「身近な関係?」
限定のシュークリームは、意外な形で典秀の前に現れました。もう家族感覚? にも思える関係に更なる更なる? 展開が典秀に襲い掛かる!
私は、まさに絵に描いたような光景をまのあたりにしました。
「いらっしゃい! 典さん!」
「こんばんは、おじゃまします」
「どうですか? これ!」
テーブルの上には、私が買い損ねた?
明日になれば手に入るかも知れない……
プレミアムシュークリーム!
しかも……
3個も!!
「これ? 何で3個もあるの?」
「なにとぼけた事を言ってるんですか?」
「1個は、典さんの分よ。亜美がどうしても呼ばなきゃって」
はぁ~、これはまたタイミングが良い事で……
でも、このシュークリームって直径が10センチ以上ある代物だけど?
一人1個……?
あさコンビニで持った時は、ずっしりと重かった気がする。
「今から食べるの? あさっては健康診断……」
「なに言ってるんですか! 健康診断が怖くて甘い物が食べれますか!」
「でも、太らない? ……あっ! ゴメン」
何を私は、女性に対して……
お母さんも食べるのかな?
まるごと1個?
「太る!? 太るですって! まだ9時前じゃないですか。平気です。平気!」
「そう? まぁ、前向きに考えて健康診断はあさってだしね! 食べましょう!」
「今、飲み物を用意するから典さんは座って待っててちょうだい」
とりあえず私は、椅子に腰掛けました。
じっくり見るとやっぱりデカい!
「さぁ、典さん食べましょう! はい、一応フォークとスプーンね」
「フォーク? あぁ……最初の切り込みね。じゃあ、いただきます! ……宮元さん!?」
「はい……もぐもぐ。何でしょうか? 美味しいですよクリームが濃厚で」
……フォークは?
かぶりついたの?
すごい!!
「亜美! 典さんびっくりしてるじゃないの!」
「あっ……。 お店じゃないから……つい」
「にしても、このクリームの量は半端じゃないね。美味しいけど」
何だか、3人で食べているとすごく楽しい!
恐るべし、宮元さんの色んな一面!?
「あっ! そうそうこのシュークリームって発売が今日までなんですよ!」
「えっ!? これって前から出てたの? 知らなかった~」
「ごちそうさま~。あぁ~美味しかった~」
お母さん!?
もう食べちゃったの?
「ごちそうさま! 結構きますねやっぱり」
「宮元さんも終わり!?」
「典秀さんは、ゆっくり食べて下さい! 私見てますから……くすくす」
まぁ、私ももう少しで食べ終わるんですけどね……。
そうか~。
明日だと、これ買えなかったんだな。
ある意味ラッキーなのかな?
宮元さんに感謝だな!
「ふぅ~……。ごちそうさまです。美味しかった!」
「クリーム付いてる! …………ほら」
「えっ……。あっ……」
宮元さんは、付いていたクリームを……
「あら~。見せつけちゃって~! 典さん今日は泊まっていくんでしょ!」
「えっ!? 泊まる? 泊まるって迷惑じゃ?」
「そんな事ありません! 嫌ですか?」
宮元さんって、けっこう強引な所あるよな~
それに、お母さんも居る事だし何も起きないと思う……
私は、何を妄想しているんだ?
しかし、つくづく私は真面目なのかな?
そう思ってしまった。
いやっ!
私は、節度ある態度でいかなければならない……
あまり軽はずみ的な行動は、私は嫌なだけである。
良い訳ではない!
「あっ! 着替えがないですね……」
「あ~……。じゃあ着替えを持って私が典秀さんの家に行きます!」
「なぁぁぁぁぁっ!? いきなり何を!?」
本当にびっくりしました。
「私も行こうかしら!」
「おっ! お母さんまで……」
「みんなで行きましょう! ダメですか典秀さん~?」
何!?
なんですか?
この展開は……
「さぁ、行きましょうか典さん!」
「あぁ~! お母さんずる~い! 私も支度しますね」
「ちょっ! あぁ~……」
まじか……
今から私の家に3人で帰るの?
「典さん! 車のドア開けてちょうだい!」
「典秀さん電気消しますよ!」
「まいったな~」
3人……
車に乗り込みました。
変な展開になって来ていますよこれは……
「まだ、スーパーやってる所もあるから寄って行きましょうか。典さん」
「寄って行くんですか?」
「何だか、ワクワクしますね」
すごく楽しそうだよな。
まるで小旅行にでも行くように……
スーパーに着いて、3人で中に入りました。
まぁ、こんな時間じゃ惣菜系なんかは、大した物は残っていないのは確実。
でも、2人はカートを押して食材を買い物かごに入れて行きます!
「典秀さん……? タマゴってあります?」
「多分、何個かはあると思うけど……」
「典さん、帰ったら飲むでしょ! 缶酎ハイで良いわよね」
宴会でもやろうって言うのでしょうか?
お母さんは?
「あっ! でも亜美さんは飲めないんじゃ?」
「…………亜美さ……んって、飲みます! 私……今日は飲みます!」
「いやいやいや、無理しなくてもいいんだよ。会社休みじゃないしね」
まだ、今週始まったばかりなのに……
見るとお母さんは、お酒をかごに入れていきます。
本当に、宴会やるのか?
「あの~。お母さん? 量がちょっと多くないですか?」
「あ~いいのよ! 飲めなかったら次の日に飲めばいいんだから」
「はぁ、それはそうなんですけど……」
そうだよな。
何を私は、全部飲むつもりでいたんだろう……
ちょっと気が楽になりました。
「あっ! これも一緒にお願いして良いですか?」
「典秀さん!? おはぎって? どう言う事ですか? 健康診断が近いんですよ!」
「この時間から食べるのは良くないかもね典さん!」
声に出しても良かったんですけど……
私は、心の中で叫びました!
健康診断が怖くて甘い物が食べれますかって言ってた人のセリフか?
酒は、良いのか?
おはぎは、1個じゃん!
あぁぁ……
なんて、私は小さい事で……
まぁ、今日買わなくても特にいいか。
「明日にして下さい! これを食べるのは! いいですね? 典秀さん!」
「買ってくれるんだ~ありがとう」
「くくくっ……。子供みたいね典さん! いいわ~そういう所も」
しまった~。
普通に自分でお金出せば良い事だったんだ~~。
なにも無理に買ってもらわなくてもいいんだよな。
……恥ずかしい。
「さっ! こんなところかな? レジ行きましょう!」
「あ~亜美! これもね!」
「なんと~!?」
お母さんは、すでにかごに1袋入っている「さきいか」を……
さきいかをもう2袋入れたのです!
「もう……。本当に好きねお母さん」
「ははっ……。そうなんだ?」
「もう買いますからね。 いいですね?」
私達は、レジへ……
買い物かご2個分の買い物!
一つのかごは、ほぼお酒が入っています。
スーパーを出て、私の家に向かっています。
この後の展開が私には予想できません!
そんな感じで、車を運転しています。
「結構買いましたね?」
「あら? 典さんそんな事は気にしなくていいのよ!」
「おはぎは、今はダメですからね!」
どれだけ、この「おはぎ」と言う食べ物は要注意なのでしょうか?
今日は、食べません誓いましょう!
でも、朝なら良いのかな?
消費期限があるからな~
「じゃあ、明日の朝ごはん食べた後に食べる事にしますよ。1個入りだし……」
「ご飯食べた後に? 食べれますか? ねぇ、お母さんそう思わない?」
「そうね~。まぁいいんじゃない? 1個だったら男の人だし」
どう事だ??
「どっ……。どいう事なのかな?」
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい」
「……あははは! 明日の朝が……楽しみだな。はは……」
強がりじゃないけど、もう任せます。
「どうぞ入って下さい」
私は、玄関のドアを開けました。
「さぁ! 飲みましょうか! 典さんは、どれにする?」
「はぁ……。じゃあ、これ……」
「あら、ストロング!? 飲む気満々じゃないの~!」
適当に取ったのが……
アルコール度数が9%のやつだった~!
わざと350mlにしたのに!
お母さんは、私の取ったやつの500ml缶を……
「って!? もう飲んでる!」
「じゃあ、私はこれにしよっ! アルコール3%のホワイト?」
「大丈夫? 亜美さん……」
なんか普通に名前で言ってしまいました……?
「亜美さん? 亜美さん……。寝てる!?」
「亜美は、ホント弱いのよね~。全然なの」
「だって、まだ……」
この前もそうだったな。
何だか、かわいい?
そんな風にも思えて来ました。
「亜美のは、もらっちゃうわよ! 典さん飲む?」
「あ……。どうぞ飲んでください」
「じゃあ、頂くわね!」
問題は、お母さんの方です!
強敵です!
敵ではないですけど。
買って来たの全部飲みきってしまう勢いです!
親子なのにこんなに違うなんて……
「あら? もう無い! どうしましょう? 典さん!」
「どうしましょうじゃないですよ! もう休みましょう!」
「……そうしましょうか。 こんど飲みに行きましょう!」
結局、全部飲んでしまった……
取りあえず、寝床を用意して2人には休んでもらいました。
私も寝る事にしました。
トントントン!
「ん~ん! 良いにおい!」
「あっ! おはよう典さん!」
「もうちょっとで、朝ごはん出来ますよ!」
2人とも早いな!
お母さんなんか、あんなに飲んでいたのに普通?
亜美さんも平気なようです。
「さぁ! 頂きましょう!」
「…………すごい量! 昼の分で持って行こうかな?」
「お弁当は、作ってありますよ!」
本当だ。
何時に?
いや、何時から作ってたんだろう?
「んっ!? この玉子焼き美味しい!」
「これには、隠し味があってね。宮元家伝承の味付けなの」
「伝承ですか……。なんかすごいな」
食べたら、2人とも家に戻らないといけないよな。
今日は、まだ火曜日だ。
着替え持って来たんだっけ、そう言えば……
じゃあ、このまま2人で出勤!?
それは、マズイぞ!
まだ、ちょっとマズイかな~……
……お母さんは?
よく考えたら、出勤時間が違うじゃないか!
「こっちが先に出勤だけど、どうするの?」
「典秀さんが出る時に、乗っていきます家に寄って下さい」
「じゃあ、少し早く出なきゃね」
そっ……
そうだよね。
「お母さんも……でいいんでしょ?」
「私は、どうしようかしら? 帰って来るまで居ていいのよ!」
「ははは……。御冗談を……」
いや?
マジかもしれないぞ!?
まさか?
でも、お母さんは……
「えっ!? 冗談? そうね……冗談よ! 冗談」
「もう、お母さんったら。典秀さん困ってるじゃない!」
「じゃあ、食べたら出ましょうか?」
お母さんは、何か悲しげ?
考え過ぎだよ。
考え過ぎ!
だって、もうすぐ結婚するんだから。
もしかして、マリッジ何とかっていうやつ?
気持ちが?
「ごちそうさまでした」
「あら? おはぎは? 典さん」
「ギリギリ、今日帰って来てからでも良さそうなので……」
たった1個なのに、無理っぽい感じです。
「そう。ちょっと多かったかしら? ご飯」
「少しだけ……」
「あらっ!! この絵! このサインは! 玄一さんの……」
玄一さん?
まさか……!?
雪村玄一信の事なのか?
お母さんって、絵に詳しいの?
「あ~、お母さんの結婚の相手の!?」
「えぇぇぇ~!! マジですか? ずっと大ファンなんですよ!」
「照れるじゃない! そんなに大きな声で言ったら……亜美」
何だかなぁ~
この間、個展でお会いして感動したばっかりなのに!
結婚の相手だなんて……
「あら? 電話だわ! ……はい! どうしたの玄一さん? こんな朝に!?」
玄一信さんから!?
次話へつづく