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Ⅳ ⅹⅰ
青年は天井を見上げていた。
ドーム状の天井は、一週間前と変わらない姿で彼の瞳を迎えていた。
千年その完璧な精度を維持しているのだから、たった一週間で変わり果ててしまうわけも無い。青年はごく当たり前に締めくくり、そして冷静な瞳を瞬いた。
ふわりと彼は首を戻した。淡色の髪が肩の上で揺れた。
彼は棺の上に立っていた。ガラスの蓋はとうに粉々に砕け散り、周りに散乱していた。
昏睡誘導機が動いていれば、その駆動灯がまるでスポットライトのように彼を照らし出していただろう。
しかしそれが無くとも、青年の立ち姿は目を奪われるほどに壮美だった。
この絵画のような光景を眺める者は一人もいなかった。
薄闇の聖堂は静まり返っていた。
祭壇の周りには、鑑賞者となり得なかった者たちの死体が転がっていた。
そのうちの一つは、棺にすがるような姿勢で倒れていた。指の先には、アラベスクの装飾に隠されたスイッチがあった。
青年は静かな仕草で棺を降り、床へと立った。
この聖堂そして聖地における王者である青年。彼の覚醒に応えるように、祭壇に据えられたランプが一つ、明かりを灯した。
やわらかな明かりが彼を照らした。
双眸は冷静だった。
しかし同時に利己的だった。
彼が願いを爆ぜた瞬間、第五聖地の深部が唸りを上げた。




