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Near Real  作者: 東田 悼侃
第二章 遠征編
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26th story 疑心

拍子抜けるほど簡単に、第一防衛線は人類側の手に落ちた。とはいっても、それは一部の話で、流石にこの長い壁の全てを掌握するには至らない。あくまでも、今回の戦争での物資補給乘などのための連絡通路が確保できた、という感じだ。まあそれでも、常時百人以上の“勇者”が見張るこのエリアを魔族側が取り返すことは不可能だろう。それほどまでに、人類と魔族の戦力には開きがあった。


魔族を撃つことには、やはり抵抗があった。しかし、ここは戦場。そんな悠長なことは言ってられない。先に撃たなきゃ撃たれる。敵兵に対しては非情になるしかないのだ。でなければ、仲間を守ることなどできない。


第一防衛線を突破した俺達は、次なる目標である第二防衛線へと足を向けた。ここから先は、本当に情報のない未知の領域だ。これまで以上に気を引き締めなければならない。




一時間も軍が進軍した頃、先にいくつもの建物が見えてきた。集落のようだ。建物の大きさはそれほどでもなく、どれもこれも、人間界で言う民家のようなイメージだ。


俺達が集落へ進もうとすると、プラトン長官から待ったがかけられた。そして、前方に魔法使い千人が並べられる。


―――――――おい、まさかだろ?


俺は最悪の想像に行き着く。いや、だがまさか。まさかそんな非人道的なことは――――


「燃やせ」


しかし、虚しくもその予想は的中する。プラトン長官は静かに、しかし力強く魔法使い達に命令した。魔法使い達の手元から、無数の火球が集落に放たれる。それらは集落に落ちると、建物を燃やし始めた。


――――嘘だろ。だって、あの中にはまだ、兵ではない、一般の魔族が居るんじゃ.....


集落から悲鳴が上がる。と同時に、プラトン長官が俺達勇者に進軍命令を下した。軍が銃を構えて集落へ進軍する。そして、魔法使いの火によって建物の中から炙り出された魔族に向かって発砲し始めた。


やがて、集落のあちこちから悲鳴が上がるようになる。


――――止めろよ――― こんなの、戦争じゃねえ。―――戦いにすらなってない。


身に纏った服から吹き出る火を消そうと地面をのたうち回る魔族の一人に、容赦なく幾数もの銃弾が浴びせられる。


――――これは戦争なんかじゃない。


俺は気付く。


これは戦争を名目とした―――侵略と虐殺だ。


違う―――そうじゃあないだろ。兵じゃない一般人まで手をかける必要はないだろ。こんなのは、していいことじゃない。


建物があちこちから火を上げ、崩れていく。これじゃあ、どっちが化け物だよ―――


焼け野原と化し、四方に魔族の死体と青色の血が飛び散った惨劇の中を、俺はただ呆然と歩いた。何もせず。何もすることができず。ただ呆然と。


込み上げてくる蔑みだか哀れみだか憤怒だか、なんだかよく分からない気持ちを押さえつけるのが精一杯。


そもそも―――


焼け落ちた民家を前に、俺は考える。


この戦争の意味は何なのだろうか。勇者選抜だなんだとおだてられて、重要な部分に目がいってなかった。


この戦争は、何を目的にしているんだ?魔境の第二防衛線を目指して――――それでどうするんだ?何のために俺達は戦争を.....いや、こんな虐殺を行っているんだ?


分からなくなってきた。俺は一体、何をしているんだ?


一際大きく高い泣き声が、俺を現実へと引き戻した。はっと我に帰り、周囲を見渡す。


数軒先の建物の前で、小さな魔族が声をあげて泣いていた。子供だろうか。その魔族は地面にへたり込み、黒い何かを揺すっていた。あれは――――


「ッ!!」


俺は口元を手で覆った。喉元まで込み上げてきた胃液を無理矢理飲み込む。


あれは――――焼け焦げた死体だ。泣き声をよく聞けば、魔族語で“母親”を示す言葉を叫んでいるようにも聞こえる。死体はおそらく、あの子供の母親。


俺はその場に銃を取り落とした。これが、人類のしたがっていたことなのか?今回の戦争の目的は、こんなことなのか?俺の中で、“戦争”への疑念が膨らんでいく。


ふと、その魔族の前に一人の勇者が立った。魔族の子供はそれに気付いていない。男は銃を片手に右足を振り上げると、子供の腹を蹴り飛ばした。


「――なっ!」


子供は泣き止み、瓦礫の上でうずくまる。


「何をする!」


俺は叫ぶと子供のもとへと駆け寄った。腹を蹴られたせいで、子供は呼吸ができていない。


俺が子供を抱こうとすると、男が近付いてきた。


「どけよ。俺の獲物だぜ」


男は子供の首を片手で掴むと、俺から遠ざけた。


「離してやれよ!まだ子供じゃねえか!」


「そうだな。こいつはまだガキだ。でも、“魔族のガキ”だ」


だから―――


男は銃の柄で子供の顔を殴った。歯が砕けて飛ぶ。


「殺す」


「ふざけるなっ!!」


男が子供に向けた銃口を俺は握った。


「“魔族”なら無条件に殺していいってのか!」


「いいに決まってんだろ」


何を言ってるんだ?と、男が俺の顔を覗く。


「“魔族”はピシウス様を裏切った。“アクピス教”の、ひいては人類の敵だぞ?殺すのが宿命だろ。“魔族”は殺すものだ」


“アクピス教”――――


男は一つ溜め息を吐くと、銃口の先に子供の顔面を持ってきて、引き金をひいた。青色の血が降りかかる。


「この状況で気が触れたのかどうか知らねえが、邪魔すんじゃねえぞ。魔族の擁護をする奴も、人類の敵だ。そう見なされたくなきゃ、大人しくしてるんだな」


男はそう言って立ち去った。地面に顔面の破壊された子供を残して。




――――――こんなのいいわけがない。許されるわけがない。


こんなのは――――ただ“アクピス教”の教えにかこつけて、虐殺を楽しんでるだけだ。

情景描写も少ないし、話の流れも不自然?低クオリティ?







ごめんなさい。眠いんです。





次回更新は水曜日です。それまでには寝不足解消させて頭が働くようにしておきます。

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