第13話 まぁくん
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「怒られちゃったねー」
「はは……」
ファミレスで食事を終えた俺達は、マンションへの帰路に就いていた。
あの後、俺が衝動のままに胡桃を撫で続けた結果、店員さんに叱られてしまった。
『ここは飲食をする場所であって、恋人同士がイチャイチャして膝枕とかする場所ではありません! そういう事がしたいなら、店を出て余所でやって下さい! ……まったく、なんでこんな奴らに恋人が出来て、私に出来ないんだか……』
後半、絶対私情だろ、と言いたくなる様な呟きもあったが、概ね俺達が悪かったので、残っていたパフェを素早く食べてファミレスを出た。
周りの客の視線が、とても痛かった……あそこまで注目されたのは初めてかもしれない。
ていうか、この前ファミレスに行った時に案内してもらった店員さんも、同じ人だよな……?
なんか、申し訳無いな。次あのファミレスに行く時にでも謝っておくか……。
「まあでも、私は真白くんといっぱいイチャイチャ出来て、嬉しかったけどねー!」
「…………」
またしても俺の腕に抱き着きながら、元気良くそう言う胡桃。
……そういえば、チャラ男にナンパされてた時、昔の呼び方に戻ってた様な……?
「どうかした?」
俺が悩んでいたからか、胡桃が俺の前に回り込んで上目遣いで尋ねてきた。
上目遣い、破壊力が凄いからやめてね。
「いやさ、さっき、昔の呼び方で呼んでたよな? 『まぁくん』って……」
「あー、そだね。それがどうかした?」
「いや……今は普通に『真白くん』って言うんだな、って思っただけだ」
「それは、真白くんが私の事『くーちゃん』じゃなくて『胡桃』って呼ぶ様になったからだよ……?」
「あー……言われてみれば……」
小学校高学年くらいからだったろうか。
男女の体の違いも如実に表れ始めて、なんだかその呼び方が気恥ずかしくなってしまったのだろう。……胡桃との距離感はあまり変わらなかったが。
「……じゃあ、今度からは『くーちゃん』って呼んでね」
「ええ……恥ずいからやだ」
「むぅ! じゃあ私も『まぁくん』って呼んであげないよ!?」
「呼ばれたい訳では無いんだが……」
頬を膨らませる胡桃の頭を撫でて、宥める事にする。
最初は不満そうな顔をしていたが、徐々に目を細めて笑顔になっていく。うん、可愛い。
「じゃあ……二人きりの時なら、いい?」
「……まあ、それぐらいなら」
「やったー!! まぁくんまぁくんまぁくん……!」
「何回呼ぶ気だよ……」
俺の肩辺りに頭を擦り付けながら、俺の名前を連呼する胡桃。
……まあ? 悪い気はしないかな?
心の中で言い訳をしていると、胡桃が俺の肩から頭を離し、俺の前に指をピンと立てた。
「そうだ! まぁくん、今度の土曜日デートしよ?」
「……まあいいけど、デートったって何するんだ? 俺、そういう経験何も無いから分からんぞ……」
「やったー! まぁくんの初めて……!」
「こら、誤解のある言い方をするな」
俺がそう叱ると、胡桃も冗談を言うのをやめ、デートの目的を説明し始めた。
「ほら、まぁくんって、かっこいい服あんまり持ってないでしょ? それに、髪の毛もぼーぼーだし……せっかくかっこいいのに勿体ない! って思って」
「言う程かっこいいか……?」
昔ならともかく、今は丸顔になってしまっているので、どこにでも居る様な顔だと思う。
「むぅ……じゃあじゃあ、私の為だと思って!」
「……は? 胡――くーちゃんの為?」
「そう! まぁくんがかっこいい恰好してたら、あんなナンパク――ん゛ん゛、騒がしい人達に絡まれないでしょ?」
今、絶対暴言吐こうとしましたよね? 聞こえてますよ?
……まあでも、胡桃の言い分も一理あるか……。俺がダサい恰好をしてるから胡桃に迷惑を掛けるのなら、それは避けたい。
「……分かった。じゃあ行こう」
「ぃやったぁー! じゃあじゃあじゃあ、美容院とお洋服屋さんと、あとあとー」
「じゃあが多いな……」
そういう訳で、俺の週末も決定し。
丁度マンションのエントランスまで着いたので、細かい話はまた今度、という事になった。
……なんか、ちょっとファミレスで外食しただけなのに、随分と疲れた気がする。
でも、疲労感と一緒に謎の満足感というか、幸福感があるのが不思議なんだよなぁ……。
そう独白しつつ胡桃と別れ、自分の家に戻った。
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