「今日(こんにち)」
旅行に出発する両親を見送って、少し戸惑いながらも? 典秀は、彼女をリードしたいと思いながら空港でのショッピングが始まりました。襲い掛かる「限定ラッシュ!」そして、今までの宮元さんにプラスの一面を見る。
何とも素敵な響きではないでしょうか?
空港限定というフレーズ!
限定……
ここでしか買えない!
「……って!? 結構あるね。空港限定ってやつ」
「そうですね。以外に?」
「全部、買う訳にもいかないしね~。はははっ……」
都内にもなかなか行かない私なので、この店のラインナップは新鮮です。
ご試食も出来るし……。
「実を言うと……。お菓子とか甘い物に目がないんだよね」
「知ってますよ。典秀さんは甘党だって言う事は」
「えっ? 言った事あったっけ?」
覚えが無いけど……
記憶に無いだけ?
「あの時、結構酔ってたみたいだから……」
「あの時? 酔っていた?」
「会社でやった、一番初めの忘年会の時です」
そんな事言っていたのか……
恥ずかしいな。
「じゃあ、少量で大量に買っちゃおうかな~」
「太りますよ! ははっ。限定して、限定して買いましょう!」
「そうだね。大量は余計だったかな? 会社の健康診断も近いしね」
何だか、コメントがおじさんしてる?
まぁ、おじさんだから……
あんまり自覚したくないけど。
やっぱり、ちょっとは気になります。
「美味しい! 試食もう1つ良いですか? 12個入りのこれ、2つ下さい!」
「典秀さんっ~! 言ってるそばから……。でも美味いですね。私も1つ下さい」
「買った方が良いってやっぱり! 近くで買えないしね」
私の味覚に間違いはない!
って言うか、見た感じからして間違いはないと思う。
さぁ、宮元さんには逆にショッピングに付き合ってもらうかも?
「あっ~! このバッグかわいい~! こっちも素敵です」
「どうですか? こちらは、この時期限定の商品となります。今月の25日までの販売となります」
「そうなんですか~? じゃあカードで……」
なっ!?
宮元さん!?
「買っちゃいました!」
「宮元さんって、衝動買いするほうなの?」
「いえっ! これは……。計画的ショッピングです! 次のデートで使います!」
次のデートですか~。
私とのデートって事だよな。
「だったら、プレゼントしたのに!」
「ここで、私の最新情報です! 再来週の水曜日、誕生日なんです」
「へぇ~!? そうなんだ! じゃあ、お祝いしないとね」
何を送ろうかな?
その週の勤務は、確か遅番だったかな?
大丈夫だと思う。
「お腹空かない? 何か空いてきたんだけど! どう?」
「そうですね~。 朝も早かったですからね」
「じゃあ、ここにしない?」
私は、冊子の4階を指差しました。
実を言うと……
結構、空腹な感じです。
「良いですよ。行きましょう!」
「もう……。ぺこぺこなんだ~」
「そうなんですか~? 我慢しないで下さいね!」
宮元さんは、少しハニかんた様子で返答しました。
本音が、つい出てしまいました。
ちょっと恥ずかしいかな私……
ヤバイな、これで「恥ずかしい」が早くも2回目!
店に入り席に案内されました。
一旦、休息です。
「やっぱり飽きませんね。ずっと見ていたいくらいです」
「飛行機好きなんだね?」
「はい! 大好きです! 変ですか?」
飛行機が好きな女性は普通にいるよね。
多分……
「全然、変じゃないよ。新たに宮元さんの事が知る事が出来て嬉しんだけど」
「事務所の人は、あんまり興味が無いみたいなんです。だから……」
「そうなんだ……。後で、また展望デッキに行ってみようよ」
私達は、店から出てショッピング再開です。
私は、立ち止まりました!
「どうしたんですか?」
「今の位置からだと戻る事になるんだけど……。ここなんだけど」
「かりんとう? ですか。 買い忘れても嫌なんで行きましょう!」
良い子やね~……。
こんな感じで言いたくなります。
そんな心境です。
「あれ? これって……」
「ですよね」
「搭乗しなきゃダメなパターン?」
私は、冊子をもう一度見直しました。
ゲートラウンジ内でした。
ちゃんと見ていればって後悔しています。
「無駄足だね。ごめん」
「そんな事無いですよ。ほらネットでも買えますよ」
「ありがとう。その言葉に救われたよ」
気を取り直して、ショッピング再再開です。
目的の店の前です。
でも、今は……
実は、彼女はお手洗いに行っています。
私は、即行でぇぇぇ~!!
「え~とっ! これかっ! すみません。これを下さい!」
回答は、すべてハイです!
ソワソワします!
ソワソワしています!!
「お待たせしました。こちらが商品となります」
「ありがと……」
「典秀さん、お店の中を見ていても良かったのに」
私は、店の前で何も無かったかの様に待っていました。
内心は、すごくドキドキなんですけど。
「いかがですか?」
「はぁ……」
「カワイイですよね。やっぱり高いですね」
店員と目が合いました……
にっこりと微笑んでいます。
そりゃ、そうです。
「……行きましょう。典秀さん」
「そう?」
「ありがとうございました」
なんか複雑な心境です。
さっきは、プレゼントすると言ったのに気を悪くしたかな?
「向こうのターミナルに戻りましょうか?」
「戻るの? 構わないけど……」
「典秀さん! これ見て下さい! ここです!」
宮元さんは、小さな文字を指差しています!
そこには、販売という文字がありました。
「よし行ってみよう! 宮元さん!」
「はい!」
長い連絡通路を通って、朝いたターミナルに戻って来ました。
「上にあがる前に、あそこの雑貨屋さん行って良いですか?」
「いいよ」
「カワイイ~。おもしろい!」
見ていたのは、愛くるしい顔のクマさんです。
でも、これでは……
「お前カワイイね!」
「お前カワイイね!」
「くっ……。ごめん」
つい笑ってしまった。
オウム返しするオモチャ?
帰って来るトーンが高いな~!
おもしろい奴だ。
「買う? あっ! 冗談冗談……」
「良いんですか~? カワイイですよね?」
「クマ系のって好きとか?」
「うん」と言う仕草をしました。
私のカバンに入っているのもクマです。
「プレゼント致しましょう! よろしければ」
「はいっ! ありがとうございます」
彼女が良いのであればと何度か思い購入しました。
私達は、2階のロビーにやって来ました。
「私、羊羹買って行きます。お母さんに」
「オレも買って行こう! じゃあ、これ2つ下さい」
「あぁ! いいんですよ。うちになんですから」
お母さん、羊羹が好きなんだ。
「じゃあ、私かりんとう買ってあげます!」
「ありがとう」
エスカレーターの手前にあるショップで購入出来ました。
「ひとまず荷物を車に置いて来た方がいいよね。それからデッキに行こう!」
「そうですね。結構買いましたね」
「さっきのかりんとう、お母さんに少し持って行って」
よく見ると、ひとりでは少し多いかな……
食べきれるかも知れませんけどね。
「実は、お母さんかりんとうも好きなんです」
「そう。良かった」
「置きに行きましょう。荷物」
連絡橋を渡り駐車場へ
「よいしょっ!」
「本当に買いましたね」
「さぁ、行きましょう! 典秀さん」
荷物を置いて、すっかり身が軽くなりました。
そのせいか、彼女はまるで飛行機が大好きな子供の様にはしゃいでいます。
ちょっと大げさか?
展望デッキは、朝よりたくさんの人が訪れていました。
何セットかある席が奇跡的に空いています!
私は、やっぱり疲れたかな?
すかさず座りました……
富士山がまだキレイに見えています!
天気予報では、夕方がら少しずつ崩れる事になっています。
宮元さんは……?
見ています!
少し離れた所で飛行機を……
いい感じです!
私は、一枚だけ写真を撮りました。
気付いていません……ね。
私的には、機体が何種類かあるんだくらいで見ています。
飛行機の羽の先が上に曲がっている機体。
そのまま真っすぐな機体……
昔、乗った事のあるエンジンが4つあるジャンボは?
「典秀さん、あれ! ジャンボですよね」
宮元さんは、席に戻って来ました。
やっぱり、エンジンが4つあると大きいと思いました。
私は、こっちが好きだな。
子供の頃、ジャンボジェット機の大きなオモチャを持っていた記憶がある。
部屋に飾る模型でも買って行こうかな?
「富士山が見えなくなって来ましたね」
「そうだね。雲が出て来たね。最後に、また少しお店見て帰ろうよ」
「何か買い忘れた物でもあるんですか?」
模型なんて言ったら笑うかな?
確か、1階に専門的なショップがあったよな。
エスカレーターから見えた気がする。
「1階かな……」
「あ~。まだ行ってませんね! 行きましょう!」
「元気だね」
宮元さんは、元気です!
帰ったら、ジムにでも通ってみようかな?
今日は、何だか何時もより疲れている気がする。
慣れない買い物もしたし……
「結構するんだな模型って……」
「そうですよ。知りませんでした?」
「あはは……。特に欲しい訳じゃあないんだけどね」
値段ではないんだけど……
まぁ、結局は値段もあるかもしれない。
あとは、どうしても欲しいという物欲的な感覚?
「もし良かったらでいいんですけど」
「えっ!?」
「私の部屋に、これと同じ物が2つあるんですけど差し上げましょうか?」
持っているんだ?
「良いの? でも何かが違うから2つあるんじゃないの?」
「いえ、お母さんが気を利かせて旅行帰りに買って来たのが同じ物だったんです」
「そうなんだ~。じゃあ、ここじゃ買わない事にするよ」
て言うか家に模型あるんだ?
なんかすごいな。
昔、戦車を少し集めた事があったけど……
全部、リサイクルショップに売っちゃったからな。
「じゃあ、帰り渋滞するかもしれないし、簡単に食べれる物でも買って帰ろうよ」
「コンビニありましたよ。近くに」
「そこで買おう!」
私達は、コンビニで買い物をして車に戻りました。
さっき買った、かりんとうを忘れる前に彼女と分けました。
宮元さんは、今って顔をしていましたが……
良いのです!
「やっぱり混んで来ましたね」
「あぁ……。でも、しょうがないよね。ゆっくり帰ろう」
「食べます? さっき買ったの」
小腹が空いてきたかな。
「うん。食べる」
「はい、どうぞ」
「じゃあ、私もいただきま~す」
思ったよりも渋滞が長く、食べ物は買って置いて正解でした。
「やっと抜けましたね!」
彼女も安心した様子です。
その後は、さほど大きな渋滞がありませんでした。
「結構、遅い時間になっちゃったね」
「大丈夫です。子供じゃないんですよ! お母さんただいま~!」
「お帰り。混んでた? 典さんもどうぞ~」
宮元さんの荷物を半分持って家の中に入りました。
「おじゃまします。何かオシャレな作りですね」
「ちょっと前に、リフォームしたのよ」
「いい感じですよ。すごく」
そう言えば、中古物件で買ったウチの家もしないといけないのかな~?
結構するのかな?
「ずい分と買って来たのね! あら? バッグ買ったの?」
「良いの! これは!」
「お腹は? 空いてない?」
渋滞の時に食べてから時間は経っている。
「もう! ぺこぺこよっ!」
どこかで聞いたフレーズ?
「ちょっと待っててね。作ってあげるから」
「お母さんはね、時短のプロなのよ!」
「へぇ~」
それしか言葉が出なかった。
「そうだ! 模型!! 私の部屋に行きましょう!」
「出来たら呼ぶから大丈夫よ」
「こっちです」
自然な流れで、宮元さんの部屋に向かいます!
どんな感じなんしょう?
緊張します!
次話へつづく