表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絵ごころ引力  作者: yomo
11/21

「不覚?」

 いとこのよっちゃん! なぜ貴方が私の隣に? と何度も思った典秀でしたが仕方がない。自ら招いた事、割り切る事にしました。日食の当日の天気は? そして、うかつにも典秀は……。会社から帰宅した典秀の携帯にメールと着信!? 出かける事になる。

 亜美さんの家を離れスーパーに向かいます。


 車の中は少々重たい空気?

 二人の男が何も話すこと無く乗ってます。


 何か無いか……

 私は、口を開きました。

 何でも良いからと思いました。


「よっちゃんて呼ばれているけど?」

佐久間洋平さくま ようへいといいます。だから……よっちゃんです」 


「なるほどね。取りあえず洋平君でいいかな」


 私は、人を呼び捨てとか出来ない性格なので……


「じゃあ、僕は牧さんで良いですか?」

「あぁ、いいよ」


「亜美ちゃん、今日機嫌悪かったですね」


 君のせいだよ!

 君の!


「いや! 彼女の家に行ってからだよ」

「え~。そうなんですか? なんでだろう?」


「えっ!? そういう感覚?」


 これは、亜美さんも大変だ……

 って、この状況は自分が大変な前触れ?


 スーパーに着きました。

 昨日も来たよな。


「結構、飲む方なの?」

「あぁ……。そんなには飲めないですね」


「そうなんだ」


 一応、買う物は買って、自宅に戻って来ました。


「さぁ、何があったんだい? 聞くだけは聞くよ」

「実は……。あっ! 飲んで良いですか?」


「あぁ、どうぞ」


 飲まないと言えないって事もあるか……


「ふ~……! 実はですね……。じつは…………」

「おいっ!? お~~い? 全然、酒弱いじゃないか! この男もか……」


「みきちゃ~ん……。あぁ……」


 彼女の名前って、みきって言うんだな。

 どうせ、しょうが無い事でケンカしたんだろう。

 犬も食わないか?


「どうするか? このままソファで寝てもらうか」


 明日も少し早起きしないといけないな?

 全く今週は慌ただしい……


 寝よ!



 いよいよ今日は、皆既日食の日です。

 天気予報では、一部の地域では朝方小雨がパラつくとか……

 昼頃には、全国的に晴れるそうです。


「あれ?」

「おはようございます! キッチン借りてます! 昨日は……どうも」


「これ作ったの? 昨日っていっても特に何も聞いてないよ」 


 彼女の名前くらいかな……

 本題的な物は、一切分からない。


「食べましょう! 食べた後、その……。送ってもらいたいんですけど」

「それは、構わないけど。結局? 何があったの?」


「そうです! 聞いて下さい! みきちゃんが悪いんだ……」


 唐突だな~

 まるで、自分に全く非がない様な言い方。

 まぁ、聞いてみますか……


「で? 何が悪いんだい? 彼女の……」

「それがですね~……。僕の原チャリのヘルメットにハートのステッカーを貼って」


「原チャリ? ハートのステッカー?」


 本当にしょうが無い事なのか?

 この人は、原チャリで通勤してるんだ。

 ハートか~。


「……そのステッカーが、どうしても恥ずかしくて取っちゃたです。……これ」

「これ? この小さなステッカーがダメなの?」


「それだけじゃないんですよ! この間だって……」


 これは、本当に犬も食わないよ……

 どうするかな~。


「あ~。でも、よく考えてみたら? 彼女は誰の事を思ってやったのか?」

「でも……。ハートですよ! ハート」


「甘い! 甘いな! ケンカしてもいいじゃん! それとも別れるかい!?」


 つい熱が入ってしまいました。

 洋平君は、すこしシュンとしています。

 言い過ぎた?

 いや、そんなはずは無い!


「まぁ、もう一度彼女と話し合ってみたら? ……!」

「あぁ~、みきちゃん……? うん! うん!」


「もう話し合ってるし……」


 支度でもしようかな?

 まだ話しているし。


「あの~……典さん」

「今、すぐ出れる様に支度してるから、ちょっと待って」


「分かりました。ありがとうございます」


 洋平君を車に乗せて家を出ました。

 彼の話しによると、家の近くのコンビニまででいいとか……

 私は、てっき亜美さんの所にバイクで来たのかと思っていました。

 しかし、歩いて来たようです。


「今日って、日食あるんだよね。知ってた?」

「そうなんですか? 何時頃ですか?」


「ちょうど、お昼頃だよ。…………あのコンビニだよね」


 駐車場に車を止めて、洋平君と別れました。


 携帯を見ると、亜美さんからメールが来ていました。

 申し訳ないという意味合いのメールでした。


 今、洋平君と別れたと返しました。

 こんな朝に見てくれるとは思わないけど……


 しかし、甘やかしてはいけないというメールがすぐ戻って来ました。

 そのあと、起きている事を知ったので直接会話をしました。


 私は、コーヒーを買って会社に向かいました。



 雲の無い空!

 皆既日食を見る為のコンディションは最高です。

 雲が少しあった方が良いのかもしれないけど……


 これを見に行った人達も喜んでいる事でしょう!

 知っているだけでも4人いますね。


 昼食を食べ終えた頃、周りがざわつき始めました。


「始まったよ~!」


 私は、太陽の見れる下敷きという物を数枚持参していました。

 もちろん1枚は、亜美さんに……


 近くに亜美さんがいます!


「宮元さん! これで見てみなよ!」

「ありがとうございます」


「あと、2枚あるけど……」


 私は、そばに居た事務所の女性従業員に貸しました。


「すごいね……」


 次第に、辺りが暗くなって来ました。

 というより、暗くなってしまいました。


 周りからは……


「おぉ~!」

「すげぇ~!?」


 そんな歓声が聞こえます。


 そろそろです!!


 更に!


「おぉぉ~!」

「これが~!」


 そうです。

 ダイヤモンドリングです!


「すごいね。亜美さん……!」

「そうですね。神秘的ですね」


「そう、神秘的だね宮元さん……」


 私は、さりげなく言い直した。


 気付いてないかな?

 今、さりげなく亜美さんって言ってしまいました。


 さっき下敷きを貸した2人が近寄って来ました。


「はい。麻牧さんありがとうございます」

「いいもの見れました。 さっき……。亜美さんって言ってました?」


「あぁ……あ~。そういう時もあるんじゃない? ははは……」


 聞こえていたんだ。

 鋭い質問だまったく……


「さぁ! 午後の作業開始だ! はは」

「どうしたんですか? 麻牧さん急に?」


「お二人さん? 前からこんなに仲良かった?」


 うぉぉぉぉぉ~!


 またもや鋭い質問です!!

 どうしょう……


「はい! 良いですよ! 知りませんでした?」

「あっ、そうなの?」


「亜美ちゃん達、実は付き合ってたりして?」


 この女性従業員の二人は、亜美さんの2年先輩です。

 こう言う話題が好きそうです。


「じゃあ、これからですね! もうチャイムが鳴ります。戻りましょう」

「そうね。3時からの会議の資料くばらないといけないしね」


「麻牧さん、ありがとうございました」


 …………。


 こんなに穏やかな日なのに、私の前を風が吹き抜けて行きました。

 ポツンと取り残された感じです。


 あぁ……

 女性は分かりません。

 亜美さんが、臨機応変に対応しただけなのか?


 午後の作業は、何だか落ち着かない感じでした。

 一大イベントも終わって……?


 いや!

 私には、まだ来週に控えている更なる一大イベントが!?


 そうです。

 彼女の誕生日です。


 でも、来週は遅番になるから……

 帰宅時間が遅くなる。


 22時過ぎになるから食事はどうかな?

 あと、自宅でさっと空港で買ったプレゼントを渡すか?

 最悪これか……?


 私は、帰宅する車の中であれこれ考えていました。


 帰宅し、携帯にメール?

 見てみると、母さんからでした。

 今日の日食の時のうす暗くなった写真と……


 それと、仲の良さそうな4人の写真!?

 亜美さんのお母さんと雪村画伯の姿が一緒に写っていました。


 どうして?


 同じ所に行ったんだね。

 うらやましい!!


 メールの最後に、空港への迎えは要らないとの文字がありました。


 ある意味……

 ラッキーと思いました。

 普段走らない空港までの道のりが緊張して、緊張して……

 どう帰って来るかは知らないけど不安が一つ消えました。


「あっ!!」


 雪村画伯たちと一緒って事は、もしかして帰りは……

 おそらく一緒?

 そうなのでしょう。


「間違いないな……」


 メールを閉じた瞬間!?


 亜美さんからの着信です!


「今、お母さんからメールが来て、典秀さんのご両親と一緒の写真が添付されてたんです」

「偶然! 偶然! 今、こっちも見てたよ!」

 

「楽しそうですよね……」


 どうしたんだろう?

 一人で寂しいのかな?


かぁ~!!


 ……うぬぼれか?

 自分がこんなキャラ?

 なんて考えた事もありませんでした。


「あれ? お父さんたちをまた迎えに行くんですよね?」

「あぁ、それが何だか自分等で帰って来るみたいなんだ」


「そ、そうなんですか……」


 会話が……

 何か変に続かない。


「ボウリングにでも行かない?」

「えっ? 今からですか?」


「はは……。突然だったね」


 私は、何を言っているんだろう。

 何か言わなきゃと思って出た言葉が、ボウリングとは自分でも驚いています。

 ダメかな~?


「良いですけど……」

「ホント!? よしっ! すぐ行くから」


「分かりました。待ってます」


 これは、ラッキーな事です。

 ボウリングをするのは、何年ぶりだろう?

 行くって言っちゃったからな~。


 私は、支度をして亜美さんの家に向かいました。

 亜美さんは、すぐに出て来てくれました。


「典秀さんって、得意なんですか? ボウリング」

「いや~。全然だよ。ひさびさってところかな」


「そうなんですか? なんかワクワクしますね」


 誘って正解だったかな?


「結構いますね人!」

「そうだね。混んでるね。じゃあ、早く受付済まそう」


「そうですね」


 ゲームを始めるまでには、そんなに時間は掛かりませんでした。


「あ~。本当に久しぶりだな~」

「頑張って下さい!」


「よ~し!」


 良い所を見せないとな!

 少し緊張します。

 亜美さんが見ているせいもあるからでしょうか?


 私は、ボールを持ち……

 構え……

 小さな深呼吸をしました。


 よしっ!!


 ダッと転がって行くボール!

 これは……!


「う~……! 9本か~」

「惜しかったですね。スペアを取りましょう!」


「よし!」


 …………コン!


「よ~し! スペア!」

「今度は、私の番ですね」


「がんばって」


 …………あっ!


「やりました~!」

「実は、上手いんじゃない?」


「たまにお母さん達と来てるんで……」


 しまった~!

 そうなのか。


 これは、まずいぞ!

 ブランクのある私に勝ち目はない……


 楽しくやるしかないか~。


 ……次は、7本

 スペア取れず。


「あれ? 亜美ちゃん。今日はお母さん達とじゃないんだね。デートかい?」

「あ~、こんばんわ~」


「ワシは、もう帰るんだけどね。じゃあね」


 何だ何だ!?

 この雰囲気は?

 たまにじゃ無く……

 常連さんという感じです。


 私達は、2ゲームという長き戦いを終えました。

 結果はと言うと……


 私は、惨敗でした。

 1ゲーム目は、126……

 2ゲーム目は、124…………。


 彼女は……

 1ゲーム目は、168

 2ゲーム目は、187


 でも、まえやった時は100ちょい超えるくらいだった。

 だから、良い方だと自分に言い聞かせ納得させました。


 それにしても亜美さんなかなか上手いな。

 私も負けない様に密かに来ようかな?

 他のボウリング場の方がいいかな……



 帰りの車の中……


「誘っておいてこれじゃあ情けないな~。はは……」

「じゃあ、また来ましょう! みんなで一緒に!」


「みんな!?」


 このみんなとは……

 みんな上手いんじゃないのか?


「ははは……。そうだね」

「楽しみです!」


「じゃあ、日をあらためてと言うことで」


 やっぱり、秘密特訓しないといけないようです。

 でも、時間が……


「約束ですよ! 本当に楽しみです!」


 亜美さんは、案外スコアの事は気にしていない様子です。

 そんな感じがしました。


「じゃあまた」

「楽しかったです」


「……あっ! いや、おやすみ」


 車を発進させ、彼女が家に入るのをバックミラーで確認しました。



 あぁ……。

 これでいいのか!?


 と、私の中の誰かがつぶやきました。



次話へつづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ