第8話 聞いてくれないか
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「起立! 礼! ありがとうございました!」
授業が終わった瞬間、俺は教室の外へと駆け出した。短距離走の世界記録保持者もかくやというスピードだったと思う。
それとほぼ同時に、晴翔がクラスメイトの方に向けて歩いたのが見て取れた。
よし、晴翔はちゃんと協力してくれている様だ。
廊下に出て息継ぎをすると、一瞬遅れて胡桃が出てきたのが見えた。
晴翔の手助けのお陰か、それとも胡桃は妨害を受けなかったのか、特に何の障害も無く出てこれた様だ。
「で? 話って何?」
「取り敢えず、場所を変えよう……」
胡桃にそう言い、適当に廊下を歩き始める。
さて、どう話を切り出したものか……。
俺はこういう迂遠な話は苦手だ。そもそもコミュニケーションが不得意なのに、遠回しに訊くなんてコマンドがある筈が無い。
俺がうんうん唸っている間に、手頃な空き教室に辿り着いた。
なんでこんな所にあるのか、と思ったが、まあいいだろう。
「ここにしよう」
元は何の教室だったのか、物置と化している。
椅子も何も無いので、立ったまま話をするか。
胡桃がしっかりドアを閉めたのを確認し、咳払いをする。
……どうしよ。
ああもう、時間が無い。単刀直入に訊こう。
「……なあ」
「なぁに?」
「……お前って、俺の事が好きなのか?」
俺がこんな事を言われる立場にあったら、「何言ってんだコイツ? 自意識過剰乙」とでも言っていた事だろう。
しかし、胡桃はノータイムで頷いてみせた。
「うん、勿論!」
「……は?」
思わず、聞き返してしまうぐらいには。
「い、異性として?」
「当たり前じゃん! 真白くんは違うの?」
「い、いや、う~ん……」
顔を近付けながら、問い掛けてくる胡桃。
流石に俺は即答出来ない。
胡桃の事は好きじゃない。
嫌いという訳でも無い。
そもそも、俺は誰かを好きになれそうも無い。
幼馴染で、ストレートに好意を向けてきている胡桃でさえ、未だにまだ本当なのか、と疑う心がある。
誰かを好きになるという事は、その人に心を捧げる行為――だと、俺は勝手に思っている。
俺は胡桃に、心を捧げる様な真似は、出来そうも無い。
胡桃だから、という訳では無い。
他の誰でも同じだろう。
――信じられない。
――騙そうとしているんじゃないか。
――嘘を吐かれてはいないか。
――陥れられるんじゃないか。
――笑われているんじゃないか。
それらの感情が、俺の思考を阻害する。
しかし。
ここで違う、と言えば、恐らく胡桃は傷付き、泣いてしまうだろう。
流石の俺も、幼馴染をそう簡単に泣かせる事は出来ない。
だから、俺は。
「なあ胡桃。突然で悪いんだが、聞いてくれないか――」
そうするのが必然だったかの様に。
「――俺の、中学校時代の話を」
今まで一度も話していなかった、あの二つの出来事を。
胡桃に、話す事に決めた。
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