表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第2話 親睦を深める事の何が悪い

 現実世界恋愛日間ランキング73位、ありがとうございます!!

 また、ブックマークして下さった方、ありがとうございます!励みになります!

 胡桃と並んで、昇降口の近くに貼られたクラス名簿を見る。

 内部進学組と思わしき奴らがわーきゃー騒いでいるのを横目に、俺は自分の名前を黙々と探す。

 俺は苗字が赤月なので、最初の方だけ見れば分かるので、こういう時は助かる。


 今回も、すぐに俺の名前が見つかった。


「1年2組か……」


 パッと見た感じ、知っている名前は居ない――いや、一人だけ居たか。


「やったー! おんなじクラスだよ、真白くん!!」


「分かったから、ひっつくな、暑苦しい……」


 俺と同じく2組になった胡桃は、叫びながら俺に抱き着いてきた。

 歳相応の柔らかさが伝わってきて嬉しくはあるが、人目に付くのでやめて欲しい。


 文句を言いながらひっぺがすと、胡桃は他の友人の元へ行く事にした様で、女子生徒の誰かに話し掛けに行った。


「……さて」


 今の内に、中に入ろう。


 昇降口で靴を履き替え、案内用の看板を見る。

 教室まで行って荷物を置いてから、順次体育館に向かうそうだ。


 面倒だし、早めに行って始まるまで寝よう。







 入学式は特に問題も無く終了した。

 尤も、俺は半分ぐらい寝ていたので、話のほとんどを覚えていない。


 ただ、何故か一部の生徒からの視線が痛かった。多分、主に内部進学組だろう。

 式の途中に眠る奴が居たからって、なんだというんだ……思いっ切りいびきをかいて、教師に怒られていた奴だって居ただろうに。


 心の中で毒を吐きつつ、教室を出て行った教師の背中を見送る。


 この後は、まず隣の席になった人と五分程話し、それが終わったらあとは自由。適当なタイミングで帰れ、との事だった。

 教師も出て行ったので、従わずに自由に話し始める奴も居たが、半分ぐらいは素直に従っている。

 俺の隣もその口らしいし、面倒だが五分だけ話に興じるとしよう。


 一番前から二番目の廊下側の俺の席の隣は、気弱そうな女子生徒だった。眼鏡を掛けておさげ、典型的な文学少女といった感じだ。


 先程からこちらを見てもじもじしているので、可哀想だし俺から先に自己紹介してあげよう。


「俺、赤月真白。外部進学組なんだ。趣味はゲームかな? よろしく」


 我ながら素っ気無い自己紹介だと思ったが、陰キャにはこれぐらいが限界。


 あちらも今ので満足したのか、言葉を詰まらせながらも自己紹介を返してくれた。


「あ、あの、高原(たかはら)詩乃(しの)って言います……。内部進学です。え、えと、趣味は読書です……。よ、よろしくお願いしますっ」


 うん、趣味を話してくれたので、会話を広げられそうで助かる。

 本は俺も時々読むし、大丈夫だろう。


「読書好きなんだ。どんなジャンルの読むの?」


「ミステリーとか、恋愛とか……あ、ラノベとかも、結構読みます」


「あ、ラノベは俺も結構読むかも。まあ、ファンタジーがメインだけど……」


「わ、私もたまにですけど、ファンタジー読みますよ! 最近アニメになったやつとか――」


 そんな感じで、好きな本を喜々として語る高原に、適当な相槌を打つだけで五分間が過ぎていった。

 相手の好きな話題を引き出せば、あとは嬉しそうに語るのを見ていればいいだけなので、楽なものだ。


 まあ、高原の話し様が凄くて、追加で二、三分程持っていかれたのは誤算だったが……。


 そんな俺を救済したのは、陽キャっぽいオーラの茶髪男子だった。どこかで見覚えがあるような、無いような……。


「ねえ二人共、楽しそうに話してるとこ悪いんだけど、クラスRINE作ったから、入ってくれる?」


「あ、は、はいっ!」「分かった」


 俺と高原は同時に頷き、それぞれの鞄からスマホを取り出す。


「あっ、そういえばさ、君って外部進学だよね? 俺、青木(あおき)晴翔(はると)って言うんだ! よろしくな!」


 ああ、なるほど、見覚えがあると思ったのは、コイツが俺の前の席だったからか……。


 違和感の理由が判明してスッキリしつつ、自己紹介を返す。


「俺は赤月真白だ。よろしく」


「で、そっちは高原さん……で合ってるよね?」


「は、はいっ」


「そっかそっか! 確か、二年の時同じクラスだったよね? いやー、また同じクラスになれて嬉しいよ!」


「は、はいっ! 私も、嬉しいです……!」


 流石陽の者。大人しそうな子相手にもグイグイ行くなぁ……。


 青木メインに適当な雑談をしつつ、俺は青木の連絡先とクラスRINEを頂き、青木は帰って行った。

 アイツの連絡先までは要らなかったが、まあいいか……。特に話す事も無いだろうし。


「…………」


 ん?何か視線が……。


 スマホから顔を上げてみると、何か言いたげにこちらをチラチラ見ている高原が。


「ん? どうした?」


「え、えと、その……」


 あー……あれかな、俺と青木がサラッと連絡先交換したのを見て、自分も交換したかったとか?

 陽キャっぽい女子だったら有り得ない話だろうけど、高原は陰キャ寄りっぽいし、少しでも話せる人が欲しいのだろう。青木とも交換していたが、それはまあ流れ作業みたいな感じだったし……。


「連絡先、交換するか?」


「は、はいっ!」


 嬉しそうな笑顔で頷く高原。

 うーん、俺の連絡先一つでそんな笑顔になるとは……演技か?実は高原は腹黒なのか?


 いや、いかんな……これは流石に疑い過ぎか。俺を陥れようとしているんじゃないか、と疑うにはまだ早い。

 すまん、高原。


 心の中で詫びつつ、連絡先を交換した。


 交換するなり、RINEで猫が『HELLO!』と言っているスタンプを笑顔で送ってくる。

 その様子に思わず微笑を漏らしつつ、俺も適当なスタンプを送り返す。好きなゲームやラノベのスタンプばかりで焦ったが、少し探せば普通のスタンプが見つかって――。


「――楽しそうだねー、真白くーん?」


「うぉわっ!?」


 低いトーンの声で後ろから肩を叩かれ、思わずスマホを取り落としそうになる。

 振り返ると、笑顔で、しかし目だけ笑っていない胡桃が立っていた。背後に炎が見える様な気がするのは、気のせいだろうか……。


「ねえ真白くん、ちょっとこっちで話そうか?」


「え、あの、はい? ――ちょ、引っ張るなっ……高原、すまん! またな!」


 笑顔の胡桃に首根っこを引っ張られ、廊下に引きずり出された。

 他のクラスメイト達は談笑に夢中で、こちらを気にしていたのがごく少数だったのが、不幸中の幸いか。


「ねえ、真白くん?」


「なんだ――なんでしょう?」


 やばい。

 オーラが凄くて、思わず敬語になってしまった。


「私と言う幼馴染が居ながら、他の女の子と楽し気に話すなんて、良い度胸だね?」


「いや、何がだよ……。普通に隣と話せって言われたから話して、そのままの流れで連絡先交換しただけで――」


「嘘だぁ! 五分以上話してたし、それにそのまま流れでって何!? いつから真白くんはナンパチャラ男になっちゃったの!? 私だけじゃ満足出来ない体になっちゃったの!?」


「なん――誤解を招きそうな発言を大声で叫ぶのはやめろぉ!?」


 まずい、コイツを放っておくと、今後の学校生活に支障が出そうな気がする。

 人が集まってくる前に、どうにかしなければ……。


「クラスメイトと親睦を深める事の何が悪いんだよ……」


「先生の指示に従うのは良いけどさぁ、終わったら私に話し掛けてくれてもいいじゃん!? 私、こっち来てくれないかなぁって、チラチラ見てたんだよ!? 気付いてないの!? 鈍感!!」


「なんでそこまで言われなきゃいかん……あと、廊下だから少し静かにしてくれ」


「――あっ、ごめん……」


 人が少しずつ集まってきている事に気付いたのか、慌てて謝りながら手で口を押さえる胡桃。


 冷静さを取り戻してくれた様で重畳。


「――じゃあ、俺帰るから」


 早口でそう言うと、俺は教室に戻り、自分の机からサッと鞄を回収する。


「ちょっとぉ!? そこで逃げるのは違くない!?」


 胡桃が俺を追い掛けるようにして教室に入って来たが、関係無い。

 俺を捕まえようと伸びてきた腕をスルっと避けて、教室から出る。


「あっ!?」


 鞄を回収した時の高原の視線が、妙に痛かったのだけは覚えている。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ