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Ⅳ ⅹⅵ
「っとぉ、危ないトコやったわ」
リゼッタは自分を抱えた青年の声に目を瞬いた。
「て……テッド?」
「待たせてもうて悪かったな、リゼッタ」
顔を上げると、テッドがにこりと笑いかけた。
「なっ、何が待たせたよ。遅すぎるわよ! あなた何をしていたの!」
「まぁ、裏方は裏方で色々あるんや」
「はぐらかさないで!」
腕の中で暴れるリゼッタを、テッドは軽く受け流すだけだった。
「それに何を悠長に浮かんでいるの! アベルも落ちてしまったじゃない!」
「ああ、嬢ちゃんなら心配いらんで」
「何ですって?」
眉をひそめるリゼッタ。テッドは下へと視線を移した。
「ほら。ちゃーんとお迎えが来とんのや」
彼に促されるまま下を見下ろし、リゼッタは息を呑んだ。
「継代劇の、もう一人の主役のお出ましやで」
そこには、遥か彼方に浮かぶはずの第五聖地が、余りある程の存在感で佇んでいた。




