「イメージのカケラ!」
亜美(彼女)から「LINEの招待」を受けた典秀。新しいコミュニケーションが始まる。そして、新しい展開? 亜美は、夕食を作る為に典秀の家へ。2人の楽しい夕食? そんな典秀の中には、喫茶店「絵ごころの家」に展示してもらう為の今だに描けない絵の事がプレッシャーになりつつある。何かつかめそうでつかめないもどかしさ! 休日に気分転換をかねて出かける事を考えている典秀。でも2人ではない……。
亜美さんから、LINEの招待が来ました。
LINEを始めるって……
私が?
実際のところ、普通のメールで用が足りてます。
でも、亜美さんからのせっかくのご招待!
だけど、始めるにあたって今更と言われないだろうか?
今じゃ小学生だってやっているし……
なぜ今?
どうしたんだろう突然?
現在の時刻は、もう午前1時を過ぎています。
「LINEか~。あっ!」
私は、彼女の事が気になりメールを送りました。
「LINEの事は、出来るようにしておきます。
もしかして? 今待機している?
待っているなら休んで下さい」
このメールを送った後、LINEをダウンロードしました。
「……初期設定は、これでよし」
そして、亜美さんを友達に追加しました。
!!!
なんか軽くスタンプが送られて来ました。
私は、すぐに返しました。
「亜美さん、まだ起きてたの!?」
と、すると……
「当然です! でも、おやすみなさい。また明日」
私も最後に……
「おやすみ~」
すると!?
……また彼女から!
「もう今日でしたね。おやすみなさい」
その後に写真も送られて来ました。
これは、良いショットです!
カワイイじゃないですか~!
自撮りってやつです。
「保存しておこう!」
時刻は、午前2時15分になろうとしています。
「もうこんな時間!? ……寝よ!」
私は、写真を保存して横になりました。
!!!
!!!
「何だ? LINE……? 亜美さん!」
時刻は、6時42分……
まぁ、8時出勤の彼女にとっては、起きてる妥当な時間ですね。
あんまり寝ていないよな?
しかし、今夜来るとは?
どういう事だろう?
私の仕事が終わる時間は、22時。
来ても良いのだけれど……
時間の事は、彼女も知っているはず。
!!!
!!!
「おっ! また来た。……カギを貸して下さい。 夕食を作ります」
カギ!
でも、どのタイミングで渡す?
!!!
!!!
「ん? 昼の休憩時間に来る。……大丈夫かな?」
大半の従業員は、昼休みの休憩時間です。
工場内は人気が少ない時間帯です。
私のラインも少人数で出来る物を流しています。
「本当に来るのかな?」
少人数と言っても、いるのは木村さんだし危険過ぎます!
「典秀さん……。 典秀さん」
今、かすかに後ろから……
「亜美さん! 本当に来たんだ」
「カギですけど。今、良いですか?」
「あぁ。はいカギ……」
木村さんには、気付かれてはいない様です。
私は、亜美さんにカギを渡す事が出来ました。
でも、亜美さんが戻る時に言っていたあれは?
「既読スルーは良くないですよ」
……って何だ?
私は、自分の休憩の時間にネットで調べてみました。
「読んだにも関わらず返信をしない……か」
そう言う事か。
内容を理解していれば、返さなくても良いと思っていました。
今からじゃ遅いかな?
そうだ!
私は、「夕食が楽しみ!」と送りました。
もうすぐ午後3時です。
私の休憩時間が終わります。
「さ~て! 後半戦のスタートだ!」
私は、作業に戻りました。
作業の状況を見て、小休憩をとりました。
「LINEが来ている!」
亜美さんからの返信です。
「任せて下さい!」
と、自信満々的なスタンプ。
事務所は、午後3時から10分間の小休憩だった。
その時に送ったのかな?
私は、簡単に返信しておきました。
!!!
!!!
「すぐ返って来た! 定時過ぎてるもんな……」
これって、無限に終わらない?
終わるタイミングを考えてみました。
「……まぁ、いいか」
仕事に戻ると送って終わりました。
「さぁ、残りの数時……間頑張ろう!」
亜美さんの手料理を楽しみにして!
そして、今日は昨日の様なトラブルが無い事を祈っています!
……何を作ってくれるんだろう?
仕事中ですが時間がすごく気になります。
「お疲れさん! 交代するよ」
問題なく、今日の私の就業時間は終わりました。
さぁ!
帰りましょう!
やっぱり、LINEが来ていました。
でも、ついさっきです。
私は、亜美さんに直接電話しました。
「あっ! 今から帰ります」
「はい……。あの~、すぐ帰って来て下さい! あの……」
「何かあった? 待ってて! すぐ帰るから!」
何だか一刻を争う?
電話を切って、車を走らせました!
「何だろう……?」
何か壊した?
まさか、ゴキ……
Gが出たとか?
気持ちだけが先走ります。
アクセルを踏む足に自然と力が入ります!
「おぉぉぉ!! 赤になるぅぅぅ~!」
ギリギリ信号無視を回避!
……周囲に警察はいないようです。
いつもの帰り道が異様に長く感じます。
「落ち着け! 落ち着け……。 もう着くじゃないか」
何とか気持ちを落ち着かせます。
!!!
LINE?
メール?
なにか着信がありました!
「無理っ!」
私は、悪いけどそれを無視して運転を続けます!
数分後、自宅の駐車場に車を止めました。
亜美さんは、原付で来たみたいです。
玄関のドアが開いて、飛び出して来たのは亜美さんではありません!!
「奈緒!?」
元妻がなぜ?
「なっ!? 何で? どうした?」
後から、亜美さんが静かに出て来ました。
「ちょっと聞いてくれる! 絶対に……」
「あぁ~……。家の中に入ろう! 中で聞くから」
「……うん。分かった」
亜美さんが見ています……
「亜美さんも中に入ろう」
「はい……」
奈緒は、リビングのソファーに座っていました。
「どう言う事だ? 奈緒!?」
私は、少し強い口調で聞きました。
すると、ささいな事で旦那とケンカになったそうです。
引っ込みがつかなくなって、ここに来たそうです。
「にしたってママ友とかいるだろう? なぜここ?」
「だって、迷惑が掛かるでしょう~」
「ここに来るのは、迷惑とか思わなかったのか?」
全く……
どうすればいいのか?
この状況……
泊めるわけにもいかないしな~
困った。
「だって、バスに乗って何とな~く降りて歩いてたら……」
「歩いてたら? ここに来たって訳?」
「電気が点いていたし……。つい」
おいおい……
「って言うか、何時から居るんだ?」
「9時くらいですよ。典秀さん、そんなに奈緒さんを責めないで下さい」
「そんな事言ったって……。!?」
奈緒の携帯に着信です!
……切った?
「良いのか? そんな事して?」
「平気よ!」
「良くないです奈緒さん!」
再び着信です!
「もぅ~! ……はい」
奈緒は、少し見えない所で話しをしています。
と思ったら、そ~っと戻って来ました。
「うん。 分かった……。大丈夫」
なんだ?
「と言う訳で帰ります」
「何が、と言う訳だ? どうなったんだ?」
「解決! 解決! ゴメンね~。タクシーで帰るから平気!」
本当に、全くだよ……
「じゃあね」
奈緒は、タクシーを呼んで行ってしまいました。
「人騒がせな! 申し訳ないね亜美さん」
「いろいろあるんです。ご飯にしましょう」
「うん。……お腹空いてたの忘れてたよ。ははは」
夕方、仕事の途中軽く食べてはいるんですがやっぱりお腹は空きます。
なんかバタバタしたけど……
亜美さんの手料理が食べられる~!
「定番の料理なんですけど肉じゃがです」
「いやいや、定番が一番だよ! いただきます! 美味しい!! ……この味噌汁も」
「嬉しい! 作ったかいがあります」
一人になってからは、簡単なものなら作るけど肉じゃがはありませんね。
食べたくなったらスーパーで買えば良いし……
「ホント美味しいよ!」
「じゃあ、次は~……。あっ!! あ~~!!」
「何!? どうしたの?」
なんだ急に?
何かを思い出したかの様に。
「私っ! 帰ります! また来ます!」
「えっ……? え~~!?」
「急にインスピレーションが! すみません!」
亜美さんは、荷物をもって電光石火のごとく玄関へ!
「あっ! 亜美さん……」
私も、亜美さんの突然の行動に負けじと玄関に向かいました!
「亜美さっ……」
バタン!
まだ、追い付けるか?
玄関のドアを開けた瞬間!
「あ…………。行っちゃった」
外に出た時には、もう原付の赤いランプは遠くにありました。
「早過ぎだよ。亜美さ~ん!」
きっともの凄い何かが彼女に降りて来たのでしょう!
ここまでの行動を起こさせる何かが……
私は、数分間その場に立っていました。
ふと我に返った私は、無心にも近い状態で家に入りました。
家の中は、今まで2人の女性が居たとは思えないくらい静かでした。
椅子に座って、亜美さんが作ってくれた肉じゃがを食べました。
「……うまい」
何でしょうか……
色んなものが遠くの方で崩れた?
そんな感じです。
亜美さんからの着信は、日付がかわってもありませんでした。
!!!
!!!
「ん? ……」
私は、おもむろに時計を見ました。
時刻は、午前1時37分。
「亜美さん、意外にタフだな~」
LINEには、描いている絵のモヤモヤしていた所が解消できた。
しかし、内容には一部ともありました。
「一部って? 一体どんな絵を描いているんだ?」
私は、お疲れさまのスタンプと早く休んでと返信しました。
すぐに、おやすみなさいと返って来ました。
「この後は、返さなくても良いよな?」
良いんだよな?
良いんだよな……
そう思いながら寝る事にしました。
しかし、目はつぶったものの……
なかなか寝付けません。
「ん~……」
私は、電気を点けてキャンバスを眺めました。
まだ何も手の付けていない白いキャンバスを……
「インスピレーションか~」
亜美さんがうらやましい!
私には絵の神が降りて来ないのか?
悲しい事に何のイメージも浮かびません。
「どうしようか……」
悩んでもしょうがないか?
何とか描きたいが……
今は、無理っぽい。
「あっ!」
悟った様に!
「テーマが無いんだ! そうだよ!」
そうは言っても……
自然?
生き物?
建物?
機械的な物?
空想……
「あ~! 無限かい!?」
休みの日に出かけてみようかな?
「休みかぁ~」
勤務の都合上、土日の休みじゃないからなぁ~
最近、たまたまそうだっただけで……
これから休みが合わなくなるのが残念です。
亜美さんは、あんなに急いで帰ってしまうしなぁ~
実は、進んで無かったのかな?
安受けあいじゃなかったんだけどプレッシャーを感じます。
朝、行ってみようかな「絵ごころの家」に朝食がてら……
絵の方が、もうちょっと掛かってしまう。
その事を伝えに、それとお店の雰囲気も改めて味わいたい。
「おっ! 早く寝ないと、これじゃ仮眠になりそうだ」
私は、今度こそ眠りにつきました。
朝は、すぐにやって来ました。
「モーニングぎりぎりかな?」
私は、出かけました。
「いらっしゃいませ。あら、典さん」
「おはようございます」
「亜美なら、今出たところよ。セットで良い?」
私は、店内を眺めて見ました。
新しい絵も何点か増えているようです。
「はい、どうぞ~。今、夜勤?」
「いいえ。なかなか絵の方が進まなくて……。その事を伝えに」
「いいのよ~。典さんのペースで描けば」
なんとありがたいお言葉でしょう。
「昨日だってあの子、夜中までやってたのよ」
「あはは……。すごいな」
「急に、どこかから帰って来たと思ったら部屋にまっしぐら!」
本当にどんな絵を描いているんだろう?
実に興味深いです。
「絵増えていますね」
「そうなの。ほら、あれなんて初めてのお客さんが描いてくれたのよ」
「へぇ~。上手いですね。油絵ですね」
その絵には、くだものとカメラが描かれていました。
不思議な組み合わせ?
どこか見覚えのあるシチュエーション……
「そろそろ行きますね。絵の方は、待ってて下さい!」
「期待してるわね」
「それじゃあ。ごちそうさまでした」
私は、店を出ました。
家に戻って、モヤモヤする構想の中で決めました!
「海に行こう! …………江の島だ! そう江の島に行ってみよう!」
しかし、その時は平日になるので一人旅となる。
でも、何かつかめるはず!
きっと!
ゼッタイ!!
私の中で沸き立つ何かを感じました。
次話へつづく