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絵ごころ引力  作者: yomo
14/21

「イメージのカケラ!」

 亜美(彼女)から「LINEの招待」を受けた典秀。新しいコミュニケーションが始まる。そして、新しい展開? 亜美は、夕食を作る為に典秀の家へ。2人の楽しい夕食? そんな典秀の中には、喫茶店「絵ごころの家」に展示してもらう為の今だに描けない絵の事がプレッシャーになりつつある。何かつかめそうでつかめないもどかしさ! 休日に気分転換をかねて出かける事を考えている典秀。でも2人ではない……。

 亜美さんから、LINEの招待が来ました。


 LINEを始めるって……

 私が?


 実際のところ、普通のメールで用が足りてます。

 でも、亜美さんからのせっかくのご招待!


 だけど、始めるにあたって今更と言われないだろうか?

 今じゃ小学生だってやっているし……


 なぜ今?

 どうしたんだろう突然?


 現在の時刻は、もう午前1時を過ぎています。


「LINEか~。あっ!」


 私は、彼女の事が気になりメールを送りました。


「LINEの事は、出来るようにしておきます。

 もしかして? 今待機している?

 待っているなら休んで下さい」


 このメールを送った後、LINEをダウンロードしました。



「……初期設定は、これでよし」


 そして、亜美さんを友達に追加しました。


 !!!


 なんか軽くスタンプが送られて来ました。

 私は、すぐに返しました。


「亜美さん、まだ起きてたの!?」


 と、すると……


「当然です! でも、おやすみなさい。また明日」 


 私も最後に……


「おやすみ~」


 すると!?

 ……また彼女から!


「もう今日でしたね。おやすみなさい」


 そのあとに写真も送られて来ました。


 これは、良いショットです!

 カワイイじゃないですか~!


 自撮りってやつです。


「保存しておこう!」


 時刻は、午前2時15分になろうとしています。


「もうこんな時間!? ……寝よ!」


 私は、写真を保存して横になりました。



 !!!

 !!!


「何だ? LINE……? 亜美さん!」


 時刻は、6時42分……


 まぁ、8時出勤の彼女にとっては、起きてる妥当な時間ですね。

 あんまり寝ていないよな?


 しかし、今夜来るとは?

 どういう事だろう?


 私の仕事が終わる時間は、22時。

 来ても良いのだけれど……


 時間の事は、彼女も知っているはず。


 !!!

 !!!


「おっ! また来た。……カギを貸して下さい。 夕食を作ります」


 カギ!

 でも、どのタイミングで渡す?


 !!!

 !!!


「ん? 昼の休憩時間に来る。……大丈夫かな?」 



 大半の従業員は、昼休みの休憩時間です。

 工場内は人気が少ない時間帯です。


 私のラインも少人数で出来る物を流しています。


「本当に来るのかな?」


 少人数と言っても、いるのは木村さんだし危険過ぎます!


「典秀さん……。 典秀さん」


 今、かすかに後ろから……


「亜美さん! 本当に来たんだ」

「カギですけど。今、良いですか?」


「あぁ。はいカギ……」


 木村さんには、気付かれてはいない様です。

 私は、亜美さんにカギを渡す事が出来ました。


 でも、亜美さんが戻る時に言っていたあれは?


「既読スルーは良くないですよ」


 ……って何だ?


 私は、自分の休憩の時間にネットで調べてみました。


「読んだにも関わらず返信をしない……か」


 そう言う事か。

 内容を理解していれば、返さなくても良いと思っていました。


 今からじゃ遅いかな?

 そうだ!


 私は、「夕食が楽しみ!」と送りました。


 もうすぐ午後3時です。

 私の休憩時間が終わります。


「さ~て! 後半戦のスタートだ!」


 私は、作業に戻りました。



 作業の状況を見て、小休憩をとりました。


「LINEが来ている!」


 亜美さんからの返信です。


「任せて下さい!」


 と、自信満々的なスタンプ。


 事務所は、午後3時から10分間の小休憩だった。

 その時に送ったのかな?


 私は、簡単に返信しておきました。


 !!!

 !!!


「すぐ返って来た! 定時過ぎてるもんな……」


 これって、無限に終わらない?

 終わるタイミングを考えてみました。


「……まぁ、いいか」


 仕事に戻ると送って終わりました。


「さぁ、残りの数時……間頑張ろう!」


 亜美さんの手料理を楽しみにして!

 そして、今日は昨日の様なトラブルが無い事を祈っています!


 ……何を作ってくれるんだろう?

 仕事中ですが時間がすごく気になります。



「お疲れさん! 交代するよ」


 問題なく、今日の私の就業時間は終わりました。


 さぁ!

 帰りましょう!


 やっぱり、LINEが来ていました。

 でも、ついさっきです。


 私は、亜美さんに直接電話しました。


「あっ! 今から帰ります」

「はい……。あの~、すぐ帰って来て下さい! あの……」


「何かあった? 待ってて! すぐ帰るから!」


 何だか一刻を争う?

 電話を切って、車を走らせました!


「何だろう……?」


 何か壊した?

 まさか、ゴキ……

 Gが出たとか?


 気持ちだけが先走ります。

 アクセルを踏む足に自然と力が入ります!


「おぉぉぉ!! 赤になるぅぅぅ~!」


 ギリギリ信号無視を回避!

 ……周囲に警察はいないようです。


 いつもの帰り道が異様に長く感じます。


「落ち着け! 落ち着け……。 もう着くじゃないか」


 何とか気持ちを落ち着かせます。


 !!!


 LINE?

 メール?


 なにか着信がありました!


「無理っ!」


 私は、悪いけどそれを無視して運転を続けます!



 数分後、自宅の駐車場に車を止めました。

 亜美さんは、原付で来たみたいです。


 玄関のドアが開いて、飛び出して来たのは亜美さんではありません!!


「奈緒!?」


 元妻がなぜ?


「なっ!? 何で? どうした?」


 後から、亜美さんが静かに出て来ました。


「ちょっと聞いてくれる! 絶対に……」

「あぁ~……。家の中に入ろう! 中で聞くから」


「……うん。分かった」


 亜美さんが見ています……


「亜美さんも中に入ろう」

「はい……」



 奈緒は、リビングのソファーに座っていました。


「どう言う事だ? 奈緒!?」


 私は、少し強い口調で聞きました。

 すると、ささいな事で旦那とケンカになったそうです。

 引っ込みがつかなくなって、ここに来たそうです。


「にしたってママ友とかいるだろう? なぜここ?」

「だって、迷惑が掛かるでしょう~」


「ここに来るのは、迷惑とか思わなかったのか?」


 全く……


 どうすればいいのか?

 この状況……


 泊めるわけにもいかないしな~

 困った。


「だって、バスに乗って何とな~く降りて歩いてたら……」

「歩いてたら? ここに来たって訳?」


「電気が点いていたし……。つい」 


 おいおい……


「って言うか、何時いつから居るんだ?」

「9時くらいですよ。典秀さん、そんなに奈緒さんを責めないで下さい」


「そんな事言ったって……。!?」


 奈緒の携帯に着信です!


 ……切った?


「良いのか? そんな事して?」

「平気よ!」


「良くないです奈緒さん!」


 再び着信です!


「もぅ~! ……はい」


 奈緒は、少し見えない所で話しをしています。

 と思ったら、そ~っと戻って来ました。


「うん。 分かった……。大丈夫」


 なんだ?


「と言う訳で帰ります」

「何が、と言う訳だ? どうなったんだ?」


「解決! 解決! ゴメンね~。タクシーで帰るから平気!」


 本当に、全くだよ……



「じゃあね」


 奈緒は、タクシーを呼んで行ってしまいました。


「人騒がせな! 申し訳ないね亜美さん」

「いろいろあるんです。ご飯にしましょう」


「うん。……お腹空いてたの忘れてたよ。ははは」


 夕方、仕事の途中軽く食べてはいるんですがやっぱりお腹は空きます。


 なんかバタバタしたけど……

 亜美さんの手料理が食べられる~!


「定番の料理なんですけど肉じゃがです」

「いやいや、定番が一番だよ! いただきます! 美味しい!! ……この味噌汁も」


「嬉しい! 作ったかいがあります」


 一人になってからは、簡単なものなら作るけど肉じゃがはありませんね。

 食べたくなったらスーパーで買えば良いし……


「ホント美味しいよ!」

「じゃあ、次は~……。あっ!! あ~~!!」


「何!? どうしたの?」


 なんだ急に?

 何かを思い出したかの様に。


「私っ! 帰ります! また来ます!」

「えっ……? え~~!?」


「急にインスピレーションが! すみません!」


 亜美さんは、荷物をもって電光石火のごとく玄関へ!


「あっ! 亜美さん……」


 私も、亜美さんの突然の行動に負けじと玄関に向かいました!


「亜美さっ……」


 バタン!


 まだ、追い付けるか?

 玄関のドアを開けた瞬間!


「あ…………。行っちゃった」


 外に出た時には、もう原付の赤いランプは遠くにありました。


「早過ぎだよ。亜美さ~ん!」


 きっともの凄い何かが彼女に降りて来たのでしょう!

 ここまでの行動を起こさせる何かが……


 私は、数分間その場に立っていました。


 ふと我に返った私は、無心にも近い状態で家に入りました。

 家の中は、今まで2人の女性が居たとは思えないくらい静かでした。


 椅子に座って、亜美さんが作ってくれた肉じゃがを食べました。


「……うまい」


 何でしょうか……

 色んなものが遠くの方で崩れた?

 そんな感じです。


 亜美さんからの着信は、日付がかわってもありませんでした。



 !!!

 !!!


「ん? ……」


 私は、おもむろに時計を見ました。


 時刻は、午前1時37分。


「亜美さん、意外にタフだな~」


 LINEには、描いている絵のモヤモヤしていた所が解消できた。

 しかし、内容には一部ともありました。


「一部って? 一体どんな絵を描いているんだ?」


 私は、お疲れさまのスタンプと早く休んでと返信しました。

 すぐに、おやすみなさいと返って来ました。


「この後は、返さなくても良いよな?」


 良いんだよな?

 良いんだよな……


 そう思いながら寝る事にしました。

 しかし、目はつぶったものの……


 なかなか寝付けません。


「ん~……」


 私は、電気を点けてキャンバスを眺めました。

 まだ何も手の付けていない白いキャンバスを……


「インスピレーションか~」


 亜美さんがうらやましい!

 私には絵の神が降りて来ないのか?


 悲しい事に何のイメージも浮かびません。


「どうしようか……」


 悩んでもしょうがないか?


 何とか描きたいが……

 今は、無理っぽい。


「あっ!」


 悟った様に!


「テーマが無いんだ! そうだよ!」


 そうは言っても……


 自然?

 生き物?

 建物?

 機械的な物?

 空想……


「あ~! 無限かい!?」


 休みの日に出かけてみようかな?


「休みかぁ~」


 勤務の都合上、土日の休みじゃないからなぁ~

 最近、たまたまそうだっただけで……

 これから休みが合わなくなるのが残念です。


 亜美さんは、あんなに急いで帰ってしまうしなぁ~

 実は、進んで無かったのかな?


 安受けあいじゃなかったんだけどプレッシャーを感じます。


 朝、行ってみようかな「絵ごころの家」に朝食がてら……

 絵の方が、もうちょっと掛かってしまう。

 その事を伝えに、それとお店の雰囲気も改めて味わいたい。


「おっ! 早く寝ないと、これじゃ仮眠になりそうだ」


 私は、今度こそ眠りにつきました。



 朝は、すぐにやって来ました。


「モーニングぎりぎりかな?」


 私は、出かけました。


「いらっしゃいませ。あら、典さん」

「おはようございます」


「亜美なら、今出たところよ。セットで良い?」


 私は、店内を眺めて見ました。

 新しい絵も何点か増えているようです。


「はい、どうぞ~。今、夜勤?」

「いいえ。なかなか絵の方が進まなくて……。その事を伝えに」


「いいのよ~。典さんのペースで描けば」


 なんとありがたいお言葉でしょう。


「昨日だってあの子、夜中までやってたのよ」

「あはは……。すごいな」


「急に、どこかから帰って来たと思ったら部屋にまっしぐら!」


 本当にどんな絵を描いているんだろう?

 実に興味深いです。


「絵増えていますね」

「そうなの。ほら、あれなんて初めてのお客さんが描いてくれたのよ」


「へぇ~。上手いですね。油絵ですね」


 その絵には、くだものとカメラがえがかれていました。

 不思議な組み合わせ?


 どこか見覚えのあるシチュエーション……


「そろそろ行きますね。絵の方は、待ってて下さい!」

「期待してるわね」


「それじゃあ。ごちそうさまでした」


 私は、店を出ました。



 家に戻って、モヤモヤする構想の中で決めました!


「海に行こう! …………江の島だ! そう江の島に行ってみよう!」


 しかし、その時は平日になるので一人旅となる。

 でも、何かつかめるはず!


 きっと!

 ゼッタイ!!


 私の中で沸き立つ何かを感じました。



次話へつづく

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