうちに、部室の入り口へとたどり着く。


「まあ、さっき俺が聞きたかったのはさ―――」


部室の扉を明けながら俺が言う。


「お前ら、付き合ってんの?」


「そうだね。それも言ってなかったね。去年の冬かな。ハルから告白されてね。以来付き合ってるんだよ」


「ちょっとサルゴン。そこまで詳しく言わないでよ。付き合ってるってだけでいいじゃん。恥ずかしい」


「はは、ごめんごめん」


あー、背中が痒い。


非リアを代表して言おう。





リア充爆発しろ!

次回更新は土曜日です。
















リア充爆発しろ!(嫉妬)

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