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絵ごころ引力  作者: yomo
10/21

「いとこ」

 宮元さんさんのお母さんの携帯電話に突然の着信! それは、雪村画伯からの電話でした。お出かけの誘い。健康診断を無事に切り抜ける? 宮元さんの突然の訪問! ある意味周りには邪魔者はいない? ……が!

 少し多めの朝食を食べ終えてのひと時……

 お母さんの携帯電話の着信音が鳴りました。


 どうも、電話の相手は例の結婚相手の雪村ゆきむら玄一信げんいちしん

 すごい!

 電話掛かってくるんだ?


 あたり前か……

 結婚相手だもんな!

 にしても、どうしたんだろう?


「はい。あぁ~そうなの? じゃあすぐに戻るわね! じゃあね~」

「何かあったんですか? ……楽しそうですけど?」


「今、うちに来てるんだって!」


 えぇぇぇぇぇ~!!!

 マジか~!?

 なんか言葉が出ない……


「だから、すぐ戻らなきゃ! 典さんお願いね!」

「分かりました~っ!!!」


「亜美も支度してね」


 出勤にはまだ余裕があるので、お会い出来るのは嬉しい事です。

 何だか、テンションが上がります!


 いつから待っているんだろう?

 私は、そのまま出勤出来る様に支度をしました。


「良いですか? じゃあ出発しますよ~!」

「どうしたんですか典秀さん? 楽しそう」


「当たり前じゃないですか! Mr.雪村にまた会えるんですよ! 当然です!」


 あぁ……

 こんな平日じゃ無かったら良かったのに……

 まだ交通量の少ない朝の道を気持ち急いでいます!

 気持ち……


 こんな所で警察なんかにストップかけられたら、たまったもんじゃないけれど……

 亜美さんの家の前には、黒い車が停車していました。


「な~に? 玄一さん!? びっくりするじゃない!」

「あ~いやね。これから出かけ様と思いましてね」


「どこにです? ここじゃなんだから中に入りましょう!」


 本物だ!

 この間、感動の再開をしたばかりなのに!


 すごい!

 すごすぎますよ!

 私は、時計を見ました……


 ギリギリかな……

 私には、中には入っている時間は残念ながら無い。


「あの~……。雪村さん! 握手してください!」

「お~!? 君は、この間の? 愛さんの知り合いでしたか」


「ありがとうございます! 会社の時間があるので行かなければなりません! 残念です!」


 本当に残念です!

 私は、3人に見送られながら車を発進させました。


 今日は、何か良い事があるかも?

 そう思いながら会社に向かいました。


 車中……

 思えば、宮元さんじゃなく自然と亜美さんと言葉に出て来ます。

 会社では……


 まだ、宮元さんでもいいかな?

 私が照れちゃいます。

 絶対に多分?


 彼女の方はどうか分かりませんけど……


 会社の駐車場に着き、亜美さんに電話をかけました。

 まだ会社では名字で呼ぶ事を告げました。


 こんな事は、言わなくてもいいのにと思いましたが……


「そうですか……。別にいいんですよ名前でも」

「何だか、私の心の整理がちょっと……」


「じゃあ、私も今まで通り呼びますね。会社では」


 一応、亜美さんは理解してくれたみたいです。


「あぁ……。雪村さんは?」

「あの2人は、これから九州に行くんですって! 日食を見にですって」


「へぇ~。すごいね! 木曜だよね日食は……」


 そう言えばウチの親は、どうしているかな?

 楽しんでいるんだろうな~

 うらやましいよ!


「それじゃあ、会社に入るから切るね」

「では会社で会いましょう!」


「うん! それじゃあ」


 私は電話を切って、工場の中へ入りました。


「おはようございます!!」

「典さん! なんかあった? テンションが高くないか?」


「あぁ~。超有名人と会ったからかもしれない」


 いや~!

 つい口から出てしまいました!


「超有名人!? 世間をにぎわすアイドルか?」

「いや……。超有名でも画家の方なんだけどね。路線が違うけどね」


「画家の有名人って言ったら、雪村画伯!?」


 おぉ!

 知ってるのは、アイドルだけじゃなかったんだ!


「そうそう! 画家の雪村 玄一信さん!」

「すごいな~! どこで? 好きなんだよな、あの人の描く絵」


「へぇ~。秘密秘密……。じゃあお疲れ様でした~!」


 私は、これ以上聞かれるのを警戒しながら仕事を引き継ぎました。


 意外ですね。

 人は見かけでは分からないものです。



 本日も特に何のトラブルも無く仕事を終えました。

 亜美さんとも会話的なものはありませんでしたが……


 視線が合った時は、言葉は特に要らないって感じでした。

 私は、彼女にメールを送りました。


 食事でもという内容で……

 しかし、今日は何だか都合が悪いようでした。


 ……残念です。


 私は、明日の健康診断に向けて、取りあえず間食的な物は控える事にしました。


 亜美さんも、明日に備えて何かしているのでしょうか?

 もしかして体重的な?


 なんともくだらない疑問が浮かんでしまいました。

 ホントくだらない……



 健康診断当日……


 私は、万全な体制で挑みました。

 ちょっと大げさ?

 いや、健康診断を甘く見てはいけない!

 去年は……


 順番に交代で受診を受けるいつものパターン。


 まずは、検尿、体重、身長……

 視力のほうは、かろうじて?

 裸眼で両目とも1.0でした。


 聴力、心電図ともに問題なさそう。

 続いては、問題の血圧です。

 ここをクリアすれば、おそらくすべてOK!


 去年は、この血圧のみ結果がB……

 少し高めという診断を受けたのです。


 いざ勝負!


 くぅ~!

 締め付けられる~!

 どうだ!?


「はい。いいですね」

「よっし~! はっ……」


 つい声を出してしまいました。

 恥ずかしい……


 いや私にとっては、オールAが目標!


 !!!

 亜美さんの姿を発見しました。

 おそらく問題ないんだろうな~


 私は、続いて採血です。

 ちょっと苦手ですね。

 終わりました……


 次は、問診です。


「次の方、中に入って下さい」


 白髪の先生が待っていました。


「ん~。問題ないね。よし! いいよ」


 いよいよ最後は、レントゲンだ!


「はい、息を吸ってください」


 終わった~……

 多分、今年は問題ないでしょう!

 亜美さんは、どうかな?



 帰宅……


「羊羹……。食べれるかな~?」


 大丈夫だな……

 多分……


「もう食べてしまった……。あっけない」


 メール?


「今から行きます~!? ってウチに!?」


 ピンポ~ン!!


「えっ!? もう来たの? …………はい」

「もしかして、今帰って来たばかりですか?」 


「うん。あ~、着替えてなかったね」


 そうだった、羊羹なんか食べている場合じゃなかったんだ。


「いっ、いま着替えるよ! 中に入って」

「おじゃまします」


「びっくりしたよ。……もしかして寂しかったとか? はははは……冗談だけど」


 私は、何を言っているんだ?

 奥の部屋で着替えをして、亜美さんの居るリビングに戻りました。


「あっ……。あのどうでした今日の健康診断は? あの……」

「どうしたの? 何かあったの?」


「じゃ~ん! これです!」


 これは……

 手作りクッキー。


 それと?

 マカロンっていう物……


「あっ! ご飯まだでした?」

「うん。まぁ……。でも羊羹ようかん食べたけどね。頂くよ」 


「どうですか?」


 こういうのも作ったり出来るんだ~

 マカロンってこういう物なんだ!


「おいしいよ! マカロンは、初めて食べたけど何か不思議な食べものだね」

「不思議? 美味しくないですか……?」


「いや、変な意味じゃなくて……、食べた事なかったから。おいしいよ!」


 変な勘違いをされる所でした。

 難は回避したみたいです。

 おそらく……


「マカロンは、何回も失敗したんですよ! 割れたりシートから剥がれなかったり……」

「でも、これは成功した。そういう事でしょ! クッキーもあれだよね……ほら。あれ!」


「ラングドシャクッキーです」


 名前が出て来なかったよ。


「それそれ。ラングドシャ! 美味しいよねこれ! 好きだな~」

「嬉しいです! 喜んでもらえて」


「こっちの普通タイプのもいいね!」


 ご飯要らなくなちゃうなこれじゃ……


「大丈夫ですか? ご飯まだなんですよね」

「あっ! 何か食べに出る? でも、この時間じゃ夕食たべたよね?」


「全然平気ですよ! そんなにおもいのを頼まなければ」


 私達は、車で10分くらいの所にあるファミレス向かいました。


「いらっしゃいませ! お客様は2名で、おタバコは……。吸わない。かしこまりました」

「来るんですか? ここ……。典秀さんは」


「いや。そんなには……」


 何が、そんなにはだよ!

 滅多にないくせに……

 ……って言うか、女性と2人でなんか奈緒なお以来です。


 緊張しています。

 結構……


「何にしょうかな? 亜美さんは? デザート系?」

「私は、エビのドリアとサラダのセットにします」


「えっ!? そうなの? じゃあ、チーズハンバーグのセットにしよう」


 何か、亜美さんは微妙に笑っている様な気がしました。


「どうかした?」

「いえ……。チーハッ……。美味しいですよねハンバーグって」


「変かな? 考え過ぎ?」


 注文の品が来て食事が始まりました。


「美味しそうに食べますね典秀さんは。今度作りましょうか? ハンバーグ」

「えっ!? 本当? お願いします」


「じゃあ、次の早番の時にでも。あ~。それだとずいぶん先になっちゃいますね~」


 別に明日でも……

 2日連続と言う事を気にしてくれたのかな?


「全然問題ないよ! 楽しみに待ってますよ~」

「それじゃあ、とびっきりのを作りますね」


「本当に楽しみだな~」


 なかなか良い雰囲気で食事は進んで行きました。


「ごちそうさまでした。期待してくださいね」

「うん!」


「さて、今日はどうしましょうか? これから」


 こっ、これからですか……

 流れ的に行くと、私の家に向かう雰囲気!

 そうだよな~



 ……と、その時です!!


 彼女の着信音!?


「また~!? なにやってるのよ~! も~……」


 何だ?

 何が起きている?

 彼女の表情が変わりました!


「あの~。戻ります家に! いとこのよっちゃんが……もう!」

「なんかあったんだね!? 分かった! …………いとこ?」


「彼女とケンカしたんだって! この間もそうなの」


 そして、亜美さん家の前に居るって言う話し……

 何日か前にもあったよな!


 彼女の家に向かいました。

 居ます。

 私が、今まで彼氏だと思っていたいとこが……


 しかも、うずくまっています。

 家を飛び出して来たって感じです。


「亜美ちゃ~ん! もう聞いてよ!」

「又なの~!? 帰りなさい!」


「ひどいよ~! いとこでしょ!?」


 あえて厳しくって感じです。

 私は、首を突っ込まない方が良いのでしょうか?

 亜美さんは、結構迫力あります。


「ダメ! 甘えるのもいい加減にしなさい! 帰りなさい!!」

「え~……。………………すみません」


「!? どうしてこっちを見るのかな?」


 そんなうるんだ目をしても……


「今日、うちに来るか?」


 私は、何を言っているんだ!?

 血迷ったか?


「よろしくお願いします!!」

「あぁ……」


「私からもお願します。典秀さん……」


 亜美さんは、相当嫌という感じです。


「それじゃあ…………」


 あぁ……

 男二人で私の家に向かう事になりました。


 酒でも買って帰るか!?



次話へつづく

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