「プレミアム的な?」
空港から帰って来た2人。出迎えた宮元さんのお母さんですが、何の不信感もなく2人の夕ご飯を作り始める。その間、飛行機の模型の事で宮元さんの部屋へ……。そこで、更にプラスな一面を突き付けられる!? 限定のシュークリームが……。
宮元さんの部屋は、思った通り2階の様です。
彼女の後ろを付いて行くんですけど……
まぁ、これが意外にも急な造りになっていました。
リフォームしたんじゃないのか?
上に部屋は、3部屋ありました。
彼女の部屋は、階段に一番近い手前にある部屋でした。
「さぁ、どうぞ~」
「へぇ~……」
「へぇ~って、何ですか?」
しまった~!
私とした事が……
「いやっ! 変な意味じゃないんだ! てっきり飛行機の写真とか……」
「模型がびっしり並んでいるとでも? ……ありますよ! でも、今は見せませ~ん」
「あるんだ……?」
お母さんが、買って来るくらいだもんな。
別に、趣味で集めてるんだから私は気にしないけど。
男の人は、色々な物を集めるのを聞くけど……
今は、見せる決断のタイミングじゃないという事なのだろう。
「どこに座ろう?」
「じゃあ、このリクライニングに……。ちょっと疲れちゃいました……」
「って!? 宮元さん!? どうしたの?」
貧血!?
……寝ている??
私が一瞬足を伸ばした瞬間に……!!
これって逆の膝枕!?
限界だったのかな?
車の中で眠っても良かったのにと思いました。
でも、どうしよう?
この角度からの宮元さんは、何か色っぽい……
そっと肩に手をやりました。
何でしょう?
時間が止まっています。
そんな気がします。
私まで、ウトウトするような感覚が…………
「ご飯出来たわよ~っ!! 降りていらっしゃ~い!」
「あっ!! 宮元さん! 宮元さん!!」
「わたし? ハッ! 私ったら……」
顔を赤らめて、宮元さんは起き上がりました!
寝顔は、2度目だよ!
宮元さん!
「あ~平気平気! ご飯出来たってお母さんが呼んでるよ!」
「冷めちゃうわよ~!」
「は~い! 今行く~!」
大丈夫かな?
何だか、まだフラついている様な気がする。
「模型でしたね。先に下に行ってて下さい。持って行きます」
「分かった。じゃあ、先に行ってるよ」
「どうしたの~!! 2人とも~!?」
お母さんが、2階に上がって来そうな勢いです。
私は、また意外に急な階段を降りて行きます。
テーブルには、とても美味しそうな料理が並んでいました。
「美味しそうですね~」
「美味しそうじゃなくて、美味しいのよ! とっても!」
「ははっ! そうですね。すみません」
おふくろの味か~?
まだ、宮元さんは降りて来ません?
「あなた達、キスくらいはしたの?」
「おっ……! お母さん! …………はい」
「隠さなくてもいいのよ! 子供じゃないんだし」
なんと寛大な~?
私は、そんなオープンな方じゃあないから……
「よっと!」
「今、階段を何段飛ばしした? 足とか大丈夫?」
「平気です! 約束の模型です!」
模型を手渡されキョトンとする私……
思ったよりも高そうな感じがします。
「わぁ~美味しそう! さぁ典秀さんも食べましょう! いただきま~す!」
何だか、また少し違った宮元さん?
これが本当の宮元さん?
元気でいいです!
「お母さん! 美味しい~! 典秀さん? どうしたんですか?」
「あぁ。じゃあ、いただきます。美味しいです」
「ありがとう典さん。お代わりしてね」
この団らん的な雰囲気は、すごくいいです。
「お母さん! お代わり~!」
「早っ!? 途中で食べて来れば良かった?」
「もう。亜美ったら~」
宮元さんは……
「ハッ!」としたアクションです!
少しの沈黙……
「私って、お母さんの料理大好きなんです!」
「いいんじゃない! こんなに美味しいんだもの!」
「……ですよね~。ははは」
家では、こんな感じなのかな?
事務所の中でも、元気な印象はあった。
まぁ、自分の家だから仕方ないかな?
「典さん? お代わりは?」
「あっ! いただきます」
「そうでなくっちゃ! 典さん今日は?」
今日は?
何だか、お母さんに誘われている様な錯覚さえ覚えます。
「あ~……。今日は、帰ります。荷物も結構あるんで」
「あ~ら残念。お酒でも一緒にって思ったんだけど? 亜美は全くだから……」
「失礼ね。お母さん! 私だって、ほんの少しくらいは……」
あの何か言い方おかしいですよ亜美さん?
おかしくないか……?
でも、その言い方にどこか納得する私がいます。
「ごちそうさまです。美味しかったです」
「典さんの為だったら、いつでも作ってあげる」
「為だったらって……。そうですか~……ハハッ」
私は、少し照れ気味に、とぼけた感じで場を濁しました。
……考え過ぎ?
私は、考え過ぎるところがあるから。
ご飯は、また食べたいと思いますけどね。
「そう言えば、この間、朝来たんですけど。やってなかったみたいですけど?」
「お店の事? 連絡が遅れて申し訳ありません! 実はね……続ける事になりました」
「えっ!? 続ける!? じゃあ、絵を戻さないといけないですね?」
私が寄った時は、たまたま休みだったという事かも知れません。
「あぁ~。いいのよ! 今、新しい絵を緊急発注してるから」
「緊急発注!?」
「典さんにもお願しようかしら?」
発注って、そう言う事~!
そうであれば、是が非でも私は参加したいと思いました。
「いいですけど。いつになるか……」
「でも、ありがとう! 典さんの好感度は、一気にまた上がったわ!」
「あはは……。あぁ……そろそろ戻ろうかな?」
しかし、私の中でどうしても気になる事がありますした。
喫茶店の存続の理由です。
今更、立ち退きに反対……?
いやいや有りえない。
何かスッキリしない……
よしっ!!
「どうして? 店を続ける事に?」
「…………。典さんって……」
「なんか聞いちゃいけない雰囲気みたい……? すみません」
スッキリするどころか、逆に空気を悪くしてしまった。
でも、このままの空気で帰る訳には行かないよな!
「ちょっと!? お母さん! 何、典秀さんを困らせてるの?」
「あぁ~、大丈夫だよ。気にしないで」
「そうね~。話した方が良いのかしらね……」
深刻な顔をしています。
深刻……
「お母さんっ!!! もう~! 結婚するんでしょ!!」
「けっ……!? ……こん? 結婚!?」
「亜美ったら恥ずかしいでしょ! そんなに大きな声で言って~! もう~」
私は、てっきり病かと思いました。
安心しました。
「おめでとうございます! 幸せになりますよきっと!」
「ありがとう典さん。あの人がどうしても続けてほしいって」
「あぁ~、相手の方が……ですか」
金持ちなのか?
……言い方が悪いか?
資産家と言った方がいいのかな?
でも、結婚って言ってたけど……
すごいな何か。
立ち退きじゃ無かった……
私の余計な詮索が外れて良かったです。
本当に余計な事を言わなくて良かった。
そう心から思いました。
一応、モヤモヤは晴れました。
「あぁ~。今日は、これで帰ります」
「そう? また来てね」
「典秀さん! 模型忘れないでね! はいっ!!」
何だか、ちょっと動揺してる?
私は、飛行機の模型を抱え玄関へと向かいます。
後ろから、宮元さんとお母さんが付いて来ます。
「近いからって気を付けて帰ってね。典さん」
「分かってます。安全運転で行きますよ」
「今度は、私がお料理を作ります。今日は、楽しかったです」
色々あったけど、そう言ってくれると嬉しい……
私は、ゆっくり車を出しました。
結婚か~……
やっぱり、すごい事だよな。
家に着いて、リビングのテーブルにお土産を置きました。
「意外にあるな~。模型はどこに置くかな?」
無理やり棚の物を片付けて、スペースを作りました。
食べ物が多いから……
この透明で、光り輝くクマさんは……
サプライズである、その日まで休んでいてもらいましょう。
……羊羹、少し食べようかな?
数切れ皿に切り分けました。
「美味しい~! 間違いないね~」
おっ~!?
このままでは……
食べ尽くしてしまう!
「ヤッバ~!」
すごい誘惑のパワー!
「最後に、もう一切れ……うまい!」
……もう寝よ。
そう思いましたが、なかなか寝付けない。
お母さんが結婚か~。
やっぱりすごいな。
宮元さんのコレクションも見てみたい気がするし……
こっちもある意味すごそうだな。
あと彼女は、よく食べていた。
会社でもそうだったかな?
「あっ! 食べてた? かもしれない……」
今週は、健康診断か……。
羊羹は、開けちゃったからな~
「でも、木曜日だから良いか? 大丈夫だよな」
平気だよな……
私は、自分なりに言い訳をしながら取りあえず眠りにつきました。
数時間後、朝は無情にもやって来ました。
「あっという間だな。朝って奴は……。 今日も天気が良さそうだな」
私は、そそくさと支度をして出勤しました。
相変わらずの道……
いつも見かける高校生。
どうしたんだろう?
いつもは、こんな事など考えたは無かったのにどうしたんだろう?
車を運転しながら妙な事を考えていました。
「コンビニでも寄るかな? ……そうしよう!」
あぁ~、なんか怠い?
昨日の疲れでも出てきたっていうのか?
「まさか~? コーヒー買おうっ!」
ブラックのでいいか?
いや、こっちのプレミアムのにしよう。
「うわっ!? なに……これ?」
そう、そこには何だ?
という感じの物が存在していたのです!
それは、シュークリーム……
私は、コンビニのならひと通り食べたくらい大好きである。
恥かしながら、40過ぎて……
好き嫌いに年齢は関係ないか?
また、勝手な解釈?
でも、このシュークリームには目が行くでしょう!
「大きいな! 何々あと2種類のプレミアムカスタード使用で期間限定……?」
でも、朝だしな~
健康診断も、これから控えているしな~
まさに、生殺しだよこれは……
しかし、ここは涙を飲んで普通のを購入しました。
車に戻り、まだ少し時間のある中でコーヒーを飲み干しました。
「さぁ! 行くか~」
今日は、何故か宮元さんとはすれ違いもしませんでした。
彼女の車はあったのに?
時計を見たら、もう午後5時半を過ぎています。
もう帰宅したでしょう。
私も、あともう少し……
気になってきました例の……
あのシュークリーム!
「お疲れ様でした~!」
仕事を終えて帰宅です。
再び、私は車の中で迷走中?
誘惑のコンビニシュークリーム!
私は、ちらっと?
一瞬立ち寄って見ました……。
「あっ……。無い……」
ものすごい虚脱感が全身を襲って来ました。
アメリカンドックとスナック菓子という夕食にもならない?
そんな組み合わせの買い物をして店を出ました。
「!? あそこなら!?」
もう一軒、帰る途中に同じ系列のコンビニがあるのを思い出しました!
「よし!」
気合を入れ車を出しました!
「無いか……」
そこでは、何も買わず店を出ました。
家に戻り、簡単に食事を済ませて少しくつろいで居ました。
「メールだ!」
宮元さんからでした。
内容によると……
今日は、会えなかった事と、おもしろい物を手に入れたという事でした。
できれば来てほしいと……
生ものなので?
「おもしろい物とは何だ? あのシュークリームか?」
何をバカな事を……
私は、たまたま今日は酒を飲んでいなかったので……
「行きますよ」
という返事をしました。
「いらっしゃい! 典秀さん」
彼女の家に到着し、家の中に入れてもらいました。
何とっ!
何とっ!!
何とっ~!!!
そこには……
次話へつづく