「いとこ」
宮元さんさんのお母さんの携帯電話に突然の着信! それは、雪村画伯からの電話でした。お出かけの誘い。健康診断を無事に切り抜ける? 宮元さんの突然の訪問! ある意味周りには邪魔者はいない? ……が!
少し多めの朝食を食べ終えてのひと時……
お母さんの携帯電話の着信音が鳴りました。
どうも、電話の相手は例の結婚相手の雪村玄一信?
すごい!
電話掛かってくるんだ?
あたり前か……
結婚相手だもんな!
にしても、どうしたんだろう?
「はい。あぁ~そうなの? じゃあすぐに戻るわね! じゃあね~」
「何かあったんですか? ……楽しそうですけど?」
「今、家に来てるんだって!」
えぇぇぇぇぇ~!!!
マジか~!?
なんか言葉が出ない……
「だから、すぐ戻らなきゃ! 典さんお願いね!」
「分かりました~っ!!!」
「亜美も支度してね」
出勤にはまだ余裕があるので、お会い出来るのは嬉しい事です。
何だか、テンションが上がります!
いつから待っているんだろう?
私は、そのまま出勤出来る様に支度をしました。
「良いですか? じゃあ出発しますよ~!」
「どうしたんですか典秀さん? 楽しそう」
「当たり前じゃないですか! Mr.雪村にまた会えるんですよ! 当然です!」
あぁ……
こんな平日じゃ無かったら良かったのに……
まだ交通量の少ない朝の道を気持ち急いでいます!
気持ち……
こんな所で警察なんかにストップかけられたら、たまったもんじゃないけれど……
亜美さんの家の前には、黒い車が停車していました。
「な~に? 玄一さん!? びっくりするじゃない!」
「あ~いやね。これから出かけ様と思いましてね」
「どこにです? ここじゃなんだから中に入りましょう!」
本物だ!
この間、感動の再開をしたばかりなのに!
すごい!
すごすぎますよ!
私は、時計を見ました……
ギリギリかな……
私には、中には入っている時間は残念ながら無い。
「あの~……。雪村さん! 握手してください!」
「お~!? 君は、この間の? 愛さんの知り合いでしたか」
「ありがとうございます! 会社の時間があるので行かなければなりません! 残念です!」
本当に残念です!
私は、3人に見送られながら車を発進させました。
今日は、何か良い事があるかも?
そう思いながら会社に向かいました。
車中……
思えば、宮元さんじゃなく自然と亜美さんと言葉に出て来ます。
会社では……
まだ、宮元さんでもいいかな?
私が照れちゃいます。
絶対に多分?
彼女の方はどうか分かりませんけど……
会社の駐車場に着き、亜美さんに電話をかけました。
まだ会社では名字で呼ぶ事を告げました。
こんな事は、言わなくてもいいのにと思いましたが……
「そうですか……。別にいいんですよ名前でも」
「何だか、私の心の整理がちょっと……」
「じゃあ、私も今まで通り呼びますね。会社では」
一応、亜美さんは理解してくれたみたいです。
「あぁ……。雪村さんは?」
「あの2人は、これから九州に行くんですって! 日食を見にですって」
「へぇ~。すごいね! 木曜だよね日食は……」
そう言えばウチの親は、どうしているかな?
楽しんでいるんだろうな~
うらやましいよ!
「それじゃあ、会社に入るから切るね」
「では会社で会いましょう!」
「うん! それじゃあ」
私は電話を切って、工場の中へ入りました。
「おはようございます!!」
「典さん! なんかあった? テンションが高くないか?」
「あぁ~。超有名人と会ったからかもしれない」
いや~!
つい口から出てしまいました!
「超有名人!? 世間をにぎわすアイドルか?」
「いや……。超有名でも画家の方なんだけどね。路線が違うけどね」
「画家の有名人って言ったら、雪村画伯!?」
おぉ!
知ってるのは、アイドルだけじゃなかったんだ!
「そうそう! 画家の雪村 玄一信さん!」
「すごいな~! どこで? 好きなんだよな、あの人の描く絵」
「へぇ~。秘密秘密……。じゃあお疲れ様でした~!」
私は、これ以上聞かれるのを警戒しながら仕事を引き継ぎました。
意外ですね。
人は見かけでは分からないものです。
本日も特に何のトラブルも無く仕事を終えました。
亜美さんとも会話的なものはありませんでしたが……
視線が合った時は、言葉は特に要らないって感じでした。
私は、彼女にメールを送りました。
食事でもという内容で……
しかし、今日は何だか都合が悪いようでした。
……残念です。
私は、明日の健康診断に向けて、取りあえず間食的な物は控える事にしました。
亜美さんも、明日に備えて何かしているのでしょうか?
もしかして体重的な?
なんともくだらない疑問が浮かんでしまいました。
ホントくだらない……
健康診断当日……
私は、万全な体制で挑みました。
ちょっと大げさ?
いや、健康診断を甘く見てはいけない!
去年は……
順番に交代で受診を受けるいつものパターン。
まずは、検尿、体重、身長……
視力のほうは、かろうじて?
裸眼で両目とも1.0でした。
聴力、心電図ともに問題なさそう。
続いては、問題の血圧です。
ここをクリアすれば、おそらくすべてOK!
去年は、この血圧のみ結果がB……
少し高めという診断を受けたのです。
いざ勝負!
くぅ~!
締め付けられる~!
どうだ!?
「はい。いいですね」
「よっし~! はっ……」
つい声を出してしまいました。
恥ずかしい……
いや私にとっては、オールAが目標!
!!!
亜美さんの姿を発見しました。
おそらく問題ないんだろうな~
私は、続いて採血です。
ちょっと苦手ですね。
終わりました……
次は、問診です。
「次の方、中に入って下さい」
白髪の先生が待っていました。
「ん~。問題ないね。よし! いいよ」
いよいよ最後は、レントゲンだ!
「はい、息を吸ってください」
終わった~……
多分、今年は問題ないでしょう!
亜美さんは、どうかな?
帰宅……
「羊羹……。食べれるかな~?」
大丈夫だな……
多分……
「もう食べてしまった……。あっけない」
メール?
「今から行きます~!? ってウチに!?」
ピンポ~ン!!
「えっ!? もう来たの? …………はい」
「もしかして、今帰って来たばかりですか?」
「うん。あ~、着替えてなかったね」
そうだった、羊羹なんか食べている場合じゃなかったんだ。
「いっ、いま着替えるよ! 中に入って」
「おじゃまします」
「びっくりしたよ。……もしかして寂しかったとか? はははは……冗談だけど」
私は、何を言っているんだ?
奥の部屋で着替えをして、亜美さんの居るリビングに戻りました。
「あっ……。あのどうでした今日の健康診断は? あの……」
「どうしたの? 何かあったの?」
「じゃ~ん! これです!」
これは……
手作りクッキー。
それと?
マカロンっていう物……
「あっ! ご飯まだでした?」
「うん。まぁ……。でも羊羹食べたけどね。頂くよ」
「どうですか?」
こういうのも作ったり出来るんだ~
マカロンってこういう物なんだ!
「おいしいよ! マカロンは、初めて食べたけど何か不思議な食べものだね」
「不思議? 美味しくないですか……?」
「いや、変な意味じゃなくて……、食べた事なかったから。おいしいよ!」
変な勘違いをされる所でした。
難は回避したみたいです。
おそらく……
「マカロンは、何回も失敗したんですよ! 割れたりシートから剥がれなかったり……」
「でも、これは成功した。そういう事でしょ! クッキーもあれだよね……ほら。あれ!」
「ラングドシャクッキーです」
名前が出て来なかったよ。
「それそれ。ラングドシャ! 美味しいよねこれ! 好きだな~」
「嬉しいです! 喜んでもらえて」
「こっちの普通タイプのもいいね!」
ご飯要らなくなちゃうなこれじゃ……
「大丈夫ですか? ご飯まだなんですよね」
「あっ! 何か食べに出る? でも、この時間じゃ夕食たべたよね?」
「全然平気ですよ! そんなにおもいのを頼まなければ」
私達は、車で10分くらいの所にあるファミレス向かいました。
「いらっしゃいませ! お客様は2名で、おタバコは……。吸わない。かしこまりました」
「来るんですか? ここ……。典秀さんは」
「いや。そんなには……」
何が、そんなにはだよ!
滅多にないくせに……
……って言うか、女性と2人でなんか奈緒以来です。
緊張しています。
結構……
「何にしょうかな? 亜美さんは? デザート系?」
「私は、エビのドリアとサラダのセットにします」
「えっ!? そうなの? じゃあ、チーズハンバーグのセットにしよう」
何か、亜美さんは微妙に笑っている様な気がしました。
「どうかした?」
「いえ……。チーハッ……。美味しいですよねハンバーグって」
「変かな? 考え過ぎ?」
注文の品が来て食事が始まりました。
「美味しそうに食べますね典秀さんは。今度作りましょうか? ハンバーグ」
「えっ!? 本当? お願いします」
「じゃあ、次の早番の時にでも。あ~。それだとずいぶん先になっちゃいますね~」
別に明日でも……
2日連続と言う事を気にしてくれたのかな?
「全然問題ないよ! 楽しみに待ってますよ~」
「それじゃあ、とびっきりのを作りますね」
「本当に楽しみだな~」
なかなか良い雰囲気で食事は進んで行きました。
「ごちそうさまでした。期待してくださいね」
「うん!」
「さて、今日はどうしましょうか? これから」
こっ、これからですか……
流れ的に行くと、私の家に向かう雰囲気!
そうだよな~
……と、その時です!!
彼女の着信音!?
「また~!? なにやってるのよ~! も~……」
何だ?
何が起きている?
彼女の表情が変わりました!
「あの~。戻ります家に! いとこのよっちゃんが……もう!」
「なんかあったんだね!? 分かった! …………いとこ?」
「彼女とケンカしたんだって! この間もそうなの」
そして、亜美さん家の前に居るって言う話し……
何日か前にもあったよな!
彼女の家に向かいました。
居ます。
私が、今まで彼氏だと思っていたいとこが……
しかも、うずくまっています。
家を飛び出して来たって感じです。
「亜美ちゃ~ん! もう聞いてよ!」
「又なの~!? 帰りなさい!」
「ひどいよ~! いとこでしょ!?」
あえて厳しくって感じです。
私は、首を突っ込まない方が良いのでしょうか?
亜美さんは、結構迫力あります。
「ダメ! 甘えるのもいい加減にしなさい! 帰りなさい!!」
「え~……。………………すみません」
「!? どうしてこっちを見るのかな?」
そんなうるんだ目をしても……
「今日、家に来るか?」
私は、何を言っているんだ!?
血迷ったか?
「よろしくお願いします!!」
「あぁ……」
「私からもお願します。典秀さん……」
亜美さんは、相当嫌という感じです。
「それじゃあ…………」
あぁ……
男二人で私の家に向かう事になりました。
酒でも買って帰るか!?
次話へつづく