第14話 あの後どうなったんだ?
家に戻ってから、胡桃からメッセージが届いた。
『胡桃)ねえねえ』
『胡桃)明日からお弁当つくっていい?』
『真白)許可制なのか? それ』
『真白)まあいいけど』
『胡桃)やったー』
『胡桃)明日は一緒にお昼食べようね』
『真白)はいはい』
弁当、か……。
中三の時は必要以上に浮かれて、後からキモがられたからな……。今度は注意しよう。
あ、それと胡桃が弁当作ってきてくれるなら、学食代を貰わなくていいな……母さんに言わなきゃ。
俺は机にスマホを置くと、リビングに向かった。この時間なら家事もある程度終えて、テレビでも見ている筈だ。
予想通り、母さんはソファーに座ってテレビを楽しんでいた。
「母さん」
「あら、どうかした?」
「えーっと……その、明日から学食代要らないから」
「あらあらまあまあ……もしかして、胡桃ちゃん?」
なんで分かるんだよ……俺何も言ってないだろ……!
なんだか気恥ずかしくなって、後頭部を掻きながら頷く。
「うふふ、ようやくなのねー」
「何がようやくだ」
「まあまあ。あ、学食代はお小遣いにしていいわよー」
「は? なんで?」
「デート代、必要でしょ?」
「…………」
否定するのも面倒くさい。
まあ、早速土曜日に約束が出来ているのは事実だし、ありがたく頂戴するとしよう。
『晴翔)なあなあ』
『晴翔)あの後どうなったんだ?』
晴翔からそんなメッセージが送られてきたのは、学校が終わって少ししたぐらいの時間帯だった。
そういえば、教室から脱出する時に晴翔の手を借りたんだったか……色々ありすぎて、半分ぐらい忘れてたな。
晴翔には協力してもらったので、しっかり事情を伝えた方が良いだろう。
そう思ったので、教室を脱出してからの一連の流れ――一か月という期間の話やファミレスの下りを除く――を説明した。
『晴翔)なるほど』
『晴翔)とりあえず、おめでとう』
『真白)なんかすまん』
『晴翔)なんで謝るんだよ』
『真白)いやだって、晴翔に協力するとか言ったのにさ』
『真白)結局こうなってるじゃん?』
『晴翔)あー』
『晴翔)まあでも実際、東雲さんの彼氏にはお前が相応しいと思うよ、俺は』
『真白)…なぜに』
『晴翔)なんていうかな』
『晴翔)ちょっとしか見てないけど、お前の前だと素を出してる感じがしたから、かな』
『真白)…素?』
『晴翔)そう、素』
『晴翔)なんか、中学時代の東雲さんって、お淑やかな感じだったけど』
『晴翔)お前の前だと結構元気に振舞ってるからさ』
胡桃が……お淑やか?
嘘だろ?
折り畳みナイフを普段持ち歩いてる様な奴が……お淑やか?
コイツの目は狂ってるんじゃないか?
『晴翔)おーい』
『晴翔)どうした?』
『真白)すまん、悪夢を思い出してた』
『晴翔)は?』
『真白)胡桃がお淑やかって、嘘だろ?』
『晴翔)すげえサラッと話戻すのな』
『真白)お淑やかのおの字もないだろ』
『晴翔)お前、それはそれで結構失礼じゃね…?』
『真白)だって事実だし』
『晴翔)まあともかく』
『晴翔)俺はお前を応援するよ』
『真白)ほんとすまん』
『晴翔)だから謝んなって』
『晴翔)俺は新しい恋でも探すよ』
『真白)今度こそ絶対協力するわ』
『晴翔)おう、じゃあ頼りにしてるわ』
……やはり、晴翔は良い奴だ。
俺だったら、好きな人を教えた奴が、その翌日にその子と付き合いました、とか言い始めたら助走付けて殴ってるぞ、多分。
……あれだな、中学の時の色々で、陽キャに結構悪印象持ってたけど、晴翔みたいに良い奴も居るんだな。
これからは、外見とかで人を判断するのはやめた方がいいかもしれない。
『晴翔)あ、そういえばさ』
『真白)ん? どした?』
『晴翔)お前らが教室出て行ったとき』
『晴翔)俺だけじゃなくて星野さんも協力してくれてたぞ』
星野……ああ、あの金髪の。
胡桃の友達っぽかったしな……次話す時は礼言っとくか。
『真白)今度お礼言っとくわ』
『晴翔)そうしろ』
『晴翔)ていうか、俺はまだお礼言われてないぞ?』
『真白)…あ』
『真白)えー』
『真白)今日は本当にありがとうございました。今度何か奢らせていただきます』
『晴翔)うむ』
『晴翔)くるしゅうない』
そんな風な会話をした後、俺はスマホを閉じて勉強を始めた。
……いや、ゲームしたかったんだけどね? 体調悪くないのに早退した罪悪感があったんだよ……。
少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!




