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Near Real  作者: 東田 悼侃
第四章 破壊編
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13rd story 救い

「貴様ら―――何者だ」


現れた魔王二人に、ヤマトが問う。


「あれ?タムズ、あんまり効いてないよ?この登場の仕方」


「おかしいな。僕たちは今、彼の目には過去最強の強敵に見えているはずなんだけど」


「やっぱり、形から入るのは間違ってるんだよ」


魔王二人が、本気で戸惑う。


「まあいいや。とりあえず、シェルを返してもらおう」


「じゃあ、シェルは頼んだよ、タムズ。僕はあの人間を相手するからさ」


二人の魔王が、シェルとヤマトに歩み寄る。ヤマトは、シェルの首元から剣を外すと、二人に向き合った。


「何者だ、と聞いているんだ」


ヤマトの問いに、魔王二人は顔を見合わせてから答えた。


「タムズ・アカド。魔族の王だ」


「キース・アカド。同じく魔王だ」


ヤマトが眉を潜める。


「魔王―――だと?」


「うん。魔王」


「要は、魔族で一番強いってこと」


「―――なるほどな」


ヤマトは頷くと、唐突に、二人に向かって突進した。その初速は異常なもので、ヤマトの元居た地面に亀裂が走る。


キースが、タムズとヤマトとの間に割って入った。キースとヤマトが衝突する。


「なにっ!?」


ヤマトは驚愕の声をあげた。ヤマトが剣を振り下ろす前に、キースは、ヤマトの手首を掴む形で、それを押さえていた。


「キース、一人でいけるな?」


タムズがキースに尋ねる。キースは頷いた。


「この程度なら、全く問題ない。僕は適当に遊んでるから、シェルのことは任せたよ」


タムズは、ヤマトとキースを置いてシェルへと足を向けた。


「待て!何をするつもりだ!」


ヤマトが、矛先をタムズに変えようとする。しかし、キースがヤマトの手首を掴んで離さなかった。


「おいおい。君の相手は僕だぞ」


ヤマトは舌打ちをすると、キースと向かい合った。


「お待たせ、シェル」


タムズが、手足を固定されたシェルを地面から引っ張り出す。


「どうして―――」


自由の身になったシェルは、立ち上がるとタムズに尋ねた。


「二人が出てくるのは、敗けを認めるってことだったんじゃ―――」


「いやいや」


タムズが首を横に振る。


「僕達の実戦投入可能な最終戦力である君が敗けたんだ。実質、僕達の敗けのようなものさ」


「そう―――ですか―――」


シェルはうつむいた。どれもこれも、自分の半端な覚悟が招いた結果だ。タムズはそんなシェルを見詰めて、うん、と頷いた。


「じゃあ一旦、本部に戻ろう」


そのまま、ヒョイ、とシェルを担ぎ上げる。


「ちょ....え?」


「ちょっと速く走るから。誰も追い付けないぐらいの速さでさ」


タムズはシェルにウィンクすると、キースを呼んだ。


「キース!そろそろ行くよ!」


「りょうかーい!」


ヤマトを軽くあしらっていたキースが答える。


「ってことだから。そろそろ、この剣は返してもらうよ」


キースが、ヤマトから二本の剣を簡単に取り上げる。ヤマトは唖然とした。


「それじゃあ、人類、また今度ね」


キースとタムズは人類軍に手を振ると、内陸に向けて走った。


「っ――――オッ!」


思わず、シェルの息が詰まる。


「ちょ!タンマタンマッ!!速すぎる!」


シェルはタムズの肩を叩いた。しかし、二人はスピードを緩めない。


「頑張って、五分の辛抱だから」


「君だって、覚醒すればこれぐらいは走れるようになるさ」


「嘘だろ―――」


シェルは呟いた。

次回更新は水曜日です。

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