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Near Real  作者: 東田 悼侃
第四章 破壊編
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6th story 決断 4

第四防衛線より内側に設置された総本部で、俺は二人の魔王と向き合っていた。


「君の決断は、それでいいんだね?」


タムズが俺に確認する。


「すでに覚悟も済ませてある」


俺は答えた。


「それじゃあ、僕達が口を出すことはないね。早速、状況の説明をしよう」


「今、第三防衛線までが突破され、人類はこの第四防衛線に迫ってきている」


キースとタムズが交互に言う。


「この第四防衛線が突破されれば、この戦争は終局を迎えると言ってもいい」


「ここだけは、どうにかしてでも死守しなければならない」


「だから最悪、僕達が出ていかなければならないんだけど―――」


「それは、実質敗けを認めたようなものだからね。だから出来れば、僕達の出番無しに人類を退けてほしいっていうのが、本音だよ」


「そこで、君に提案なんだけど」


「“覚醒”する気はないかい?僕達の血を飲んで」


タムズとキースの質問に、俺は考えるまでもなく首を横に振った。


「いや、いい」


「でも、今の君では大した戦力にならないと思うよ」


「そうだね。物量で押しきられて終わりだね」


しかし。俺は口を開く。


「だからといって、他人の力で自分の問題を解決したくはない―――これは俺の問題でもあるんだ」


「といってもねぇ―――」


「」それ以前に、僕達魔族の問題だからねぇ―――


それでも俺には、二人の力を借りる気はなかった。


「分かった。分かったよ」


二人が手を挙げる。


「ならばせめて、これを使ってくれ」


そう言って二人は、腰に提げていた剣を引き抜いた。


「魔王の家に代々伝わる名刀だよ。威力と耐久力は折り紙つきだ」


「これまで、何人もの魔王が扱っているというのに、刃こぼれひとつ起きていないからね」


「いよいよ、勇者同士の殺し合いとなると、銃の弾のスピードじゃあ、どうしても互いに全力で戦えないからね」


「自分の体の動きに速度を合わせられる武器が一番なんだ。その点、この剣はピッタシだ」


「大きなアドバンテージには、十分成り得るね」


「―――使っていいのか?大切なものだろうに」


「剣なんて、使われてなんぼさ」


「使うといいよ」


「分かった」


俺は二人からそれぞれ剣を受け取った。左右対称に造られた二本のそれは、見た目に反して軽かった。


「扱い易さと耐久性を極限まで求めた逸品だ」


「世界中に、その二本しか存在しないよ」


俺は右手に持つ剣を、その場で素振りした。ピッと、高い音が微かに鳴る。


「すごいだろ。剣の素人が力任せに振っても、その辺の岩なら軽く切れる」


「僕達が使えば、空気の抵抗すらなくなるのさ」


「危ないから、使わないときはこの鞘に納めておくように」


二人が続いて、俺に鞘を渡す。俺はそれを受け取ると、二本の剣を鞘に納め、それを両腰に提げた。


「...なんか、すごいシュールだね」


「私服で腰に剣を二本も下げてると、流石に笑えるね」


二人が苦笑する。俺は自分の服装を見下ろした。そういえば、私服のままだ。


「戦闘服、貸そうか?」


俺は頷いた。

次回更新は土曜日です。

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