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絵ごころ引力  作者: yomo
12/21

「ショッピングモール!」

 ボウリングの帰り道……。彼女の事を思う。自宅に帰ってからも物思いにふける典秀。しかし、彼女とのやり取りでショッピングモールに出かける事になる。楽しいお出かけです!

 私の中の誰かがささきます!


 彼女の所に戻っても良いんじゃないのか?

 寂しいんだよ!

 きっと……


 何分走ったでしょう……

 私は、ブレーキを踏んで車を止めました。


 チッカ!

 チッカ!

 チッカ…………


 車の中にハザードランプの音が妙に響きます。


 メールの着信音!?

 亜美さんからのメールです。


「今日は、楽しかったです。

 また行きましょう!


 今、運転中ですよね。

 私も乗って行けば良かったかな?


 なんてね……。


 では、お休みなさい」


 …………戻るか?

 彼女の元へ


「……」


 お休みなさいと言っているんだ……

 今戻ってもな~


 私は、車を発進させました。


 家に着いて、なんとなくボウリングのスコアを眺めていました。

 また行きたい!


 しかし……

 もう少し上手くならないと格好がつかない。


 でも、今日はこれで良しとしよう!

 無理やり納得させました。



 私は、ふとプレゼントの事を思い出しました。

 空港で購入した彼女へのプレゼントの事です。

 それを渡すタイミング……


 平常勤務の早番なら良いんだけど……

 何度も思いました。


 なんかモヤモヤして落ち着かない。


 ちょっとおそいけど電話をしてみるか?

 それともメール?


 メールだったら……


「何て送ろうか?」


 文章に戸惑っている私がいます。

 言葉って難しい。


「よし!」


 いろいろ考えたあげく、何とか文章が出来ました。

 出来たのは良いがなかなか送れない……

 何をためらっている?


 何だか、ちっぽけな自分が居ます。


 あぁ……

 無情な時間の流れを感じます。


 私は、未送信のまま携帯を置きました。


 どのくらい時間が経っただろう?

 ふと時計を見ました。


「え!? ……」


 まだ、30分くらいしか経っていませんでした。

 自分では、2時間、3時間は経った感覚でした。


「よし! 送ろう!」


 大げさな気もするのですが決めました。


「送った!」


 彼女からのメールの返事は……

 意外に早く戻って来ました。


「待っています。必ず来て下さいね」


 自分が思っていたよりもあっさりしていました。

 メールには、こうもありました。


 来月、市の企画でスケッチのイベントが開催されると。


「スケッチか~」


 2日間の日程で行われるようです。

 来月のカレンダーを確認して見ました。


 1日は大丈夫……

 もう1日は、どうしても無理だな。


 1日だけでも良いのかな?

 私は、彼女にすぐ日程の事をメールしました。


 彼女から電話です!


「さっきのスケッチの件は、聞いてみますよ」

「あ、ありがとう。誕生日の日だけど必ず行くから」


「はい! 楽しみにしてます」


 なんだ?

 直接話したら意外に言えました。


「ははは……。期待していてね」

「分かりました。明日も出勤ですよね。ゆっくり休んで下さい」


「うん。お休み」


 モヤモヤしていた気持ちがスッキリしました。

 そして、込み上げてきた抑えきれない感情!


「よし! よし!! よしっ~!!!」


 思わず夜中にガッツポーズ!

 本当に短い会話でしたが充実しました。


「あ~!! 寝るか~!」


 私の勤務は、特殊なシフト……


 次の日の仕事は、問題なく進んで行きました。


「お疲れさん! 休みだね。どっか行くの?」

「いや~。どこにも行きませんよ!」


「そうなんだ……。 まっ良いんだけどね」


 何だろう?

 意味深な言い方……


「まさか!?」」

「どうした? 大きな声出して?」


「いや何でも……」


 あぶないあぶない……

 自分から墓穴を掘るところだった。


 着替えて車に乗り込みました。


「ふぅ~」


 携帯を見るとメールが来ていました。

 スケッチの件でした。


 1日だけでも良いと言う内容でした。

 それと、明日少し遠くのモールの画材店に行きたいともありました。

 なんでも、最近リニューアルしたみたいです。


 私は、すぐに返事をしました。

 もちろんOKと!


「さぁ! 帰ろう!」


 ちょっと浮かれた感じで家に戻りました。


「明日、デートか~」


 デートで良いんだよな? 

 結構大きなショッピングモールだしな!


 何着て行こう?


「まぁ、気取らないで普通で良いか……」


 お店に飾ってもらう絵のヒントになるかもしれない。

 画材も……


 水彩?

 油絵?

 パステル?


飾ってあった絵は、皆さん上手い人達ばかりだしな……


「やっぱりキャンバスに描いた方がいいかな?」


 自分だってそこそこ描ける方だと思う。

 自画自賛……


 明日が楽しみです。



 次の日、私は自宅を9時15分に出ました。

 モールは、10時から開店します。


 彼女の所に寄ってからでも、10時30分くらいまでには到着するでしょう。

 渋滞が無ければ……


「おはよう」

「おはようございます。典秀さん」


「さぁ、行こう! 乗って乗って」


 彼女を車に乗せ出発しました。

 到着するまでのあいだ、お店に絵が増えて来ている事を知りました。


「亜美さんも、描いてるの?」

「もう少しで出来上がりますよ」


「えっ!? こっちは、まだ進んでいないよ」


 やばい……

 なんとかしないと……

 でも、浮かばないんだよな。


「描いてと言われて、すぐ描ける物でもないと思いますよ」

「あ、ありがとう」


「画材だけでも準備しておいたらどうですか?」


 そうだよな。

 準備さえしておけば……


 モールに到着しました。

 時刻は、10時27分と予定通りです。


 まだ、駐車場はそんなに混雑していませんでした。


「さぁ、行きましょう!」

「ここ久しぶりだな」


「そうなんですか? 今日は楽しみましょう!」


 彼女が、ギュッと腕に抱き付いて来ました!


「早く行きましょう!」

「あぁ……」


「何か楽しい!」


 私もです。

 楽しい1日になりそうです。


画材店ここってこんなに大きかったっけ?」

「だから、リニューアルしたんですよ!」


「前より良いね~」


 以前来た時よりも、店のスペースがかなり広くなっています。

 彼女の目が輝いてます!


「おっ!? これボールペン? こんなにも種類あるの?」

「すごいですよね」


「あっ! 何か必要な物があるんだよね?」


 ボールペンに見惚れている場合じゃない。


「じゃあ、ちょっと別行動する?」

「えっ? そうです……ね」


「お互いの探し物が見つかるといいね」


 ……これで良かったのか?

 気持ち的に何かが残った。


 そして、私達はそれぞれの目的の物を探す事にしました。


 私は……


「にしても広いな……」


 キャンバスの所はどこだ?


「……あっ! あそこだ!」


 問題は、大きさだよな。

 大きいサイズは、ちょっと無理かもしれない。


「6号か8号かな?」


 6号サイズだと、410×318なのか。

 8号だと、それよりひと回り大きい……


 新参者だから、6号くらいでいいか?


「よし! 6号にしよう!」


 今、これを持って歩き回るのは面倒だな。

 じゃあ、キープと言う事にしておこう。


 筆は、2本くらい買っておくかな?


「なにで描くかだな……。ん~~」


 水彩色鉛筆?

 私は、説明書きを読みました。


「へぇ~、こんなのもあるんだ」


 あっ!!

 亜美さんだ!


「なにそれ? でかっ!? 絵具?」

「あらっ!? 良いの見つかりました?」


「なにで描こうかってね。それは?」


 彼女は、歯磨きのチューブの様なのを持っていました。


「アクリル絵具です。まだ使う感じなので多いのを選びました」

「へぇ~。アクリル……」


「私は、ずっとこれを使っていますよ」


 確か……

 乾くと耐水性になると思いました。


 良いかも知れない。

 私も使ってみようかな?


 ……でも、値段が意外とするんだな。


「どうしました?」

「何か迷っちゃうよね。こんなにあると」


「そうですね。この辺じゃ最大級の品揃えですね。きっと」


 納得です。


 何だか買う物が結構ありそうです。

 絵具だったら、パレットも必要です。


 結局、全て買わなくてはいけないようです。

 まぁ、購入する物の目星は付けたから、あとは集結です!


「典秀さん? まだ何も持っていないみたいですけど」

「もう買ったの? それスケッチブック?」


「はい。ケント紙のです。なかなか良いんですよ」


 集結したのは良いのだけれど……


「買ったら、ひとまず車に置きに行こう」

「ふふふ。そしましょう」


「はははっ! じゃあ、買って来る」


 私達は、車に戻って買った物を置きました。

 そして、再びモールへ……


 広いフロアに沢山の人が集まっています。


「なんだろうね?」

「アイドルですよっ!! 典秀さん」


「亜美さんどうしたの? 何!?」


 フロアのステージには、女の子のグループの姿がありました。

 私は、全く知りません。


 亜美さんは、知ってるんだ。


 て言うか、前に居るファンの人の声援がすごいです。

 パワーに圧倒されます。


 私は、近くに貼ってあるポスターを見ました。


「新曲発売のキャンペーンね」


 亜美さんも好きなのでしょうか?

 それとも、ただ知っているだけなのでしょうか?


 見ると、いい感じに体を動かしています。


 20~30分くらいでしょうか、ミニライブを観賞していました。


「ちょっと行って来ます!」

「えっ!? 亜美さん……」


「ここで待っていて下さい。」


 そう言いながら、彼女は列に並びました。


 結構かかりそうです。

 私は、近くの柱に寄りかかりました。



「はぁ、はぁ……。お待たせしました~」

「CD買ったんだ。ん~」


「意外に女性にも人気あるんですよ。ほら!」


 まだ列は続いているけど……

 よく見ると、女性の人も並んでいるのが見えました。


 サインももらったんだ。


「よかったね」

「はいっ! さぁ行きましょう!」


「お腹空かない? まだ、少し昼には早いけど……」


 時刻は、11時40分です。


 私は、何だかすごくお腹が空いています。


「じゃあ、2階のフードコートに行きましょう」

「行こう! 何を食べようかな~?」


「もう、典秀さんたら……」


 2階のフードコートは、徐々に混んで来ている様子です。

 私達は、席を一応確保しました。


「典秀さん、先に食べるもの決めてきて下さい」

「いいの? じゃあ、ちょっと行ってくる」


「いってらっしゃい」


 何にしようかな?

 ご飯ものがいいな。


「ん~……」


 彼女をあんまり待たせても悪いしな。

 早めに決めて席に戻ろう。


 しかし、彼女の前には……

  呼び出しベルが置かれていました。


「あれ? もう注文したの!?」

「……えぇ、ちょうど人が少ながったので頼んじゃいました」


「良いんじゃない? ……ずいぶん混んできたね」


 私の選ぶ時間が意外と掛かってしまったのかも知れません。

 本当に混んできました。 


「こんなに混むんだね」

「そうですね~。もう座るところ無い感じですね」


「あっ! キタッ!」


 ブザーが鳴りました。


「持って来るのがやっとだよ。おっ!? もうある!」

「鳴っちゃって……。でも、まだ食べてませんよ」


「じゃあ、食べよう! 食べよう!!」


 食事をしている時も席が空くのを探している人達……

 なんかピリピリしています。


 食事を食べ終えた私達。


「さぁ、行こうか!」

「あの……。ここ良いですか?」


「あぁ。どうぞ」


 立ち上がった瞬間、すかさず声を掛けられました。

 私達は、フードコートを離れて専門店街へ向かいました。


「どうしようか? 洋服とか見る?」

「どちらかと言うと、雑貨のお店の方がいいですね」


「天然石とかの店はどう?」


 私は、結構好きなんです。

 天然石とか鉱石が……


「アクセサリーもあって好きですよ」

「本当!? 確かここのモールにもあったと思うけど」


「あぁ~、3階にありますね」


 いつの間にフロアガイドを?

 気付かなかった。


「あそこですね!」

「なんかいい物あるかな?」


「あると良いですね」


 店に入りました。


「たま~に、ショーケースの中も穴場なんだよね」

「そうなんですか?」


「……今日は、目を引くのがないかな?」


 亜美さんが、ピアスを見ています。


「似合うんじゃない! プレゼントするよ」

「えっ!? そんな~」


「良いから良いから……」


 私は、レジへ向かいました。


「はい、どうぞ!」

「ありがとうございます」


「あっ! 隣り見てみない?」


 私達は隣のアジアン雑貨の店に入りました。

 その後も色々と回り、またフードコートに戻って来ました。


「なんか疲れたね」

「そうですか~?」


「なんか飲もう!」


 彼女は、元気です!


「タピオカありましたよね?」

「あぁ~。あの黒い粒の?」


「それにしましょう!」


 初めての飲み物です。


「おっ!! 連続で来るとすごいね」

「ふふっ! そうですね」


「結構入ってるね。これ!」


 下から見ると、たくさん入っているのが分かります。


「あ~、亜美さんはどんな絵を描いてるの?」

「えぇ~。秘密ですよ~まだ」


「だよね~。どんなのにしよう?」

「お母さんも期待していますよ! 典秀さんの作品を」


「そうなの? じゃあ、気合を入れて描かなくちゃね」


 いつの間にか、時間は過ぎて私達は帰る事にしました。


「今日は、ありがとうございました」

「こっちこそ! お互い、いいのが描けると良いね」


「はい! 頑張りましょう!」


 彼女を家で降ろし、自宅に向かいます。


 車には、たくさんの画材道具が乗っています。

 結局、道具を買っただけで何を描くかはこれからです。


 さぁ……

 何を描こう!?


 バラの花でも描こうか?

 それとも、彼女……



次話へつづく

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